「【カウンター・カルチャー】」マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ” ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【カウンター・カルチャー】
冒頭で、マルタン・マルジェラが言っていたように、初期のマルタン・マルジェラは、とてもシュールリアリスティックだったと思う。
その後、インタビューで、実は、マルタン・マルジェラは一貫してカウンターカルチャーだったのではないかと関係者が話していたが、ファッションのハイ・カルチャーに対して、シュールレアリズムもカウンター・カルチャーと言っても良いだろうから、あの誰にも思いつかないようなデザインやショーは、規制の概念に捉われない自由なアートになったのだろう。
しかし、いざ、ファッションを取り上げると、商業主義から逃れることは出来ず、ハイ・ブランドとタッグを組むことによって、マルタン・マルジェラの個性や自由は奪われていったのではないのか。
それは、何もマルタン・マルジェラだけではなく、フランスのキラー・コンテンツとなった高級ブランドは、いくつかのホールディング・カンパニーが多くの古き良きブランドを次々に買収し、富裕経済都市への出店ノウハウや、事業計画を共有し、効率的な経営環境に転換して、フランス経済の屋台骨を支えている。
ただ、近年は、ファスト・ファッションの台頭で、ブランドに対する見方も変化してるし、また、残酷という理由で、毛皮や皮革を使う機会は減り、搾取が背景にあるとして、新疆コットンの使用を見合わせるブランドも出てきていることから、仮に多少奇抜であっても、マルタン・マルジェラのようなデザインで見せるデザイナーの活躍する場は、多くなってきてもおかしくないように思う。
また、自由なアートのようなファッションが生まれることがあれば良いなと考えたりする。
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