エイブのキッチンストーリーのレビュー・感想・評価
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対立する祖国に心を悩ませる少年!
キュートでカラフル、メチャ可愛らしい映画
画面が童話か?絵本か?グラフィックか?
と言うほどセンスあってポップで楽しい。
エイブ君がFacebookに載せる料理もめちゃ美味しそう。
そんな可愛い映画なのにサブテーマは、対立するふたつのカルチャー(祖国)
2019年(アメリカ/ブラジル)
監督はブラジル人のフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデ。
自身の体験を元に映画にしました。
料理を愛する12歳の少年エイブを悩ませる2つの祖国。
パレスチナ人の父親とイスラエル人の母親を持つエイブはニューヨークのブルックリンで暮らしている。
文化と宗教の違いからすぐ口論になる家族に悩んでいる。
エイブ君(ノア・シュナップ)が見るからに愛らしい。
画面もお料理本のように美しくセンスあります。
そしてエイブの尊敬する料理人チコはブラジル人。
なのでBGMが明るく乗りの良いアップテンポの多国籍音楽。
楽しいはずの映画なのに、問題は難問で複雑。
父方の祖母はラマダンの絶食。
エイブは豚肉を食べないユダヤ人。
エイブの企画するフュージョンのお家族みんなの食事会。
エイブ君にも、家族のみんなにも嵐が吹き荒れるけど、ふたつの祖国を持つエイブ君に妥協点は見つかるかしら?
祖国をふたつ持つことの難しさと、過去の遺恨を水に流せない大人たち。
味付けも複雑だけど、《ルーツに悩むエイブ君》のチャーミングな映画でした。
卓上の宗教戦争の終わらせ方
映画とは関係ないけど、民主バイデンの動きが予想よりはるかに早い様でビビってます。23日、派兵決定の未確認情報。複数の派兵先情報が飛び交っており真偽も定かではありません(定期的な交代が大規模に行われるだけ?)が、早晩、戦争が始まります。イスラエルのパレスチナ爆撃も年明けから規模が拡大しています。トランプがプロレスで終わらせたイランとの関係も、時間の問題かも知れません。増税・移民・国内石油産業壊滅で失業率が高まり戦争、と言う流れになるとしか思えないのですが、これは状況は違えどもベトナムを彷彿させるものです。
映画の方は、料理少年の物語を通じて、「子供達=未来のために争い=戦争を止めよう」と言うメッセージを送ると言うシロモノ。ソフトな見た目にそぐわない、ハードなテーマ性も感じる良作です。
"Just be yourself"
出自を歴史も忘れて。今、ここで生きる自分が、行きたい様に生きる。ありたいように、ある。そうすべきだと言う言葉は、ブラジルからの移民であるチコの口から発せられます。
"Confusion"を脱して"Fusion"へ。
混乱の世界から混成の世界への変革のカギは何なのかが、エイブと家族の成長物語のテーマ。
娘の兵役逃がれでアメリカに移住して来たイスラエル人一家と、WW2後にアメリカに渡って来たパレスチナ人のムスリム一家。ちなみにイスラエルは、数々の「女性も徴兵の対象としている国」の一つです。
イスラエルのユダヤ人とパレスチナのムスリムの結婚の方が、そりゃあ、アナタ。大騒ぎだったんじゃないかと思うんだけど。日本でも、出身県が違うだけで、作法がしきたりがと煩いのに。イスラエルとパレスチナでっせ。交戦状態の両国でっせ。下手すりゃ、流血もんでしょw
恨みつらみは山ほどあるでしょう。乗り越えられないのは、その人の問題。次世代に引き継いで、どうする。って言う話。宗教が人を隔てる道具になったら、戦争が始まるのは時間の問題。隔てるより、隣人を愛せよ。と言うラストカットが良かった。
まぁ、孫は可愛いっすからねぇw
洗い物しながら、鍋や皿を舐めるのは料理人味ヘイの世界ですが。エイブは育ちが良いので、舐めませんでしたw
良かった。想像していたものとは、かなり違ってたけど。
ノア・シュナップ君の瑞々しい演技
主人公エイブを演じたノア・シュナップ君の少年らしい素直な演技がいい。エイブがあれこれと試行錯誤する姿が、健気で愛おしい。( 映画「 アーニャは、きっと来る 」でも素晴らしい演技でした。 )
母親や祖父母のエイブに対する想いや期待が絡み合い、大人6人に対し子供が1人というのは、大人の目が多過ぎ、なかなか大変だなと感じました。
母親の泣き顔がとても美しかった。
料理が良い関係性をもたらす事、ありそうですね。
映画館にて鑑賞
料理は科学、そして…
『ストレンジャー・シングス』でお馴染みのノア・シュナップ主演作品。
宗教・文化が異なる両親の元生まれたエイブ(ノア・シュナップ)は顔を合わせては対立を繰り返す親戚たちに悩む。
消えてなくなりそうな演技は素晴らしかった。
イカした曲に乗せてSNSの画面、調理カットが良いテンポで差し込まれているので、見ていて飽きが来ない。
自分の所為で家族の空気が悪く、それに対して手伝いを始めるレンタルキッチンではイキイキとした顔で過ごしている(ゴミ出しも自撮りしちゃうもんね!笑)
エプロンをプレゼントされたシーンは、エイブとチコはもちろん、料理人仲間たちの温かい空気はとてもほっこりした!
綺麗事の様になるかもしれないけれど、最後は"エイブが作った料理“で家族をまとめて欲しかったな。
結局、家族の大人たちは"家を飛び出したエイブの行為“によって考えを改めた。
ストレートな結末かもしれないけれど、エイブもいる食卓でゴールする形が良かったと個人的には…
「料理は科学」というセリフがあったけれど、同じように「魔法は科学」なんてセリフもどこかの作品でもありますよね。
そう、「料理は科学、そして魔法」なのです。
人を喜ばせたり慰めたりできる素敵な魔法。
【ユダヤとムスリムの文化、宗教の"コンフュージョン状態"を"フュージョン料理"で美味しく解決しよう!"エイブ少年が健気に奮闘する姿に引き込まれ、ホロリとする作品。】
■感想
・エイブ(ノア・シュナップ)が、パレスチナ系ムスリムの父親の親族とイスラエル系ユダヤ人の母親の親族の間で悩む姿が、何とも健気である。
-ノア・シュナップ君、昨晩に引き続き観賞したが、良いなあ・・。昨晩は、ユダヤ人達を助けていたね・・(「アーニャは、きっと来る」)-
・エイブは、両家からの、名前の呼ばれ方も微妙に違うし、誕生日のお祝いの歌も色んな言語が飛び交う・・。
-それで、自分の"アイデンティティー"を確立する第一歩として、ボクの名前は"エイブ!"と、何度も劇中で繰返しているんだね。-
◆エイブを愛する両親を含めた親類、祖父母は誰も悪くないのに、"何故、仲良くなれないのだろう・・。"
今作品がコミカル要素を塗しつつ、描いている内容は”重くて、深い・・”。
・悩めるエイブが見つけた人が、ブルックリンでフュージョン料理で鳴らすブラジル人シェフ、チコだった・・。
退屈そうな、学校の料理キャンプを"レベル低すぎ!"と、サボり、チコの店で働き始めるエイブの姿が、生き生きとしていて、良い。皿洗いからごみ捨てをプツブツ言いながらも、真面目にこなして行く。
-チコも、きっと苦労して今の地位を築いたのだろう。エイブを子供扱いしないし、けれども、彼の真面目に働く姿をきちんと見ている。良い男である。
”チコちゃんは、叱り方が上手なのである・・。”"すいません・・”-
・そして、エイブは賄いを作る事をチコから指示され、料理上手のお祖母ちゃんのムスリム料理 "シュクルマ" で、勝負する!。
-良いシーンである。エイブのために、店のユニフォームをきちんと用意しているチコの優しさ・・。-
・自信を付けたエイブは、"家族を一つにするために" チコのレシピも参考にしながら、一生懸命、独自の"フュージョン料理"を作るのだが・・・
<重くて、深いテーマを扱いながらも、ムスリムとユダヤの相容れない関係性に対して、仄かな光を感じさせ、”温かい気持ち”になれる素敵なフードコメディムービー。
美味しい料理を皆で食べて、笑顔になって、
寛容な気持ちで、相手の文化・宗教を認める世界に、少しづつ成れば良いのになあ、と思った作品でもある。>
親になるのも、親を失くすのも大変
料理って、食べる人のこと考えながら作ると思うんです。
どんなふうに食卓を囲むのか。
それを考えながら作るのが、楽しみでもある。
料理好きなら、たぶんあるあるだと思うんだけど。
だから、自分が考えたような食卓にならなかったとき、料理の味とか、出来栄えとかよりも、空間が台無しだったとき、ほんっとにがっかりする。
エイブは、食卓で何かが変わったらと考えたんだろうね。
とにかく、楽しく食べてほしい。
うん、それね。
で、この家族にはただの不仲みたいなこと以上の、根深い民族の問題がある。
でも、食を介して、自分が何かできないかなと、頑張るわけです。
美味しいご飯は、人を笑顔にする力がある。
子どもの思いに勝るものなど、ないでしょうね。
「人はきれいになる前に、汚くなるのかな」
チコが仕掛けた、お皿洗いの修行も、エイプはしっかりと学んだわけです。
汚れたお皿を見る目が、愛おしそうだ。
食いしん坊さん必見!
「食いしん坊さん!いらっしゃい」的なグルメ主張だけでは無く
集い、食卓を囲めばそれぞれの国の宗教や伝統を主張し常に対立し揉める家族
そんな家族を得意の料理でまとめようと奮闘する12歳のエイブ…
彼の師匠になるブラジル人シェフも含め
食を通じて多様性な現代を描き表している
とにかく主人公エイブが健気!
対立する家族の中でも
それぞれの国の習慣や行事をとりあえず試したり参加している姿が何とも微笑ましい…
料理を心の拠り所にしている彼の温かな成長物語でもある
勿論!お腹が鳴りそうなグルメ要素も満載!
欲を言えばフュージョン料理のレシピや種類を120分超えでも大歓迎なので
もう少し見たかったかなぁ😁
…「アーニャはきっと来る」も公開間近のキラキラな⭐︎⭐︎ノア・シュナップ君の快進撃が今後も楽しみですね!
時代はフュージョンへ
東京国際映画祭にて鑑賞。非常にポップで大人から子供まで楽しめる見易い作品であり、映画祭に相応しい作品であった。
エイブは人種も宗教も異なる両親から生まれ育った。両親はその辺りに比較的マイルドさや理解はあるものの祖父母となるとまだまだ偏見や頑固さが残り、故に両親やエイブを巻き込みトラブルを頻繁に起こす。
エイブは料理、そして料理の師として仰ぐチコの影響から両親や祖父母の異なる文化や宗教、そして料理をフュージョンして家族を一つにしようと努力する。
時には料理を混じり合わせ、時には言語を混じり合わせたりする。それが返って勘に触りフュージョンする事がコンフュージョンを招く事にもなる。
どんなに努力しても一つになれない家族を背にエイブは家出をする。残された家族は中々エイブが見つからない事から不安になり一度落ち着く努力をする。初めてエイブが作った料理を冷静になった口にする。
異なる国文化の料理を口にし自分の体に入れる事でこの作品としては相手を理解する事に繋がり最後は一つになる。
便利でグローバル化になった時代になった今、自分と異なる文化、宗教そして価値観に触れる機会は増え、今後もどんどん増える事になるだろう。
時としてそれらが対になる事もあるだろう。それらにぶつかった際に何十年も培ってきた自信の価値観に変化を与えるのは決して容易ではない。ただそこから逃げてはいけない。時代はフュージョンする事、できる事を求められてるのかもしれない。
チコも劇中で語っていたが、それらがすぐに結果となりうまくいく事は容易ではない。ぶつかり失敗する事の方が多いだろう。ただそこから逃げてはいけない。問題にぶつかり少しづつ少しづつ変化を与えて、真なる答えを見つける事が大切なのだろう。
そういう事の積み重ねが今のグローバル化の時代も築きあげたのではないか。
この作品においては宗教や文化の違いを料理や家族関係においてフュージョンさせた。これら以外にもいくらでも異なる存在、対する価値観などはたくさん存在する。
それらを1つにまとめるのは大変難しい事だが、同時にまとめる事ができたら、新しいものを生み出し平和にまた一歩近づく。
時にはぶつかりや争いを避け異なる存在から逃げるのも大切な時もあるかも知れないが、この作品を見てフュージョンさせ新しいものを生み出す美しさ、素晴らしさを感じさせてくれる。そんな素晴らしい作品であった。非常に貴重な時間を過ごす事ができた。
社会の分断を融合する?
映画を観る前、トレーラーを観てみた。トレーラーがこの映画の全てを伝えていると思った。この映画で、家族関係、親子関係、パレスチナ、イスラエル問題、フュージョン料理、異文化家族の板挟みのなかにいるエイブの葛藤、など盛り沢山にどこに焦点をおいてこのレビューを書こうか、なかなか決まらない。
Jorge Drexler - Milonga del Moro Judío この曲が好きだった。よかったら、コピペして聞いて。ユダヤ人でウルグアイ生まれの音楽家、医者
でも、このブラジルの監督(今は伴侶とロザンジェルスに住んでいる)の初めての英語の映画、これは何を言い表したかったのか?なぜ、この映画を作りたかったのか? それに。焦点を当てて自分の意見を書いてみる。
この『世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う』という文を解説から引用する。
チコはエイブの考えに同意し助け、エイブはユダヤ/パレスチナの両方の家族の心境を変えていった。ここに大切な役割を果たすのが、ブラジルバイーア州からきた、露天のフュージョン(融合)料理を営むチコ。チコはエイブに料理を教えただけでなく、家族が仲良くなるための秘訣を料理を通して教えた。それに、エイブの話を聞いて信じてくれた。(逃げるな、それに、向かいなさい。エイブ自身そのままでいなさいー(チコのエイブに対するこのアドバイスはいいね。)
フュージョン料理はいろんな形で、進出していると思うが、固定観念があって頑固な両親や祖父母に伝統的な食材を使っていても、融合料理は理解されるのは難しい。それがよく出ているのを言語から探すことができる。エイブの呼び方もアラブでのとヘブライ語とでは違う。かれはエイブが好きだと言ってるからここで、エイブ、(それが題)と使うが、行方不明になったと思ってエイブを探すために名前を呼んでいるが、ここでも、料理だけでなく、アラブでとヘブライ語とで呼び合っている家族がコメディータッチになっている。ここで明らかに呼び合ってる声がフュージョン(日本語で融合)している。
それに、二つの文化からの融合の賜物であるのが(祖父はネガティブにエイブの前でいった)エイブのはずだ。エイブは二つの文化の料理を作って、感謝祭のテーブルに出す。基本的に二つの文化を大切にした融合料理の創作は仲違いしている家族の間で、エイブに生きる力をあたえている。結果は悲惨で、それぞれの家族の文化に簡単に受け入れられなかった。その後、エイブの自己逃避の結果、家族全員がエイブの作ったパレスチナとユダヤの融合料理を平らげた。最終的にはエイブの自己逃避がこの家族たちを一つにまとめたわけだが。融合料理はこのなかなおりの結果の過程になっている。
社会がグローバル化され、人間が生きていく上にいいことも、悪いことも、テーブルの上に出して話し合うことが必要になってくると。逃げてはだめだと。融合料理を作ることによって、お互いの文化の良さを一つの料理にすることができるのであって、この概念が世界の人々が生きやすくするために必要だと伝えていると思う。伝統を大切にして守る気持ちはもちろん大切だと思うが。各文化の料理にも素材、調味料などの共通点がある。ましてや人間が作るのだからもっと共通点があるはずだ。融合は共通点なのだ。米国大統領選挙で社会が分断されている。イスラエルのユダヤ人とパレスチナ自治区のパレスチナ人は分断の歴史を持つ。共通点を一緒に賛美しようではないか。世界を皆が住みやすいところにするために。そんな、映画だ。
好きなシーン
両親が感謝祭にどう家族を招待しようか話している時、エイブがパレスチナ料理とユダヤ料理の融合料理を感謝祭に考えだすシーンが好き。急に起き上がって、家族が一緒に楽しく過ごすようなことを検索すると、『東西Divan オーケストラ』の『フィガロ結婚』がひっかかってくる。これを聞きながら感謝祭の献立をたてる。ユダヤのパン、ハッラーにパレスチナのフムスをぬったりして、融合料理を考える。(このオーケストラはスペインに住んでいる、ユダヤ人、エジプト人やパレスチナ人など中東の融合楽団員で作られている。指揮者ダニエルバレンボイムが創立者)
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