「中国の恐ろしさよりもスン・イという人の強さに惹きつけられる」馬三家からの手紙 PtiNakiさんの映画レビュー(感想・評価)
中国の恐ろしさよりもスン・イという人の強さに惹きつけられる
先日、「娘は戦場で生まれた」というシリア内戦を描いたドキュメンタリーを鑑賞したばかりの余韻が残っていた...個人的には「娘は....」の映画は、爆撃や病院に担ぎ込まれる人たちの痛々しい映像があり、”動” という動きのある映像を提供していたが、本作は、語り部となっているスン・イという人の冷静に達観している雰囲気があたかも ”静” を思わせるように感じていたが、その話し方とは裏腹に鬼気迫る異様なまでの矯正教育施設の実態をモノクロのアニメーションで描いているところは言い表すことのできない異質なものを感じてしまう。
They began a massive campaign to demonize Falun Gong.
1999年より江沢民最高指導者による法輪功への弾圧があったことを振り返るのにイギリスの中道左派タブロイド紙The Guardianの2001年7月の海外のニュース”14 Falun Gong women die in detention ”によると矯正施設内で14人の法輪功の女性メンバーが自殺したことを中国政府は認めている...ただし拷問ではないと
What Sun Yi suffered there can only be seen in movies
about how the Japanese army tortured the Chinese.
Now, the Chinese are torturing Chinese.
20数年の結婚生活の中で数年しか幸せが無かったと話す夫人。家族にも迷惑が掛かるとして教養施設内での離婚を決めるスン・イという人の絶望感を描いているのに...あまりにもアニメーションの惨いシーンとは違って淡々と話している彼の姿が言い知れない悲しさを感じ取る事が出来る。
At Julie Keith's house, Halloween brings powerful memories.
A letter had made it nearly six thousand miles to Oregon.
9600キロも離れた土地から奇跡的に20通の中の一通だけ偶然にもオレゴン州に住む主婦ジュリー・キースの娘さんが見つけた手紙...その手紙も彼女は当初作り話と思っていた。
ラストは中国を離れ、インドネシア、ジャカルタで再起を考えるスン・イ。ジャカルタで手紙を世界中に知らしめた恩人のジュリー・キースと会うことが出来たことが唯一映画の中での彼の笑顔が見ることのできるシーンとなっていた。
2019年5月のFOX 11 Los Angelesのニュース番組では今なお続く法輪功に対する弾圧をとらえた隠しカメラ映像を紹介し、また一家族の娘さんが施設内で心臓発作で亡くなったのに20年近くになる未だに遺体を家族のもとに返していないという報道を見ると改めて中国政府の法輪功に対しての徹底した弾圧ぶりが見ることが出来るものとなっている。