劇場公開日 2020年7月17日

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パブリック 図書館の奇跡のレビュー・感想・評価

全125件中、1~20件目を表示

4.0多少の古さはあるものの、真摯で軽妙な社会派エンタメとして秀逸

2020年7月31日
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この映画のことが大好きだと断った上で、いくつか批判めいたことを書きたい。ひとつは序盤のアパートの管理人との恋愛パート。男と女が気の利いた会話をしてカジュアルにベッドインという80年代、90年代的なシーンを久々に見た気がする。そして、管理人や職場の部下も含めて、女性たちがあくまでもサポート的な役割に徹していること。また、図書館に立てこもるホームレスが男性ばかりであること。クライマックスのオチのために主要キャラは男性限定にしたかったのかも知れないが、人種差別や貧富の格差など、さまざまな公的なテーマを扱っている以上、本作における男性優位性は、さすがに批判の対象になっても仕方ないと思う。

一方で、80年代育ちのエステヴェスが、今の感覚にしてみればちょっと古い作風であることが、正しい正しくないはともかく、愛らしく感じられるというのはある。全方位に正しい映画作りなんてものは存在しないし、エステヴェスが真摯にテーマに向き合っていることはちゃんと伝わるし、実直さを失わず、愉快なエンタメに仕上げてみせたバランス感覚もいい。いくつか不満はあるものの、やはりこの映画もエステヴェスのことも大好きなのである。

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村山章

4.5図書館が民主主義と命を守っている

2020年7月31日
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鑑賞方法:映画館

「図書館は民主主義を守る最後の砦」という台詞にぐっと来る。図書館は、だれもが情報にアクセスできる自由を保証する。移民によって発展してきたアメリカでは、言葉を学んだり、知識を得たりするために図書館は大きな役割を果たしてきた。その図書館が、今全米でホームレスたちのたまり場となっている。そして、行き場のないホームレスの生命を守る最後の砦になっていることが本作では描かれている。
大寒波に襲われた街で、ホームレスのシェルターも全く足りない状況で、行く宛のないホームレスたちが図書館を占拠する。今追い出されたら寒さで死んでしまうという状況で、図書館司書たちは彼らとともに図書館に立てこもる。検察は法を執行しようと彼らを追い出そうとする。
表現の自由や情報アクセスの自由を守るだけでなく、図書館は今、貧困で家を無くした人々の命をも守っている。タイトルの「パブリック」のあるべき形がここには描かれている。

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杉本穂高

3.5公共。地味だが奥深いテーマ設定の巧さ

2020年7月28日
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鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

知的

監督としてのエミリオ・エステベスは、ロバート・ケネディ暗殺を扱った「ボビー」など派手めの題材も手がけたが、新作で描くのは一見地味な、大寒波の夜にホームレスたちが図書館を占拠する騒動。兼脚本のエステベスが、巻き込まれる心優しい司書スチュアートの役で主演している。

図書館がホームレスのシェルター代わりになっている、との記事に着想を得た。他の利用者から苦情で退去させた悪臭のホームレスに訴えられる話が出てくるが、実際に米国の図書館が苦慮している難題だとか。

騒動に乗じて顔を売ろうとする野心家の検察官(こんな小悪党役が増えたクリスチャン・スレイター)とTVレポーターにより、スチュアートは危険な扇動者に仕立てられてしまう。占拠の行方も楽しめるが、所得格差、ホームレス支援の不足といった社会問題の穏やかな提起に感じ入った。公共は、また知の拠点である図書館は、どうあるべきかを考えさせる力が確かにある。

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高森 郁哉

4.0エステベスらしい人物描写が温かく優しい味わいを残す

2020年7月1日
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俳優出身のバックグラウンドゆえか、エステベスは自らの監督作でいつも、一人ひとりのキャラクターの旨みを引き出し、彼らが人生を交えることで生じる化学変化にじっくりと焦点を当てる。その傾向は本作でも変わらない。語り口は急がず、焦らず。まずは寒さをしのぎたいホームレスにとって図書館がシェルター代わりと化している状況や、そもそも図書館が「知りたい」という欲求を満たすための、あらゆる人に開かれた公共の場であることを多角的に描く。では公共性とは何か。ここから自由や権利をめぐる難しい話になるかと思いきや、それらを一つのムーブメントに集約させていくのは実に巧いやり方だ。無駄に緊張や興奮を煽るのではなく、落ち着いて推移を見守れる感じ。ボールドウィンやスレーターの見せ場をもっと見たかった気もするが、ちょっと足りないくらいが本作には合っている。それによって逆に、温もりや優しさ、支え合いが際立つ名作に仕上がった。

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牛津厚信

5.0笑っていたはずなのに涙していた

2023年9月19日
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鑑賞方法:映画館

公共の概念を問い直す秀作。素晴らしい映画。
公平や公正の在り方を巡って公共って?矜恃や誇りって?というのをきれいに描き切っていたところが勉強になりました。
笑いどころが結構あって力まずに気楽に鑑賞できる作りで、結構重いテーマが連なっていくのにポンポンと話が進んでいくのは気持ち良かった。

ラストシーンはそう来るか!で大爆笑しました。でも、一通り笑った後に、実は危険と隣りわせの状況で命と誇りを保つための決死の行動だったのかな?とか、頭の中を想いが巡っていくうちに泣いてました。

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zem_movie_review

3.0奇跡?

2022年9月28日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

最後まで奇跡は起きなかった。
タイトルに騙された感じです。
極寒から守るために図書館に立て篭もったが、悪意ある人たちによって悪者に仕立て上げられてしまう。
さてどう対応するのかと期待をこめて見ていましたが、あれよという感じで終わってしまいました。
中盤までは、面白かったが後半が中途半端な感じがしました。

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たけお

4.5心を打つ希望の作品

2022年9月1日
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エミリオ・エステヴェスの映画作りの情熱さが十分に伝わってくる作品に思えた。話の流れは、もの凄く地味だが、アメリカの無慈悲な社会のあり方に、小刻みにジャブを打ち続きていき、現代の社会に平等を求め続けている。ただ単に、ホームレスが、寒さを凌ぐ為に図書館を占領しているだけの話じゃなくて、立てこもりの中で出てくる社会生活での不平等さの問題。それらの問題にエミリオ・エステヴェス演じるスチュアートが、どうのように70名のホームレスと一緒に戦うか。そして最後に、どうやって平等を見つけだすか。心を打つ希望の作品だ。

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ジェット

4.0図書館はホームレスのユートピア!?

2022年8月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

とても暖かい優しさに包まれる佳作です。
1シーン、1シーンの全てが練られて考え抜かれた脚本が素晴らしいです。

《ホームレスの図書館立て篭もり事件の顛末》
を、描いた映画です。
2018年(アメリカ)監督・脚本・製作・主演・エミリオ・エステベス。
構想10年。クリスチャン・スレイターには10年前に脚本を渡したそうです。

オハイオ州シンシナティの公立図書館の3階のフロアを70人のホームレスに占拠された。
外は寒波が襲来して、ホームレスの凍死者が毎日出ている。
ホームレスのジョージが口火を切り、図書館員のスチュアート(エミリオ・エステベス)は
ついつい協力してしまう。

警察の交渉人ビル(アレック・ボールドウィン)や、郡の検察官ジョシュ・ディヴィス(クリスチャン・スレーター)が、対応に追われる。
(ジョシュは次期の市長選に立候補予定)
そして警察車両やテレビの中継者が集まり全米の注目を集めることに・・・。

テレビ・リポーターの言い方はまるでスチュアートがホームレスを扇動して指揮してるような言い方・・・フェイク・ニュースはこうやって流されるんだなあ(怖い、怖い)

ホームレスの彼らは一夜の暖を取りたいだけ、スチュアートは「出て行け!!」
と、言えなかっただけ!!
スチュアートには強く彼らを追い出せない理由があった。

女性配役もすごく良かったです。
スチュアート同僚図書館員のマイラ。
アパートの管理人のアンジェラ。
アンジェラは図書館の外からスチュアートにアドバイスする司令官(?)
スチュアートの人物像が本当に素敵でした。
ホームレスの過去や、逮捕歴、アルコール依存症からたちなおり、
アパートの中は菜園・・・人の痛みを知る人です。
スチュアートが電話口で「立て篭もりの理由」を問われて、
スタインベックの「怒りの葡萄」の一節を朗読するシーンは、
素晴らしい!
「怒りは葡萄を大きく育てる・・・」

ラストはなんと、なんと、なんと・・・とてもハートフルでユーモラスであったかい!!
今度のことで、なにも変わらないかもしれないけれど、何事にも最初の一歩はある!

(エミリオ・エステベスは80年代の青春スターで、マーティン・シーンの息子)
(監督としても印象的な仕事を今回も果たしました)

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琥珀糖

4.0好きです。

2022年7月14日
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派手な演出やテンポのいいセリフなどはありませんが、主題というかテーマがしっかりしていて好きです。
強いメッセージ性を意識した映画にありがちな「悲劇」が無かった事にも好感が持てます。

この映画、私は好きです。

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ビン棒

2.0脱がしてどうするの?

2022年7月10日
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鑑賞方法:DVD/BD
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odeonza

3.0大寒波の寒い夜、どこのシェルターも満杯という状況でホームレスたちが...

2022年6月24日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

大寒波の寒い夜、どこのシェルターも満杯という状況でホームレスたちが図書館を去らないという抗議から、同情した図書館員も一緒に行動を共にすることになる。
ラストはとてもユニーク。その中にもホームレスの現状を訴えるメッセージ性があると思った。

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よっしー

0.5図書館には『図書館の自由』と言うものがある。がしかし、その前にホームレスを出さない社会を作るべきだ。

2022年6月1日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.0分かりやすい…

2022年4月17日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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KEI

4.0「公共」という痛いところを突いた映画。 図書館だけでなく役所も学校...

2022年4月13日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

「公共」という痛いところを突いた映画。
図書館だけでなく役所も学校も市民会館も。
挙げれば切りが無い。
どうして図書館なのかわからないが図書館だからこその面白さも十分にあった。
たまたま目の前にあった「怒りの葡萄」はわざとらしかったが
ホームレスが真剣に本を読んでいたりゲームに興じたり、出入り口が1箇所というのも良かった。
格言じみた台詞やしゃれたツッコミがさらに面白くしている。

いつのまにか首謀者になってしまった善人と己のことしか考えていない市長や検事の悪人たち。
悪人からいい人になりそうだったTVレポーター、みな個性豊かだったが主人公はやはりホームレスの皆さんだ。
バスで連れ去られた後が心配だ。

ところで検事は自分の息子を留置場にぶちこんだんやろな。
あと、グッドソンに言いたい。
路上で寝る時間は「5分」ではなく「10分」やろと。

神に与えられた声を出してみました。

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Elton Shin

4.0驚きの展開

2022年4月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

難しい

世界が抱える人種や貧富の格差社会問題、これを時にコミカルに描いている。
難しい問題も、こんなアプローチもあるんだなぁと思った。
派手な暴力シーンもなく、弱者目線で描いている。
メッセージがたくさん隠れている、鑑賞後は楽しい気分になりました。

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かずじー

3.0図書館員とホームレス

2022年2月27日
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見聞

3.0微妙

2022年2月23日
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鑑賞方法:VOD

アメリカという国を理解していれば
なるほど!いい作品だ!
となるのでしょうが
パッとみでは、占拠した彼らのわがままじゃね?
で終わってしまうところでした。
まあ、ベテラン俳優さん達が脇をしめててそれなりに見応えはありました。
日本人には理解しにくい文化的背景がありますね。

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けはえ

4.0平和で抗議的な映画

2022年1月16日
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gx4flc

3.0make some noise

2022年1月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

公共とは?という問いを掲げた作品。
ホームレスだろうが何だろうが、社会に要らない人など居ないわけで。
ただ行政としては限られた予算を多数派に使うため、
しわ寄せを受ける人たちがいるよねっていう。

上位数名の富豪が世界全体の富のほとんどを占有してるって報道もあるしね。
カネがあれば幸せだとは言わないけども、
もうちょっと皆に行きわたる社会ってできないんですかね?とは思う。

支援物資を持ってくることが解決にはならないだろうし、
裸で投降することも根本的な解決にはならないだろう。
釈然としない感想になったけど、答えの模索を促すって意味で価値のある作品。

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mar

3.5The Public

2021年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

publicの意味を再考するいい映画だったと思う。
日本では、「公共」や「公立」といった翻訳だけが一人歩きし、場合によっては誤解さえ生じかねない言葉になっている。

副題が「図書館の奇跡」となっているが、こんな陳腐な日本語を追加してしまうのも、やはりpublicの意味が十分に浸透していないからなのだろうか。

図書館員スチュアートも立てこもるホームレスも、ラムステッドもpublicのひとりだし、それはディヴィスでも同じことだ。ただ、その多くの者が、独りよがりの独善的なpublicを振りかざす時、その専横的なpublicから締め出される者たちがいることを忘れてはならない。
誰もが「裸」であるということこそがpublicの場を存在根拠なのかもしれない。でなければ、その場所が誰にとってもcommonたり得るものにならない。

それを考えれば、図書館はpublicそのものであり、具現化されたものをそこにみてとることができる。・・・・って大半の司書は誰でもそう思ってると思うけど。。

この映画に何ら新しい視点などのない。
それは、顕在化されてはいない凡庸なるpublicだけがあるに過ぎない。
しかし、それを誰も理解しようとしない。

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