「言葉に力があった時代」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
言葉に力があった時代
赤ん坊を抱き抱えモヘアのセーターにチェックパンツ、三島由紀夫も苦笑いする異様な存在感を醸し出し、老いてもまだ目をギラつかせて、つまらなくなりその場を後にする"芥正彦"に惹かれてしまう。
後々調べなければ理解しづらい言葉を並べ立てる中、三島の発言に想い、感情的にはならずその場を論破する為の勝ち負けもなく、静かにメラメラと格闘技を観戦するよりも興奮する刺激的な雰囲気。
当時を振り返る当事者のインタビューに気持ちも伝わり、有識者の解説めいた言葉に本作を分かりやすくしてくれている部分も。
あの時、闘った人々は今の日本をどう見ているのか?三島が生きていたらどう思うのか?
今も生きていたら三島は三島のままなのか?
この国には熱量が足りない、烈しさが足らない、闘った者たちの思い出話にされたら、残された者は虚しい。
日本には三島由紀夫が足りない。
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