劇場公開日 2021年8月13日

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「青✖️黄色はお互いを輝かせる色」モロッコ、彼女たちの朝 色彩先生さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5青✖️黄色はお互いを輝かせる色

2021年8月14日
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鑑賞方法:映画館

 モロッコの景色にひっそりと慎ましく生きる母・アブラと娘のワルダ。そして、2人の前に現れ妊婦のサミア。知識がなかったが、モロッコは婚外交渉と中絶が違法であり、ましてや未婚の母に対する社会保障はない。また、婚姻関係にあっても女性の地位の低さがある。その中で、笑顔も希望も忘れた彼女たちが出会う事で、輝きを取り戻せる糸口を見つけるお話。極彩色の映画に慣れてしまうとこの映画はとても華やかな色彩とは言えないのだが、灰みがかったモロッコの景色も女性たちの笑顔と自信を取り戻す中での穏やかな色使いが心地よくみえてくる。アブラは青がよく似合う!(アブラに恋してるちょっと3枚目キャラのスリマニが目をハートマークにして言う)そして、サミアは黄色が似合う。アブラの冷静で静粛性を青の服で表し、サミア本来の元気で明るくハツラツした姿を黄の服が効果的に使われている。また、黄色は他の映画の中でも希望や困難に立ち向かうなどを表している場合が多くサミアにはよく似合う。青と黄色は色彩学では補色と言いお互いを輝かせ合う色である。この色の服が現れるシーンはこの映画の中で2人が笑顔になれる時。女性監督らしい少しずつ湧き上がる母性と監督自身も感じている男尊女卑の厳しい現実の中で葛藤する姿をラストに導いてくれた映画でした。

色彩先生