劇場公開日 2020年7月17日

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「「公共」を「個人」を通して描くことの難しさ」パブリック 図書館の奇跡 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「公共」を「個人」を通して描くことの難しさ

2020年8月14日
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懐かしいな、エミリオ・エステベス。
お、アレック・ボールドウィン。
うわ、クリスチャン・スレーター。

出演者はちゃんと調べてなかったので、そんなミーハーな感覚を覚えながら鑑賞。

「公共」という、すべての人に権利の与えられた場で起きる、「個」の衝突。
誰の言い分も理があると思う一方で、それがエゴでもある。

我が国でも災害時、避難所で同じ様な問題が起きたのは記憶に新しい。

おそらく誰もが納得するような正解のないこの難しいテーマを、軽いコメディタッチで最後まで魅せたのは好感が持てる。

ただ、それだけにラストが『メッセージ』というより(本作、数少ないヒール役である)「彼」そして「彼女」が象徴するモノへの単なる『意趣返し』に見えてしまうのがモヤモヤする。
全体に散りばめられたパーツが、最後までそこらへんに落ちてて気になる…みたいな感じも否めない。

「あの歌」の意味、「あの本」の意味も不勉強な私には正直ピンと来なかった。

この事件は、サブタイトルにある様な『図書館の奇跡』なのか?
日本人の好きな感動作品に見せたいのは分かるけど、それは違うだろ。

でも課題は提示された。
それぞれの環境や立場でその答えは違ってくるんだろう。

この作品は、物語の結末ではなく、むしろこの「問題提起」そのものに意味があるのかもしれない。
そして、我々はこれからいつ・どこで・どの立場でこういった場面に遭遇するとも限らない。

自分?家族?福祉?権利?
何を守るべきなのか。

誠実に向き合おうとすればするほど、悩ましい。

キレンジャー