「それでも祖国は捨てない」パピチャ 未来へのランウェイ みにこさんの映画レビュー(感想・評価)
それでも祖国は捨てない
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同じ大学生でも日本の学生とは随分違うんだな、と先ずは主人公がデッサンするノートの紙質で感じた。やっぱり日本は何でも手に入るし豊かだな。
でもそんなものじゃない、着たい服を着て、行きたい所に行って、心のままに生きる背中には常に銃口が向けられているのだ。
限られた状況下で青春を謳歌しようとするどこにでもいる若者の雰囲気を楽しむ間もなく猥雑な街の描写や男達の執拗な視線がそこかしこにあり、ここはイスラムの国なんだ、と思わせる。
しかしながら、主人公の生き方に嫌悪感を抱くのは男性だけではない。
イスラム教の戒律を忠実に守って生きることに幸せを求めている女性達も少なからず存在する訳で、互いに寛容でないこともより複雑にしていると感じた。
男性の力を借りてこの国を脱出し自由を手に入れるチャンスもあったのだが、やはりそれも違うのだろう。
主人公達にとって命がけでファッションショーをするために作ったドレスなのだから、邪魔されても引き裂かれても意思を貫くためにドレスを再生させることは、この映画にとって最も重要な要素であったのだから、その場面にもっと時間を割いて映像にして欲しかったかな。
実話を元にしているのでハッピーな結末とはならず何とも無惨な形で終わってしまうのは…ただただ胸が痛かった。
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