劇場公開日 2020年10月9日

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「日本と同じ」82年生まれ、キム・ジヨン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本と同じ

2020年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 家父長制度、男尊女卑、男の女性への見方は全く同じなんだと妙なところで共感してしまい、別人格が憑依したかのような言動に驚いてしまった。「LGBTには生産性がない」、「女性はいくらでもウソをつける」と発言する国会議員もいるように、政治家からして女性の地位を貶めている日本。ちょっと前には厚労大臣による「女性は子供を産む機械」発言があったり、「子どもを作らない女性が税金で・・・」と発言した元首相もいた。多分、「産めよ殖やせよ」という戦時中と同じ感覚なんだろうな。

 映画では世間話として「子どもは4人産まなきゃ」などという言葉もあったり、ジヨンの父が「働かずに嫁に行け」と直接の言葉もあった。女性は子どもを産み育てるのが当然なのか?と直接の問いかけはないが、ストーカー被害や盗撮被害に遭ったりすることで性的弱者の描写もあったりする。産後うつもなんとなくわかるし、強迫性障害も理解できる。そんな彼女に対する夫のいたわり方もごく自然。

 ベビーカーを足で揺り動かすシーンがもっとも印象的だったのですが、これもうつ症状の象徴的な行為だったのかもしれません。とにかく原因がわからないと対処できない。最初の精神科のテストが高額だったためにさっさと諦めて帰ってきたジヨン。なにしろ自分の症状さえ気づかないのだから通院にも積極的ではないのが悲しい。

 働くことで治るのか?多分、ジヨンは何かをしなければ落ち着かない。パン屋の話もあったり、元職場のチーム長の誘いもあった。しかし、ベビーシッターが見つからずにまたイライラ。大学の国文科出身というのも、職業的には何を選択すればいいのか不明瞭なところだ(でも、解決の糸口となる)。結局、別人格というのも兄弟のために働いた祖母や尊敬する先輩だったことから、自分も何かをしなければならない不安があったのかもしれません。

 うつ病の男女比は1対2くらいなのに、うつ病による自殺の割合は逆転して2対1。抑圧されても耐えているのが女性なのかもしれません。家事・育児を軽減して自由になれる時間を夫婦で協力して作るのがいいのでしょうかね・・・結婚もしてないし子どももいない者が適当なこと言ってしまいましたがお許しを・・・

kossy
NOBUさんのコメント
2020年11月18日

おはようございます。
私がこの作品を観た時に、たまたま近くの観客の方々が比較的年齢の高い女性が多かったのです。
劇中から周囲から啼泣がサラウンドで響いて来て"自分は周囲の女性を"意識せず"傷付けていないだろうか?"とかなり反省しながら観た映画でした。
では、又。

NOBU