「時代の熱情」三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実 shantiさんの映画レビュー(感想・評価)
時代の熱情
兄貴分としての三島が後輩たちに対して、真摯に語りかけるとても知的な討論会。不穏な空気の中に三島のユーモア溢れる知的で優しい言葉が花吹雪のように会場に降り注ぐ。彼の言葉を聴いていると近代日本を代表するとても優れた芸術家であるという事実がひしひしと伝わって来る。御多分に漏れず学生たちも本邦を代表する知の最高峰に位置する東大生なだけに、質問の一つ一つが鋭く興味深い。なかでも、取り分け狂言回しのように思える役者の「芥」という人物は最初はとても攻撃的なスタイルで三島に接するが、彼を認めた上でよく聞き、答える大人の態度にいつの間にか引き込まれて共に同志よろしくタバコを吸う場面に三島由紀夫の人間的な魅力がよく解る。三島由紀夫はまさに一つの時代の決定的なアイコンである。瀬戸内寂聴がただのファンとして三島を語っているのには思わず笑ってしまった。
コメントする