「大好き。とても感動しました。」耳をすませば 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
大好き。とても感動しました。
アニメの10年後として好感が持てて、とても完成度が高い。
抑制の効いたラブストーリーとして秀逸です。
音楽センスもクオリティが高い。
個人的にとても好きな作品です。
チェロを弾く人、
物語を書く人、
松坂桃李、
この3つが琴線を強く刺激する。
私の好きなことだから、
アニメ「耳をすませば」の10年後を描く実写版・・・
はじめその映画に特に魅力を感じていなかった。
しかし鑑賞した感想は、わ
「すみません、見くびっていました」と、
お詫びしたいです。
松坂桃李が出演している、彼が選んだ映画・・・
つまりは秀作なのは当然なのだ、
この点でも大好きな桃李くんを見くびっていた自分が恥ずかしい。
前半は1987年。
当時の中3の月島雫(安原琉那)と天沢聖司(荒木飛翔)は、
本好きで空想好きと言う共通点から、
いつとはなくかけがえのない友達になる。
作家に憧れる雫とチェロ奏者を目指す聖司。
中学卒業と同時にイタリア留学を決める聖司。
2人は10年後。思い出の場所での再会を約束して、
離れ離れになるのです。
前半部分は中3の2人を10年後の2人が回想する手法で、
雫と聖司の馴れ初めや深い絆を淡々と描きます。
回想部分と現代部分のチェンジが上手い。
窓や扉を開けたら、雫シーンから聖司シーンへ変わってたり、
猫の置き物バロンや聖司のお祖父さん(近藤正臣)の会話で、
ファンタジーの世界へ誘導されたり、創作レトリックは実に多彩。
後半の50分は抑えていた抑制から解かれて、ストーリーは
動き出す。
怒涛の展開と盛り上がりを見せます。
25歳の雫は出版社の編集者です。
どこか冴えない表情で、10年前の明るさや溌剌さを失っている。
それは10年間創作を続けて賞に応募しても全く評価されずに
作家の夢を諦めかけていること。
担当作家(田中圭)から、担当への熱意のない上に
作品の良し悪しを正直に言わない態度に
愛想を尽かされて担当を外されてしまう。
10年間の手紙と電話だけの遠距離恋愛にも、手応えを失いつつあった。
そして雫は決断する。
天沢聖司の住むイタリアへ旅立つのことを。
挿入音楽が良いです。
「翼をください」
手垢の付いた、だけど今もこれからも変わらぬ名曲です。
15歳の雫に、チェロを弾く15歳の聖司はリクエストします。
「知ってるだろ、俺が弾くから、歌って」
ところがカメラはパンして1998年の現在になっています。
これは演出だったんです。
10年後。
イタリアの聖司の部屋で、聖司(松坂桃李)のチェロの伴奏で雫(清野菜名)が、
歌います。
チェロの伴奏アレンジはとても現代的編曲。
不協和音と言うか、この伴奏で歌える清野菜名は奇蹟です、殆ど。
清野菜名+松坂桃李、
一番の歌が終わると
安原琉那+荒木飛翔が加わる
チェロは2本、
歌は2人・・・
ハモっていないが迫力がある。
と言う、凝ったアレンジなのです。
この演奏がとても素晴らしい。
そして日本に帰ることを決意した聖司(松坂桃李)が大きな中庭で、
「翼をください」のメロディをチェロで弾くと、
アコーディオンが加わり、コントラバスも加わり、
ヴァイオリン、ギターそして周りの人たちがタンバリンを叩き、
みんなが手拍子を打つ。
踊る人々・・・大集団になりお祭り騒ぎ。
さながらクロスオーバー・クラシックです。
この「翼をください」の演奏アレンジも素晴らしかった。
そしてエンディングで杏の歌う「翼をください」
杏の落ち着いていて心地よいメゾソプラノの伸びのある声。
伴奏はギターを中心にした清潔なアンサンブル。
手垢の付いた曲を見事に再生したアレンジした作曲家の高見優さんや
その他の音響の方々。
やはり「翼をください」は発信力があります。
2人の10年後を観れて良かったです。
純愛を貫く2人。
チェロを弾いても、《音が鳴らない聖司》
小物語りを書いても《音が鳴らなくなった雫》
心の水が凍ってしまった2人。
溶かすのは2人の愛のチカラ。
自分の心の奥底を覗き込んで、心を開いて、
心の声に、
耳をすませば、
お互いがどんなに必要かが分かる筈。
多幸感に包まれました。
ラスト、
聖司が雫を抱き抱えるシーン、
松坂桃李がとても大きく、清野菜名は半分しかない。
大きな愛、
そう感じました。
共感ありがとうございます。
スタジオジブリの青春映画って、
本作のように、青春が溢れていて、観終わってスッキリする作品が多いですね。
こちらは、
『怪物』の余韻に浸るというか引き摺られているところです。
映画の世界って、途轍もなく広くて深いです。
極められないです。だからこそ挑みたくなります。
天邪鬼な私としては。
では、また共感作で。
ー以上ー
イイねありがとうございました😊んな恋愛あるわけないだろ・・と猜疑心の強い私は、松坂桃李さん清野菜名さんのプラトニックに 絶対騙されないぞ❗️と抵抗してましたが、・・二人の生き様の清らかさ。おっしゃる音楽のハーモニーの清らかさに 最後のために溜め込んだ愛の結実に 私自身 陥落、完落ち しました。ちなみにジブリだかは年代的に観てないと言うより知りません❗️【トトロ、トトロ❗️】と【火垂るの墓】の地獄の組み合わせは知ってます。ありがとうございました。