「「公共」の難しさ」パブリック 図書館の奇跡 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
「公共」の難しさ
大寒波がおとずれている街にて、凍死から逃れるために公共施設である図書館に立てこもったホームレス達と、ある理由から彼らに味方する図書館職員の物語。
凄く面白かったかと言えばわからないけど、考えさせられるという意味ではとても良い作品。
評価がかなりわかれているのも頷ける。
この図書館は「公共施設」であるため、ホームレスだろうと誰だろうと使用できるのは当然。
だが、開館時間外に占拠するのは明らかに違法行為。
しかし、外にいれば死ぬ。命がかかるとなれば行動は選んでいられない。
さて、どうしたものでしょうか。。
深く考えさせられる良い作品だったけど、ただ、ホームレス達について、働きたくても、働けない・働かせてもらえない…とかの背景の描写がないのが。。
でなければ、キリスト教の精神だのと主張して図書館を占拠しときながら、
それこそ、「公共物」である本をバタバタと投げ捨てたり、机にのぼって歌いだしたり…って、ただの暴徒に見えなくもない。
特に、リーダー格のホームレスは、路上生活から脱したいとも思っていないようで…。
エンドロール直前の最後のセリフのシーンも、かなり素敵な雰囲気だったけど、もっと「本」がフューチャーされていればなぁと。
良いところとしては、主人公の同僚の女性とマンションの管理人(?)の女性。
強さと優しさを感じる女性陣は非常に良い味を出していた。
また、所謂「敵役」達も素晴らしい。
検察官は見事なヒールっぷり。
刑事さんのサイドストーリーも良い。
余り頼りにならない警備員もリアル。
また、全体を通してあまりBGMも無く、バックに聞こえるのは大人数のザワザワ声。
この感じもすごい好きでした。
あとは不謹慎ながら、図書館でみんなで夜通し過ごす、ってちょっと楽しそうと思った(笑)
良いところも、賛同しかねるところもいっぱいあった2時間。
繰り返しになりますが、評価が分かれるのは納得と同時に、簡単に答えの出ない問題について深く考えさせられる良い作品でした!
…帽子は取らないのね。