劇場公開日 2021年5月7日

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「豚の餌になった方がましな事も有る。」ジェントルメン フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

豚の餌になった方がましな事も有る。

2021年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

大麻販売権を値切られる話

ガイ・リッチー監督が好きだったのは高校~大学生まででしたね。小気味いい群像劇と魅力的なキャラクター、めちゃくちゃ好きでした。
しかし、「あれ?この監督こればっかりじゃね?」って気づき幻滅して、ホームズでおぉ違うのも撮れるんだって思って歓喜し、アラジンで完全に好きじゃなくなった。

群像劇の名手にしてお洒落なキャラのすったもんだと風呂敷たたむのが上手いガイ・リッチーですが、今作は持ち味があんまり生かされてなかったですね。
鈍ったなガイ!アラジンとかキングアーサーなんか撮ってるから腕が鈍るんだよっ!

本作はキャラクターをまとめ切れてないしストーリのたたみ方にスマートさが無い。
もっと危機感とか事が上手くいかない様が見れれば緊張感もあったろうに、主人公サイドがあまり追い詰められてる感じが無い。
ほぼ回想のシーンなので出来事の説明や状況が有る程度わかりやすく、最終的に一本の物語になるけれども、回想が現実に追いついたところで劇的に映画が動く訳でもない。
「なるほどそれで今がこんな状況な訳ね」と感心、感動が普通はあるものだけれど、なぜだろうただ物語の続きとして進むだけだった。中盤は正直退屈でした。
探偵ヒュー・グラントと右腕のチャーリー・ハナムの会話劇やアテレコとかはまあまあ面白かったかれど…
ヒップホップシーンは必要だったか?絶妙にダサいし、誰得なんだよ。

マシュー・マコノヒーの大麻王の貫禄があり過ぎて、ライバルが小者にしか見えない。
天才的で冷酷で抜け目の無い男、こんな奴に敵うキャラいないでしょ。

チャーリー・ハナムの有能なキャラは彼のイメージとのギャップがありよかったと思う。
失敗はするけど首尾よく物事を解決する手腕、いい紳士でしたね。

事業を買い取る富豪のマシューも横取り狙いのドライ・アイも編集長のビッグもなんか色々雑だったし敵として脅威感が無かったです。
もっと主人公サイドの知力と暴力に対抗できる組織を用意しないと危機感が感じられない。
ロシアマフィアの使い方も雑の一言だし、もっと各勢力を魅力的に撮れたら印象も違ってたと思う。
騙し合いとか命がけとかあんまり印象に残らなかったな。

個人的にいいと思ったのはコリン・ファレルです。
ボクシングコーチでありながらギャングまがいの弟子たちのため頑張る。
実質一番の暴力を持った組織だけれど、カタギだからあんありダークサイドに落ちない。
4ストライクのハンドサインはオープニングにも出てくるけれどかなり印象深いシーンになりました。

スマホ持って逃げるクソガキどもも憎ったらいくてよかったですね、調子こいてるやからを黙らせるのはスカッとした。

総評しては期待はしてなった作品だけれど、期待を超えるでも期待を下回るでもない微妙な感じの映画でした。
監督にはもうちょい群像劇映画撮ってもらって昔の感を取り戻してほしい。
本作はガイリ・ッチーのリハビリ映画だと思って見れば納得できるかな。

学生には受けるじゃないかな、なんとなくだけれど。
何時の時代も学生に人気の監督であるってことは逆に凄いかも。

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劇中セリフより

「スリーストライクまでだ」

借りは利子付けて返す位の度量で事に臨みたいですね。

フリント