劇場公開日 2021年10月15日

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「ムードはバッチリ。ただ、PART1がこの雰囲気で大丈夫か?」DUNE デューン 砂の惑星 CBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ムードはバッチリ。ただ、PART1がこの雰囲気で大丈夫か?

2021年10月16日
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鑑賞方法:映画館

「DUNE(砂の惑星)」その初日を観た!

155分を費やして描かれる、貴種流離譚(きしゅりゅうりたん、若い神や英雄が他郷をさまよいながら試練を克服した結果、尊い存在となる話)の第1章。2時間半を通してムードはバッチリ。ストーリーは主人公の属する国が、宇宙一貴重な資源惑星であるDUNEの統治を、皇帝から任され、急な統治交代を快く思わない前統治国に襲撃されるまでを描く章となっている。つまり壮大な予告編。

映像は、十分に凄い。かつ、舞台は砂漠であるため、原作の雰囲気を出そうとすればするほど茶をベースにした単色系の絵作りになってしまうのが当然という中で、これだけメリハリある映像に仕上げているのもすごいと思う。思わせぶりな音響と映像のオンパレード。

一方で、正直、大丈夫か? と要らぬ心配をしてしまう面もある。ちゃんと人気出るかな、という興行面だ。「スターウォーズ」でジョージルーカス監督は『第一作が当たらなかったら、次はない』との悲壮な思いから、敢えてエピソード4から始めたと聞く。対比すると本作は、そんなことはせずに正々堂々とエピソード1から始める、という気概だが、その分、爽快感、すっきり感ははるかに低い。つまり、「次(続編)をお楽しみに」感が満載だ。
ビルヌーブ監督自身が「『指輪物語』は(素晴らしい話だが)、ピータージャクソン監督による『ロードオブザリング』三部作の完成度が十分高かったので、(他の人が)撮る必要は、もうない、と感じた」と言及していた。その『ロード…』第一作と比べてもやはり、爽快感、すっきり感ははるかに低い。
すぐ、第二作を撮るのだろうか。是非、完結までひた走ってほしいシリーズだけに、この第一作には、ちゃんとヒットしてほしい。

これから観に行く皆さん、下記あらすじを予備知識で知っといた方が、ノリ易いかもしれませんよ。(ネタバレでもありますが、本作は壮大な予告編みたいなものなので、読んでから観る手も十分にあるかと思います)
舞台は西暦一万年を超える遠未来の宇宙に浮かぶ砂漠の惑星 "アラキス"。その惑星では、抗老化作用を持つ麻薬 "メランジ" を宇宙で唯一産出しているため、帝国皇帝 "シャッダム四世" にとってもきわめて重要な惑星。皇帝の命により、新たにその惑星の統治を任されることになった "アトレイデス公爵" だったが、敵対する "ハルコンネン家" の奸計にはまり、就任早々に追い落とされる。命からがら逃げ出した息子 "ポール"(主人公)と母 "ジェシカ" の二人は、最大全長400メートルにも及ぶ "砂虫(サンドワーム、別名シャルーイ・フルード)" が巨大な口を開けて迫ってくる恐怖の砂漠をさまよう。 二人は、そんな過酷な惑星DUNE を自由に生きる先住民 "フレメン" に迎えられ行動を共にする。そこでポールは生涯の伴侶 "チャニ" と知り合う。

一方、母が属する秘密結社 "ベネ・ゲセリット" は、長い歳月をかけて優生学的選別を繰り返し行い、"クウィサッツ・ハデラック" と呼ばれる "時空偏在者"(限りなく神に近い存在) を、科学技術によって生み出し自分たちの配下に置こうと目論んでいる。母は "声" で相手を操る技をポールに伝授する一方で、秘密結社の操作をポールにも加えてきた。その結果、クウィサッツ・ハデラックの能力の片鱗たる "予知" がポールの中に芽生え始めている。

こんな話ですが、上記したような固有名詞達をあらかじめ知っておくと、楽です。ついでに以下のことまで知っておくとよいかもしれません。

長期間の宇宙旅行を可能にするために必須な抗老化作用薬メランジ(麻薬でもある)は、実は恐ろしい砂虫(サンドワーム)の原型である "半植物半動物〈小産砂〉" の排泄物を太陽光と空気に晒すことで得られている。
ポールは、砂漠でも強く賢く生きる多産なトビネズミの名に因み「ムアッディブ」と名乗り、帝国への逆襲を主導する。(キネマ旬報 巽孝之氏の文章から引用)

2021/10/16 追記
自分はついつい活劇を期待してしまうので、上記のような感想になるが、そもそもそういう感じの話なのだろうか。あらためて原作を読んでみようか。

2021/10/17 追記
ビルヌーブ監督という人は、(「ブレードランナー2049」「メッセージ」でも感じたが)ストーリーテラーと言うよりは、映像作家であり音響作家なのだろうな。だから本作も、IMAXシアターでその両方を堪能するのが正しい方法なのかもしれない。

CB
トラ吉さんのコメント
2024年5月4日

>すっきり感、爽快感がない
そーなんですよねー!!
お陰で予備知識の無い僕は一回目途中で断念して再チャレンジしました。
SWやロード…はどこを切っても、その1作品だけで面白かったですよね〜。

トラ吉
たなかなかなかさんのコメント
2024年4月2日

CBさん、コメントありがとうございます♪

確かにトンボ型飛行機とかシールドとか、そういうSF的ガジェットは魅力的でしたね✨

『LotR』の第1作は、地味な展開ながらもボロミアの死やバルログの登場などちゃんと見せ場を作っていて偉い!と本作を観て改めて思いました。

たなかなかなか
Bacchusさんのコメント
2024年3月8日

私も一応来週あたり行こうかな…とw

Bacchus
Bacchusさんのコメント
2024年3月7日

私も自分のレビューを見返してみると気を使ってますねw

おっしゃる通りワクワクしなかったイメージが強いので2作目に向けて復習しようかどうしようか…という感じです。

Bacchus
CBさんのコメント
2023年6月26日

ですね。最初から、三つ一緒に撮影したという「ロードオブザリング」はすごいですよね!映画の理想!!

CB
活動写真愛好家さんのコメント
2023年6月25日

やはりONEがヒットしないと、TWOはありません、みたいな製作側のスタンスはどうなのかなと。ビジネスだからしょうがないとは思いますが、LOTRみたいに太っ腹な製作会社であってほしいですね

活動写真愛好家
pipiさんのコメント
2022年7月5日

予告をIMAXの特等席(エグゼクティブシートの真後ろ。一般席価格で視聴アングルはほぼエグゼクティブとおんなじw)で観たので非常に期待していたのですが、病に臥して劇場鑑賞を逃し、ようやくのVOD鑑賞です。
予告の記憶で脳内IMAX変換しながらw

いやはや、ほんっとCBさんの仰る通り、ご懸念通りですねー。
物語を頭っから順番に描く気概は良し!ですが、初見の鑑賞者も楽しめなくては「映画」としては難しい・・・。

無事、part2制作も決定したようで良かったです。
part2ではワクワクするあんなシーンやこんなシーンがある事はわかっていますから期待MAXです。

シャラメがどう見ても15歳に見えないのは難ですが、part2は2年後だから17歳、part3は「砂漠の救世主」らしいので更に12年後の29歳という事で年齢的にドンピシャになりますね(笑)

当時37歳のレベッカ・ファーガソン。15歳の母親ならピッタリなはずなのに「シャラメの母親役」だとアラフィフかと錯覚しそうになって困りますw

pipi
CBさんのコメント
2021年10月29日

うわお、そんなこと言われたらめちゃくちゃ嬉しいじゃないですか

CB
pink whaleさんのコメント
2021年10月28日

観に行こうか迷っていたのですが、こちらのレビューを参考にして観に行くことに決めました!わかりやすい解説ありがとうございます

pink whale
CBさんのコメント
2021年10月24日

キネマ旬報読んで書いた甲斐がありました

CB
CBさんのコメント
2021年10月24日

それは良かったです

CB
おじゃるさんのコメント
2021年10月24日

CBさん、共感&コメントありがとうございます。
とにかく難解なカタカナ言葉が多くて、理解に苦しみました。パンフレット読んでから再鑑賞と思いつつも、上映時間の長さに腰が引けていました。でも、CBさんのレビューを読んで理解できたので、このまま次作を待ちたいと思います。ありがとうございました。😊

おじゃる
CBさんのコメント
2021年10月18日

ホントだ。羽ばたき飛行機をオーニソプターと呼ぶんですね。

CB
CBさんのコメント
2021年10月18日

うん!

CB
ワンコさんのコメント
2021年10月18日

そうなんです。多分、羽ばたく飛行機(?)の一般名称のような気がします。あれ、カッケーですよね‼️

ワンコ
NOBUさんのコメント
2021年10月16日

おはようございます。
 ホント、第2作、キチンとこの作品がヒットして製作され、公開して欲しいです。では。

NOBU