パブリック 図書館の奇跡のレビュー・感想・評価
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こんな世の中おかしくない?の提言
開館時間中は
行き場のないホームレスでいっぱいの公共図書館。
図書館のトイレは
ホームレスの人たちが身だしなみを整えるための洗面所と化し、
私なら安心して利用できるのだろうか
という疑問でいっぱい。
閉館時間が来ると
ホームレスの人たちも当然図書館の外へ。
外では毎日のように誰かが凍死している。
それなのに
シェルター不足に緊急の対応もなく
誰もが気の毒だとは思いながらも
身内でも友達でもない見ず知らずの
彼らに手は差し伸べられない。
ホームレスたちの切羽詰まって取った行動が
公共図書館を夜間も解放させるということ。
それは、一見身勝手な行動のように思えるけれど
真面目に生きていてもホームレスになるような社会、
たくさんのホームレスの人たちがうまれるような社会、
それを知りながらも即座に対応しないような行政や社会を
つくってしまった私たちへの
こんな世の中おかしくない?という提言だと感じました。
アメリカの社会問題と人道
パブリック図書館で起きた一夜の出来事だけど、問題の根底は奥深く、今も延々と続いていると感じさせられた。
根本の問題とか法的にどうこう、と考えると心痛むけど、この物語は心温まる、と思わなくっちゃね。
嫌な奴もいるけど、良い奴もいる社会で、生きるのは少しシンドイけど、皆頑張って生きているんだよ。
主人公のエミリオ・エステベスは、若い頃のダスティン・ホフマンに何となく似ている気がした。
淡白な演技が自然で、だから伝わることがあるんだと思う。
全体的に面白かったです。
意義が無いとは言わないが・・・
声をあげるということ
公共性とは
I Can See Clearly Now
誰の曲だっけ?と、つい調べたら1972年のジョニー・ナッシュがオリジナルだそうで、『クール・ランニング』ではジミー・クリフのカバーが流れていた。
エミリオ・エステベス演ずるスチュアート・グッドソンという人物が非常に興味深く、部屋では野菜を育て、かなりストイックな生活をしている図書館員。徐々に彼の素顔も暴かれていくのですが、どうしても嫌いになれないタイプ。どうしてホームレスたちに優しいのかという理由も後半になるにつれわかってくるのです。
大寒波がやってきたシンシナティではホームレスがシェルターに収まりきらなくなり、暖を求めて図書館にやってくる。閉館時間となったのに彼らはロックダウンさせ、閉じこもりデモが始まったのだ。彼らに同情したスチュアートがあれこれ指示を出し、館外から見ると、彼が人質を立てこもってるように見えてしまった。折しも、市が追い出された男による75万ドルの損害賠償を求めて訴えられていたこともあり・・・
いかにも悪人といった感じのクリスチャン・スレイター。彼は州検察官でもあり、市長に立候補しようとしていたが、人気度全くなし。この騒動を機に名を売ろうという魂胆だ。また、交渉役の刑事を演ずるアレック・ボールドウィンもお互いに譲歩するよう柔和策を取っていたが、息子がホームレスに混ざっていたことに激怒し、最終的には警官隊突入の指示を出すといった具合に変貌を遂げるのだ。
こうした人間模様の中、最も社会の縮図とも思えるのが、アメリカでは10代の必読書となっている「怒りの葡萄」すら知らない能天気TVキャスターだろう(俺も読んでない)。こうした事件は人質と犯人がいるといった定型事件だとして疑わず、下手すれば事件を捏造さえしかねない存在。
国は黒人の退役軍人に対しては手厚い補償もない。シェルターを作りさえすればホームレス対策も万全だと思ってる節があるのだ。小さな行動ではあるものの、世に訴えることは大きい。日頃から読書に勤しんでいる図書館員も憲法や判例の知識を駆使する楽しさもあるし、意外な結末に驚かされることもたしか。一番好きな質問は「実物大の地球儀はある?」かな・・・残念なのは牧師の市長からの支援物資が届いたのかどうかという点。
監督・脚本・製作・主演まで務めちゃうって、エミリオ・エステベス凄い...
寒波に苛まれた街で起こった騒動が浮き彫りにする社会問題に立ち向かうワケあり図書館員のささやかな抵抗が眩しい
舞台は寒波が押し寄せるオハイオ州シンシナティ市。毎日のようにホームレスが路上で凍死する事態に胸を痛めるスチュアートが勤務する公共図書館にも朝から閉館まで暖を取りに来る常連のホームレス達がいる。ある日上司のジェフリーから呼び出されたスチュアートはシンシナティ市がホームレスから訴えられたことを知らされる。そのホームレスは図書館を利用していたが、他の利用者からのクレームを受けて止むを得ずスチュアート達が追い出した男だった。様々な境遇にある人達が十人十色の目的で利用する公共図書館が見舞われた騒動はそれだけではなかった。市内の緊急シェルターがどこも定員いっぱいで寝る場所を失ったホームレス達が閉館時間を迎えた図書館からの退去を拒否したのだった。彼らと館内に残るハメになったスチュアートは事態を平和裏に収拾しようとするが、次期市長の座を狙う検察官やスクープを画策するニュースキャスター達によって騒ぎがどんどんと大きくなっていく。
製作・監督・脚本・主演を務めているのがエミリオ・エステベス。善良な市民が失業によってあっけなく家を奪われてしまう貧困の問題だけでなく、全米を席巻するオピオイド依存症の問題などの社会問題にも触れながら、様々な著書からの引用を織り交ぜて権利とは自由とは何かを観客に問い、なぜスチュアートが図書館を利用するホームレスの人達に親身に接するのかを少しずつ見せていく地味なドラマ。スタインベックの引用他本好きの人達ならニヤリとしてしまうようなセリフの数々が沢山ありますし、意外なところでデヴィッド・クローネンバーグ好きもクスッとしてしまう映画ネタもあったりして重厚なテーマを扱いながらもなかなか軽快に楽しめる作品。夜な夜な行方不明の息子を探し回るシンシナティ市警の交渉人ラムステッド、図書館での騒動までも自身のイメージアップに利用しようとする検察官デイヴィスといったキャラクターをもっと生かせるエピソードを盛り込めたのではないかというちょっとした食い足りなさもないではないですが、スチュワートの周りにいる人々が持ち込むちょっとイイ話の数々がそれを帳消しにしてしまいます。突き抜けた爽快感こそありませんが、人々の良心にさりげなく寄り添う慎ましやかな良作です。
我々の知らない公共事情
「公共」を「個人」を通して描くことの難しさ
懐かしいな、エミリオ・エステベス。
お、アレック・ボールドウィン。
うわ、クリスチャン・スレーター。
出演者はちゃんと調べてなかったので、そんなミーハーな感覚を覚えながら鑑賞。
「公共」という、すべての人に権利の与えられた場で起きる、「個」の衝突。
誰の言い分も理があると思う一方で、それがエゴでもある。
我が国でも災害時、避難所で同じ様な問題が起きたのは記憶に新しい。
おそらく誰もが納得するような正解のないこの難しいテーマを、軽いコメディタッチで最後まで魅せたのは好感が持てる。
ただ、それだけにラストが『メッセージ』というより(本作、数少ないヒール役である)「彼」そして「彼女」が象徴するモノへの単なる『意趣返し』に見えてしまうのがモヤモヤする。
全体に散りばめられたパーツが、最後までそこらへんに落ちてて気になる…みたいな感じも否めない。
「あの歌」の意味、「あの本」の意味も不勉強な私には正直ピンと来なかった。
この事件は、サブタイトルにある様な『図書館の奇跡』なのか?
日本人の好きな感動作品に見せたいのは分かるけど、それは違うだろ。
でも課題は提示された。
それぞれの環境や立場でその答えは違ってくるんだろう。
この作品は、物語の結末ではなく、むしろこの「問題提起」そのものに意味があるのかもしれない。
そして、我々はこれからいつ・どこで・どの立場でこういった場面に遭遇するとも限らない。
自分?家族?福祉?権利?
何を守るべきなのか。
誠実に向き合おうとすればするほど、悩ましい。
好きだな、こういう映画。
誰もが使える図書館の感動作!
凄く良かった!
エンタメ系の映画が好きな自分なので、不安はあったけどメッチャ心に響いた!
タイトル通り、誰もが利用出来る図書館での出来事。
大寒波が来る日、路上生活者が暖を取る為に図書館を占拠するストーリー。
図書館職員のスチュアートの判断で、路上生活者と共に図書館で一晩を明かす展開。
これは「OODA」の手法に基づく現場の判断(笑)
素晴らしい。
実話に基づいた映画とも思えるストーリーに終始釘付け。
アメリカでは人種差別の問題とかある中、スチュアートの誰も差別をしない性格が素晴らしい。
路上生活者が図書館の手洗い場で歯磨きするシーンとか、パソコンで出会い系サイトとかしてるシーンなど。
何だか微笑ましい(笑)
邦画では作れない作品。
観て良かったなぁ~。
白クマの剥製の意味が解ったような解らなかった様な感じ( ´∀`)
図書館長まですっポンポンの潔さ
茹だるような暑い日が続いております。最高気温40度の真夏日に、凍死するかもという緊迫感を感じるのはとてもむずかしかったけど なかなかよかったです。
監督・脚本・主演のエミリオ・エステぺスに拍手~ 11年の歳月を費やしたエステぺス。脚本がよく練られています。まるで実話を元に作られたかのように登場人物や関係性が丁寧に描かれている。
ホームレスのリーダー、ジャクソンが冷静で賢く、図書館員のスチュワートをサポートする電話シーンなどお気に入りの場面が多かった。ホームレスの役者が皆個性的。博学のジーザス。レザーアイビームのビックジョージも。ジャクソン役のマイケル・ケネス・ウィリアムズにダンスパフォーマンスのシーンを作ってあげたけど、机の上で踊っては器物破損になるから気を付けてよ~ってヒヤヒヤ。
図書館の外からスチュワートのアパートの綺麗な雇われ大家さんが図書館の様子を動画で送るように言うものだから。それが吉と出るか、凶と出るかがマスコミのレポーターの思惑も絡んでわからないことも緊張感が続いて見られたと思う。
次期市長候補の検事長や警察の交渉人相手に「公立図書館は民主主義の最後の砦だ」と図書館長に言わすけど、それは言い過ぎじゃない?相手を無駄に刺激しないでよ。どのくらいの覚悟よと思ったら、ちゃんと最後に示してくれました。スチュワート側についてくれる素晴らしい上司。本と図書館がスチュワートを救ってくれたことに対する恩返しの背景もよかった。
えーと、プレーンが9ドル50セントで、トマトとバジルのピザは12ドルでしたっけ? アパートのなかで節約のためにトマト🍅栽培する植物男子ベランダーっぽい主役のキャラクター設定が後で回収されていてグッドでした。
真面目! すごく、よかった。
極寒の米国シンシナティ、閉館時刻を過ぎてもホームレスたちが「ここにいさせてくれ」と帰らずに占拠した。巻き込まれた図書館員が、警察との交渉を任される話。
いやあ、面白かった。前半はエンタテインメント的に面白かった。そして後半は、2極化するアメリカ、新自由主義という言葉のもとで、よりいっそう虐げられている底辺層の人々を描く社会派映画として、面白かった。終わってみれば、"真面目" だ。めちゃくちゃ真面目だ。真剣に考えた。
底辺層が自ら呟く「連中にすりゃ、怠け者の集団さ」というセリフが強烈。「失業したのが運の尽き、さ」という言葉が全てなのだろう。そこからホームレスまで転げ落ちてしまうアメリカという国。
政治家にもマスコミにも投げかけられる「ショーは終わりだ」という厳しいセリフ。自分の名声とか視聴率のために、底辺層の話をするのはおしまいにして、真面目に話そう、という意味だろうか。
転げ落ちた人々が、あまりの寒さ、死と隣り合わせの寒さから、我が身を守るために声をあげと、というのがこの映画だが、巻き込まれる図書館員の経歴が工夫されていて、彼らの代弁をするところが、この映画の工夫かな。これによって、観ている俺たちが、どう考えるかを問われる。
ホームレス達が言う「存在を伝えるか、黙るか」だ。ホームレスの存在を知ってはいるが、彼らがものを言わないことをいいことに、考えることすら怠っているのではないか。自らを、振り返らされる映画だ。
ここでも「怒りの葡萄」だ。セリフでは「米国では、小学生の必読書よ」と言われていたが、「21世紀の資本」でもその映画が流れていたように、今現在、資本主義の中にいる者は、忘れてはいけない内容なのだろう。自分も未読なので、この夏に必ず読もう。中学生の課題図書みたいだな。
looking for miracle (奇跡は、見つかりますか?)という映画なんだね。皆で考えて、見つけたいよね!
「公共性」を考える
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《問題は「差別する側』が作る》
ストックホルム症候群?
米版図書館戦争
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