「復習無しで楽しめます 10年後の恋愛の展開に疑問」耳をすませば zuzuさんの映画レビュー(感想・評価)
復習無しで楽しめます 10年後の恋愛の展開に疑問
随分昔に見た、ジブリアニメ「耳をすませば」の実写版+10年後のストーリーと聞いて、映画館に行きました。
アニメのストーリーのエッセンスや、雰囲気は残したまま、爽やかな映像空間と役者さん達のひたむきな演技を楽しめました。
主に10年後を中心に、時々、原作にあった中学生時代が重なり合うように想起される、と言う展開は、原作を復習しないで見た私にも自然に入ってきました。
10年後も、2人のアーティストはそれぞれ自分の問題と闘いながら、雫と誠司のラブストーリーは続いていました。遠距離ながらも、お互いの存在を支えに成長していくと言うピュアさに涙。思わず、雫を応援したくなります。
しかし、雫が誠司を訪ねてイタリアに行った時の、唐突な三角関係のもつれと、その後の誠司の対応、手紙等等に、あまりにも違和感がありすぎました。誠司の対応は、男として最低の低ですし不自然です。
雫を誤解させ傷つけたまま、のうのうとイタリアで楽しく活動する誠司。次のアルバムのテーマは日本だと思いつき、突然帰ってくる。そしてアニメを彷彿とさせるように、朝、雫の実家の前に自転車でくる、丘の上で熱烈な愛のプロポーズ。
いやいやいやいや、おかしすぎです。ラストのプロポーズの情熱が誠司にあるなら、イタリアで即座に雫を探して謝り何としても誤解を解くことに奔走するでしょう。会えなくても電話や手紙をし続け、許しをこう、同時にプロポーズでしょう。何故なら、そうしなければ一番愛する雫を深く傷ついたまま、誤解したまま過ごさせてしまうから、そして雫を失うかもしれないから。そんな心のまま、落ち着いて演奏できる誠司の設定がおかしすぎです。10年待たせた挙句の仕打ち、映画見てるだけの私でも、「こんな男、許せん!!」なのに、当の雫の反応も緩すぎます。2人の心模様に違和感ありありでした。
ラストシーンをアニメに寄せたくて、そこまでプロポーズを引っ張ったのだと思いますが、その分、心の流れは無視され、不自然なストーリー展開になり、鼻白みました。心をテーマにした話なのに、そこが描ききれていない脚本・構成が残念でした。
1998年の設定なので携帯はないでしょうし、現地にいるうちは手紙も無理、ホテルの場所も聞いてなかった。
そのままの格好で明け方に幻覚を見ていたので、朝まで探してた、ということじゃないかと思ってます。
エアメールなら届くまで数日かかるし、仕事もあるのに即帰国も現実的ではないので、個人的には違和感なかったです。
まぁ、行間を整合性が取れるように埋めた結果ですが。笑