燕 Yanのレビュー・感想・評価
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せわしいカット編集が惜しい
本作で長編映画監督デビューを果たした今村圭佑氏。これまで撮影監督として関わった映画には、作品としても映像としても好きなものが多数あった。
MVとCMを多数手がけていることからも、情感を伝えるリリカルな映像表現が得意なのだろう。だが本作に関しては、CMなどの短い映像作品のタイム感を引きずったせいか、ほんの数秒のショットを次々に繋いで人物を別角度から切り返して見せる編集が、大きなスクリーンで鑑賞するにはせわしないと感じられた(前半が特に。後半は慣れたのかあまり気にならなかった)。せっかく台湾の趣ある景観を背景にロケをしたのだし、もっとじっくり見せてほしかった。
母は子をいつまでも覚えているが、子はいつの間にか母を忘れてしまう、といったテーマが語られていて、なるほど確かに、と痛感した。燕のCGは安っぽかったかな。今村監督なりの映画の話法を確立して、次作以降に活かしてほしいと期待する。
ペープーティアーキャーテンラオツィ キャーシューペープーチューブェホン
ペープーティアーキャーテンラオツィ キャーシューペープーチューブェホン
訳 「親孝行したい時には親はいない」つう事かなぁ。
2つのアイデンティティを持つ人って羨ましいものである。ましてや、混血(差別用語?)は更に第3のアイデンティティ。羨ましい限りである。
日本は一人あたりのGNPで台湾こら大きく抜かれているので、日本人は台湾の人や中国人を俯瞰した目で見てはいけないといつも思っている。
長回しなカットが良いと思う。些かデフォルメしすぎだが。
温もりのある作品
採点3.8
今村圭佑初監督監督作品。主演は水間ロンと山中崇。
日本と台湾で離れ離れになった家族が、それぞれが複雑な思いを抱え生きていた物語。
何故母は自分を置いて兄と出て行ったのか、何故一度の連絡もくれなかったのか?23年ぶりに再開する不安と揺れる胸中を、水間ロンがよく演じていました。実ははこれが初主演作じゃないでしょうか?
また物語は水間ロンの実体験でもあり、「日本人のママが欲しかった」は実際に子どもの時に言い放ってしまった言葉だそうです。
だからか、その悔しさが良く滲み出ていたように思います。
また山中崇も同じく、どう向き合ったら良いのか分からない。そんなジレンマがよく出てました。
また彼の言語ですね。
水間ロンや一青窈にテイ龍進はわかるが、山中崇も流暢に聞こえるからすごい。
作品は、監督がカメラマンだけあって絵がとても綺麗。
特に光の入れ方や、色調の使い方がとても上手いです。
ノスタルジックな映像が、心細い物語と実に合っていました。
写真もですが、何通もの読めない手紙がすごい良い演出でした。
そして捨てたはずの飾られた絵。
「燕は台湾と日本に家があるんだね」
段々と心が解けていくのがうれしい、温もりのある作品でした。
どこにも居場所のなかったあなたへ
主人公も、主人公の兄も、主人公の兄の恋人も、主人公の母も。世界のどこにも居場所がなかった人々の物語。凡庸なストーリーと感じたとしても、それはこの物語が誰にでも当てはまるものだから。
多用されるカットの切り替えが、寄る辺のないそれぞれの人たちを象徴する。暗い路地裏、夜の帳、どこまで行っても自分のものじゃない街、川面を吹く風、安食堂で一人飲むビールの味。そういったものが腹の底にいつもある人たちかそうじゃないかで完全に評価が分かれると思う。
映画の作りとして決して完成度が高いわけじゃないし安易なメタファーも目につくけど、自分のバックボーンと重なりとても刺さった。観てよかった。
魅力的な3人
期待ハズレ
本当はそうじゃない
5歳の頃、両親の離婚で別々に暮らすことになった兄を訪ねる28歳の弟の話。
事業で失敗し借金を抱えた父親が余命宣告を受け、子供に負債を相続させたくないという思いから、主人公を呼び出して台湾で暮らす長男に相続放棄申述書を届けさせることから展開していくストーリー。
核心でもないのに、あらすじの記し方とか本編の説明とかが回りくどくて、状況を把握し難い序盤の流れ。
鞄からトニーとの出会いの件はかなり強引で、それいりますか?そしてやっと話が転がり始めるけれど、まどろっこしさ全開のうじうじ展開。
まあ、この作品的にはそれが良いのだろうけどね。
決して自分の育った環境に不満がある訳ではなかったであろう青年の、母親への思いと兄への思い、そして兄の母親への思いと弟への思いのぶつかり合いが胸アツで、ベタベタなストーリーだけどなかなか面白かった。
ただ、箱の件をみるに、主人公の父親や継母は何がしたかったのか…とか、多くを語らず察して下さいなつくりだから、設定の雑さが悪い意味で気になったし、わかる様なわからない様なな落としどころにちょっと戸惑った。
もどかしい
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