劇場公開日 2020年10月9日

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「今を生きる総ての人が抱える問題」82年生まれ、キム・ジヨン シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5今を生きる総ての人が抱える問題

2020年10月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作は未読です。
1982年生まれというと、日本では昭和57年で今年38歳ということになりますね。私の甥より一つ上なのでそう捉えればイメージしやすくなりますが、作品自体は私にとっては中々捉え難い作品ではありました。
一見、今を生きる女性への共感映画の様にも見え、実際に作品を観た一般人女性のレビューをザっと眺めても、多くの共感文が寄せられていました。しかし冷静に見るとこの作品の主人公って、優秀だし環境もそれなりに恵まれていて、今の格差社会という世界的な問題から眺めると少しずれていて、逆に贅沢病だと受け止められるのも覚悟の上での作品だった様に感じられた。
それでも主人公である彼女に起きる出来事は、父親世代の男の私でも大半が理解しうることで、もし自分の娘だとしたらという目線で鑑賞していたら、彼女の身に起きている問題は決して女性だけのものでもないような気がしてきました。

この時代の人って教育や育ちに関しては、その親や祖父母の時代に比べると遥かに恵まれているので、ある程度の教育を受けていてある程度優秀であれば、旧態依然とした社会の中での夫婦の在り方や生き方に対しての疑問や悩みが出て来るのは当然の話であり、女性だからという問題だけでもなく、格差社会の対立的構造の問題でもなく、今の教育システムに見合わない社会システムの在り方という別の大問題を扱った作品とも捉えることが出来る。
この半世紀でどんどん社会が変化しているにも関わらず、夫婦制度も含め人の生活などに対する意識そのものはそれほど大きく変化しないというギャップがもたらす問題を扱っているように思えました。

それを本作(映画)では主人公(女性)の視点からだけ描かれているので、誤解をうむ要素の強い捉え何処の難しい作品になってしまっているようにも感じられました。それは、恐らく原作者が女性だからと思われますが、この作品で扱っている根底にあるのは、本来、今を生きる総ての人に共通する、今まで普通だと考えられている社会システムに対しての問題提起のような気がしました。

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シューテツ