「役者の表情からその心情を探る映画。佳品です。」モロッコ、彼女たちの朝 いなかひとさんの映画レビュー(感想・評価)
役者の表情からその心情を探る映画。佳品です。
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観る人によっては、退屈な映画だと感じるかもしれません。劇的なことは子供の出産があることぐらい。アップが多用され、役者の表情からその心情を探るまたは想像することで、この映画の良さが理解できます。夫の事故後、心を閉ざしているバン屋の経営者、彼氏に逃げられた未婚の妊婦。この二人の心の交流がストリーです。妊婦は出産後、子供を里子に出し故郷に帰って再出発をしようと考えています。それでいいのかと反対する経営者。この揺れ動く二人の心情を味わうことが、この映画の肝です。
結末は里子に出して帰郷したのか、それとも子供を連れて帰郷したのか、そこまでは映画では描かれていません。観客の想像に任されています。私の解釈はこうです。妊婦は里子に出すつもりだったので、子供に名前をつけようとしませんでした。出産後、子供に母乳を飲ませることで悩み始めます。結局、アダムと名付けます。原題はアダムです。この事から、子供を連れて故郷へ帰った。或いは里子に出したが、名付けたことにより子供との繋がりを残したと考えてました。私の隣にいた男性に尋ねたら、子供を連れて故郷に帰ったと思ったそうです。
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