「このロケット(映画)で火星は遠かった」ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
このロケット(映画)で火星は遠かった
アジアで初めて火星の周回軌道に探査機を飛ばした国は?
中国? 日本?
いえ、インド。
インドの宇宙開発の歴史も古く、長い。
発端は、1940年代。
本格的な始まりが、1960年代。1969年に“ISRO”=インド宇宙研究機関が組織された。
1970年代から2000年代に掛けて、衛星やロケットを飛ばし、インド初の宇宙飛行士や月の軌道に探査機を到達させるなどを成功。
そして、本作の物語である2010年…
2010年、インド宇宙事業の命運を懸けたロケット打ち上げ。
しかし、まさかの失敗…。
責任者のラケーシュとタラは、別プロジェクトに異動。即ちそれは左遷で、実現不可能と言われている火星探査計画プロジェクトという閑職であった…。
窓際部署に厄介払い。
予算も無い。
チームメンバーはほとんど女性や頼り無さげの若い男性一人、老男性一人の寄せ集め。
端からやる気ナシ。いや、出来っこない。
エンジンを掛けたのは、タラ。しかも、家庭内の思わぬ所から。
ラケーシュのエンジンにも火が点く。
このまま発射に向けて順調に準備が進むかと思いきや、
奇抜なアイデアに半信半疑の上層部。
それはチームメンバーも。
突然、プロジェクトは延期。チームは解散。タラも辞職を申し出る。
ラケーシュは上層部を説得。予算はさらに削減されるも、プロジェクトは続行。火星の周回軌道に乗れる絶好の機会でもあり、この機を逃せない。
チームメンバーが再び召集。が、士気が下がっていた。
ラケーシュはメンバーを鼓舞する。科学者として夢を追う事を…。
チームメンバーに士気が戻る…いや、エンジンが掛かる。
タラによるアイデアと方法。
ラケーシュのリーダーシップ。
誰もやった事のないプロジェクト。
故に、トラブルや難題続出。
しかし、どんな困難や逆境に陥っても、彼らは諦めない。
火星目指して。夢目指して。
CGや作品世界、専門用語/技術もハリウッドの同ジャンルに劣らない実録宇宙計画映画。
インドの働く女性問題も織り込む。タラの家庭。夫は反対し、息子は応援。
こういう作品であっても歌や踊りを入れてくるのも、さすがボリウッド!
インドの偉業を基にした、エンターテイメント!
万人受けの作風。
自分もインド映画は好きなのだが…
何故か今回はそれほど響かなかった。
ステレオタイプと言うか、綺麗に収まり過ぎて、ちと全体的にダイジェスト的にも…。
同スタッフによる『パッドマン』とは火星より遠く。『ダンガル』や『きっと、うまくいく』とはさらにもっと遠く。
実際の偉業は素晴らしいが、この作品からはあまり感じられなかった。