燕 Yanのレビュー・感想・評価
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せわしいカット編集が惜しい
本作で長編映画監督デビューを果たした今村圭佑氏。これまで撮影監督として関わった映画には、作品としても映像としても好きなものが多数あった。
MVとCMを多数手がけていることからも、情感を伝えるリリカルな映像表現が得意なのだろう。だが本作に関しては、CMなどの短い映像作品のタイム感を引きずったせいか、ほんの数秒のショットを次々に繋いで人物を別角度から切り返して見せる編集が、大きなスクリーンで鑑賞するにはせわしないと感じられた(前半が特に。後半は慣れたのかあまり気にならなかった)。せっかく台湾の趣ある景観を背景にロケをしたのだし、もっとじっくり見せてほしかった。
母は子をいつまでも覚えているが、子はいつの間にか母を忘れてしまう、といったテーマが語られていて、なるほど確かに、と痛感した。燕のCGは安っぽかったかな。今村監督なりの映画の話法を確立して、次作以降に活かしてほしいと期待する。
魅力的な3人
とてもキレイな映像でした。
ただ、ちょっと映像美にこだわりがあるのでしょうか、
ちょっとセリフのないシーンで長いなかな…と思うところもあり。
なので、もう少しテンポ良くなれば
作品自体は長くなっても良いので、
燕や龍心やトニーの人となり、歩んできた道、バックボーンやキャラクターを、もう少し描いて欲しかったかも。
この三人が、それぞれに良い雰囲気で、とても魅力的だったので、もっと知りたくなったから。
ユウアンの「どっちでもいい」は、とっても良かったです。
このセリフに全て救われて、雲の隙間から太陽が現れた気分になりました。
今村監督の次の作品が楽しみです。
期待ハズレ
スチール写真を見て、今村監督の映像美に期待して足を運んだのですが期待ハズレでした。少なくとも台湾の良さをわかって撮っていないな。人気の台湾だから何とかなるか?レベル。
ストーリー(脚本)も全くひねりが効いていない。音響効果に凝る割に音楽は平板で退屈。ほかにも、お母さん(一青窈)は子供の日本語を完璧に理解している?(でも全然話せない?)テイ龍進の登場シーンが不自然・・など細かなところも気になり入っていけなかった。
この映画はおそらく台湾本国の方が受けるかもしれない。台湾の方は素直な話が好きだし。
本当はそうじゃない
5歳の頃、両親の離婚で別々に暮らすことになった兄を訪ねる28歳の弟の話。
事業で失敗し借金を抱えた父親が余命宣告を受け、子供に負債を相続させたくないという思いから、主人公を呼び出して台湾で暮らす長男に相続放棄申述書を届けさせることから展開していくストーリー。
核心でもないのに、あらすじの記し方とか本編の説明とかが回りくどくて、状況を把握し難い序盤の流れ。
鞄からトニーとの出会いの件はかなり強引で、それいりますか?そしてやっと話が転がり始めるけれど、まどろっこしさ全開のうじうじ展開。
まあ、この作品的にはそれが良いのだろうけどね。
決して自分の育った環境に不満がある訳ではなかったであろう青年の、母親への思いと兄への思い、そして兄の母親への思いと弟への思いのぶつかり合いが胸アツで、ベタベタなストーリーだけどなかなか面白かった。
ただ、箱の件をみるに、主人公の父親や継母は何がしたかったのか…とか、多くを語らず察して下さいなつくりだから、設定の雑さが悪い意味で気になったし、わかる様なわからない様なな落としどころにちょっと戸惑った。
もどかしい
もどかしさから抜け出した、後半の溢れ出す想いにやられた。
大人げのない人間らしいやりとりに、なんだか息を吹き返す様な安心感さえ覚える。
素直になればいいじゃないの、なんて側から見ると簡単に思うけど、まあ難しいよね。
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