「伝説の人物を感じられる貴重かつ凄い作品です。」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
伝説の人物を感じられる貴重かつ凄い作品です。
三島由紀夫と言う人物は自分の中では歴史的な伝説の人物で寡黙で豪傑な容姿に武士としての覚悟と比類なき知性を纏った文学人と言う感じで、遠い昔に存在した人物と言うイメージ。
自分が生まれてから、ほんの少しだけ時代を共有してたと言うのも最近知ったぐらいの知識しか無かったのですが、それくらい何か縁遠く、遠い世界の人物にしか思ってませんでした。
そんな三島由紀夫のドキュメント映画が公開されると言う事でちょっと楽しみにしていたので鑑賞しました。
で、感想はと言うと、とても観応えがあり、凄いなぁと感じました。
ずっしりとどっしりとした質感で淡々と熱量が渦巻く作品。
面白い・面白くないを簡単には語れない程で観応えは十分。
どちらかと言うと、ドキュメンタリー作品を映画館で観るのはちょっと意義が感じられないと思う方なんですが、これは確かに映画館でしか観られない内容かと。
故人ではありますが、三島由紀夫「さん」とつけるのが憚るくらいに歴史的かつ凄い人物なので、敢えて三島由紀夫と書きますが全共闘との討論会の映像は当時の貴重な映像に加えて、半端無い緊迫感がビシビシと伝わってきます。
テレビ局ではTBSが唯一撮影していた映像はめちゃくちゃ貴重。
テレビでは放送出来ない内容ではありますが、本来はテレビで放送し、多くの人に見てもらう事に意味があると思うのですが、…まぁ流せないなぁw
なので、それを映画作品として上映されてるのはやっぱり貴重。
観てよかったと思います。
また、非常に緊迫感があってもリベラルな空気で、敵対心が渦巻いていたと言う訳ではなく、互いにそれぞれの主張を議論していた。
そこには探り探りではあっても根底に共通して互いをリスペクトする気持ちがあった様に感じられたのが、非常に印象的。
もっとギスギスした重々しい空気かなと思ってました。
また、東大全共闘の当事者たちも印象的で特に芥正彦さんが印象に残ります。
赤ん坊を連れて来た事で場が和んだ空気になってましたが、挑戦的な態度と言葉。それに自身のペースに持ち込もうとする計算高さも伺えながらも、弁の立つ闘士としての気高さを感じます。
でも、それに答える三島由紀夫の対応が素晴らしい。
正直討論はかなり高度な内容でちょっと付いていけない部分も多々ありましたが、それにきちんと答えつつ、自分の主張を盛り込んでいく。
何よりも三島由紀夫と言う人物がとてもチャーミングな人と分かったのは自分の中での新たな発見。
こんなに魅力的な人物だったとは思わなかったのですが、三島由紀夫に心酔した「盾の会」の会員の気持ちもなんとなくではありますが、分かる気がします。
討論会自体が決着がついた訳ではないが互いが互いに分かった部分もあって、討論会としては多分大成功かと。
どちらにも言えるのは今の情勢をそれぞれの立場で憂いていたと言う事。
あの時代はこんなにもエネルギッシュだったのかと言う事と大学紛争の当事者達の熱量の高さには驚きです。
最後に「諸君の熱情は信じます。他のものは一切信じないとしても、これだけは信じる」と告げ、壇上を後にした三島由紀夫の言葉はグッと来る物があります。
右や左と言った思想はさておき、その熱量は日本を良くしようとする行動から来る物で、その熱量が様々な紛争や事件を起こした事は答えだけを見ると良くないかと思いますが、今の時代には無い物を体験した様な感覚になります。
残念なのは、非常に意義の在る作品ですが、東出昌大さんのスキャンダルの件で些か作品の外でケチが付いた感じがする事。
東出さんのナレーションは全然問題なく、むしろ良く出来てたと思うのですが、違う事で変な注目をされた様な感じがするのはちょっと残念な気がします。
観終わった後に思ったのは“今の日本を三島由紀夫が見たらどう思うか?”と言う事。
歴史的な人物達が求めた日本になっているとは到底思えないけど、多分落胆をし、日本を憂いているとは思いますが、何処かユーモアかつ真剣に、いろんな道の1つを導いてくれて、弛んだ時には活を入れてくれる感じがします。
この作品は沢山の方が観る事で賛否はともかくとしていろんな事を感じ、いろんな事を思う事の大切さを教えてくれるかと思います。
悩み、考え、行動し、全力で生き、全うした三島由紀夫はやはり凄い人物であったかと。
好みは必ずあるかと思いますが、個人的にはホント観応えがある一級品のドキュメンタリー作品かと思います。
お薦めです!
カールⅢ世さん
コメントありがとうございます。
個人的にはなんだかんだありますが、とりあえず平和な国にはなってるかとは思いますが、三島由紀夫が求めた国には美しくにはなってない様には思います。
あいまいで猥褻な感じではありますがw
また、お暇がありましたら、覗きに来てくださいね♪