劇場公開日 2021年1月8日

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「【えっ、リブートすんの⁉️ 科学者も神に祈るさ】」ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【えっ、リブートすんの⁉️ 科学者も神に祈るさ】

2021年1月14日
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楽しいし、笑える。

えっ⁉️という場面もあるし、インド映画ならではの歌い踊る場面だってちゃんとある。

前に、困難を極めたはやぶさ1のプロジェクトで、スタッフが成功を願い、どこかの神社で祈念したというエピソードは有名な話だが、科学者も神に祈るのだ。

イスラム教改宗に興味を示す息子に、プロジェクトの成功を神に祈りながら、神は同じだから、どんな宗教の神に祈っても良いのだと説くタラ。

タラの言葉は金言だと思う。

昔は神の仕業だと思われたことが、どんどん科学的に解明されて、今や、僕達にとって、宇宙が神の領域だ。

科学者のみならず、多くの人も宇宙開発にロマンを感じているに違いない。

政治は、これを国威発揚に利用しようとするし、この映画にも、そんな場面が出てくる。

しかし、国のプロジェクトであると同時に、女性の科学者を中心に、節約や工夫に工夫を重ねて、低予算でプロジェクトを成功に導こうとする姿は、プロジェクトがなんであるにせよ、多額の資金を使うことが当たり前のようになっている僕達の世界に足りないものを見せているように感じる。

スイングバイの多用、廃プラスチックを利用した新たな素材開発、太陽風の利用、自己修復可能な繊維の採用、ちょー貧乏火星探査プロジェクトチームのアイディアには頭が下がる。

そして、女性達の活躍。

家庭やプライベートも様々で、イスラム教に興味を示す息子、自己主張ばかりの亭主、ぐれかかっている娘、浮気性の彼氏、ケガが心配なフィアンセ、妊娠と出産など、それは決して順風満帆なことばかりではない。

だが、管制システムのリブートって、大胆不敵なこともするのも女性だ。

なぜ、PCを強制終了して再起動させる場面が出てきたのか、ここでなるほどと思う。

まだまだ、宇宙開発は国威発揚の域を出ていないことは確かだ。

中国の台頭は目覚ましいし、ロシアの動向は気にかかる。

しかし、アラブ首長国連邦の火星探査機を打ち上げたのは三菱重工のロケットだし、国際宇宙ステーションや、物資の輸送管理は国際協力で行われている。

民間のロケットの発想の転換は安価で、人々の宇宙へのあこがれを更に広げた。

NASAが、ISROに協力を求める場面もあるが、世界的な協力構築で、世界中で工夫してよりシュアな方法を編み出し、安価な方法も模索し、宇宙開発が進めばいいと思う。

そしたら、神の領域は狭まってしまうかもしれない。

でも、多くの人のフロンティアは更にその先に向かうだろう。

そして、それでも多くの人々は神に祈るだろう。

だったら良いじゃないか。

その方が平和で、楽しい気がする。

ワンコ