「良作だけに描写不足が残念。でもみる価値はあり。」ストックホルム・ケース yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
良作だけに描写不足が残念。でもみる価値はあり。
今年48本目(観た日と書いた日は違います。数日前)。
さて、こちら。鬼滅の刃等で放映されている映画館は少ないのですが、隠れた名作かと思います。
「ストックホルム症候群」といえばご存知の方も多く、それをベースにした「実話ベース」としながら多少の脚色は加えているようです。
※ 実話ベースの場合、最後に「主人公はこういう人生を歩んだ」というように実際の写真などが出ることが多いので(カセットテープ・ダイアリーのように)。ただ、「実話ベース」であるのは確かなので、あることないこと付け加えてはいないのでしょう。
日本ではもっぱらこの名称で呼ばれますが、他の方も指摘されたように日本では誘拐事件では似たような症状が指摘されますし(長期監禁事件や、よど号など)、決して遠くの存在ではない(ただ、毎日のように見る話でもない)お話です。その「名前だけは知っているけど、ストックホルムってそもそもどこだっけ、ヨーロッパのどこかの国の首都か何かだっけ?」程度からは一歩抜け出せますね。
ただ惜しいことに放映時間が92分(公式より抜粋)のため、どうしても心理描写が薄めであり、それは300年も500年も前の実話ベースなら仕方がない(確証がない等)のですが、「わりと最近の」ことであり(とはいえ40年以上前…)、あと20分、せめてあと10分伸ばしてでも加害者どうし、加害者/被害者(特に、この映画ではこの部分は重要)、加害者と警察(や政府)などとの心理の描写に注力して欲しかったな、とは思います。
とはいえ余計な「意味の分からない謎の描写」や「あってもなくてもいいどうでもいい趣味的な部分」がない点、良い映画だなと思いました。そして鬼滅の刃祭りなこの最近(いったいいつまでやるんでしょう…)、こうした「隠れた名作」をチョイスしてくださったシネリ○ブルさん(別に隠す必要ない…)には感謝です。
および、刑務所に関する描写が少しだけ出ますが(ストーリーの展開上、どうしても最後に犯人は逮捕され投獄されるため)、日本のそれ(いわゆる、社会復帰センターと呼ばれるタイプを除く)と違って、刑務所といえども被害者の人権を守るとともに、加害者(=受刑者)の人権も厚く保護している(日本もだいぶ進歩していますが、国によっては支離滅裂なところや過重収容が異様な国もある)ところも、日本との違い(日本も良くなっているとは言われますが)との違いには目を張りました。
※ 以上のことは、だからといって「日本の刑務所は快適になったのだから加害者が手厚すぎるほどだ」ととか、「加害者の人権が手厚すぎる」いう議論では「ありません」。
減点要素は下記の0.3で4.5(七捨八入による)としました。
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0.3 どうしても、上記のように92分とやや短いところがあるため、淡々と事件の流れが追いかけられるだけであり(なお、実際の事件では立てこもりは5日だった模様)、「ドキュメンタリー映画」の分類にも入りませんが(事実、実際の動画は一切流れない)、心理描写が薄いため、「実話ベースのお話です」としながらも淡々と見ざるを得ない部分はどうしてもあります。
もちろん150分だの180分だのになると観客も疲れますが(しかもこのコロナご時勢…)、あと20分、いや、あと10分長くとって、描写を厚くしても良かったのではないか…と思える点です(かつ、こうした映画はどうしても「元が取りにくい」以上、あまり他の会社が追いかけて同じ題材で映画化することは少ないので、今回の良い機会でこうなってしまった以上、数年は同じ題材が取り上げられることはなさそう)。
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