劇場公開日 2020年6月12日

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「チネチッタで「15年後のラブソング」を一人で鑑賞した。大抵は一人で...」15年後のラブソング 久保田 信吾さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5チネチッタで「15年後のラブソング」を一人で鑑賞した。大抵は一人で...

2020年6月21日
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チネチッタで「15年後のラブソング」を一人で鑑賞した。大抵は一人で映画を観る。そして余韻に浸りながら、つくづくと思う。ひどい邦題だ。安っぽいメロドラマのようで、せっかくの映画が台無しである。原題の「Juliet, Naked」では売れないと考えたのか。

映画は基本的に大人向けのお伽話である。複雑な家庭環境に身をやつす、かつてのロックスターをイーサン・ホークが演じている。これが味わい深い。あの美男子がヒゲ面で、生活感あふれる父親稼業に徹している。子供の洗濯物を干したり、孫まで生まれて、手慣れた様子で新生児を抱っこしたりしている。むさ苦しいが、笑うと可愛い。

けれども、自分にとってのイーサン・ホークは、今でも1994年の「リアリティ・バイツ」に集約される。大学卒業を控えた不安定な時期に公開され、身につまされる思いで映画館を出た。現実はそう甘くない。確かに甘くはなかった。ウィノナ・ライダーは今どこで何をしているのだろうか。

イーサン・ホークは今年50歳になる。もっと偉大な映画スターになるかと思われたが、それはそれで今でも十分に素晴らしいアクターである。ひとつ年下の自分も、色々あってもう少し何とかならなかったかとは思うけれど、それはそれで今でも十分に魅力的な中年男性、のはずである。現実も捨てたものではないと信じていたい。

しんぐちゃんぐ