劇場公開日 2020年3月20日

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「この時代だからこそ多様な表現の重要性を感じる」パラダイス・ロスト たら印さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0この時代だからこそ多様な表現の重要性を感じる

2020年3月21日
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初日満席だった詩人で映画監督の福間健二監督の最新作『 パラダイス・ロスト 』観てきました。
昨年製作にもかかわらず、今この瞬間を切り取ったような作品でした。
観に行ける人は是非 今この時期に観るべき映画だと思います。
福間監督はよく自分があれこれ指示するよりもそれぞれの良い面をだした方が面白いものができると話していますが、表現には製作者の意図を超えるものができあがる時があって、それを意識して作っている所が福間作品の面白さなんだろうと思います。
昨年の製作時に監督、俳優、スタッフが無意識的に予見した“今”から再生するヒントもこの映画には込められていると思う。

2020.06.21
緊急事態宣言解除後に2回目を鑑賞。
映画は死者と生者の対話になっていますが、観ていて、大きく価値観が変わった前と後の私(もしくは社会)の対話を実体験しているように感じられ、私たちと亜矢子の今が同じものであってほしいと願わずにはいられない。
劇中、登場人物が突然カメラ目線になり、これは誰かの視線で撮られているんだと気付かされるが、いくつかのシーンでカメラが視線を逸らしたり動揺したりと演技をする。
ここまでカメラに演技をさせる監督は福間監督くらいじゃないのかな。
福間監督は『止められるか、俺たちを』に出てくるくらい現代でインディーズ映画のレジェンド監督の1人と言ってもいいので、ぜひ多くの人に劇場に足を運んで新作を観てもらいたい。
劇中の亜矢子の絵は本当に和田さんが描いたものだそうですよ。

たら印