「良作、見れる機会があれば絶対に観るべし!」モロッコ、彼女たちの朝 あささんの映画レビュー(感想・評価)
良作、見れる機会があれば絶対に観るべし!
「夫と死別したシングルマザーと未婚の妊婦の話」
本作ではモロッコでは禁戒とされている“未婚の妊婦”がカギとなる。そう、モロッコでは婚外交渉と中絶が違法とされている。
今じゃフランスや北欧をはじめとした国では50%以上が未婚の母、日本では2%しかいないものの年々増えていっていると言うのに…。宗教、国によってこんなにも大きく変わるのね。
サミアの存在によってアブラも生まれ変わった。
生活することで精一杯ともとれるような険しく厳しい表情のアブラ。
かつて夫とよく聴いた大好きな曲を流すことさえも拒み、愛する娘への愛情表現さえもおざなりになっていた。しかしサミアとの出会いによって固く締め付けられたアブラの心の鎖が解かれていくーー。
物語が進むに連れて柔和な表情になっていく二人、アブラが化粧をしたり、鏡を前に自分の身体に向き合ったり、また愛娘に対しての接し方も明らかに変わり、何よりアブラに笑顔が見られるようになっている。亡き夫の死によって失った“女性性”そして“母”を取り戻したのだ。
特にアブラがアイラインを引く姿が印象的。
美しく哀しくもある後半のシーンではアダムを抱きしめながら涙するサミアの姿に胸が張り裂けそうになった。
出産した後に我が子を胸に抱き、授乳した瞬間のこの上ない愛おしい幸福に満ちた気持ちを思い出す。
我が子の小さな手、足を一本一本数えて優しくキスをするシーンが胸にグッとくる。世界のママが我が子に同じことをしてるんだね、子を愛する気持ちは世界共通。
小さな小さな我が子を抱いて授乳した瞬間の筆舌に尽くしがたい喜びと深い感動を味わった直後に、我が子との別れがあるのかと思うと…それはもう想像を絶するほどの痛烈な痛みと苦しみだろう。
また本作が監督自身の母が未婚の女性を世話していたといった実話を基に製作されたというからよりリアリティである。
夫の死に向き合う権利さえも与えられないというモロッコの現状、“女性の権利”がほぼ無いに等しいイスラム社会が浮き彫りになるこの不条理の中でも、強くしなやかに生きる女性の姿に心が打たれる。
今晩は。
アーヤへの共感有難うございました。
レビューを挙げらていないので。こちらにて。私のレビューには書いていませんが、私のスケジュール管理をしてくれている働く仲間の女性が、緊急事態宣言により、子供さんの新学期がずれてしまい急遽暇な不惑のおぢさんと二人で観賞しました。(で、今朝は3時起床・・)観賞後に"どうでしたか?"とやんわりと聞くと小さな声で"面白かった"と。我ながらおバカな質問をしてしまったなあ、と反省しました。
ところで、この作品矢張面白いのですね。緊急事態宣言、早く解除されないかなあ。では。