劇場公開日 2020年6月12日

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「【”その法の制定過程に瑕疵はないか?” 戦後ドイツが抱える深刻な問題に踏み込んだ意義ある法廷ミステリー。フランコ・ネロの渋すぎる姿と”眼”で演技する姿に魅入られた作品でもある。】」コリーニ事件 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”その法の制定過程に瑕疵はないか?” 戦後ドイツが抱える深刻な問題に踏み込んだ意義ある法廷ミステリー。フランコ・ネロの渋すぎる姿と”眼”で演技する姿に魅入られた作品でもある。】

2020年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

ー殺人を起こしたコリーニが口にするセリフ”欲しいのは正義だけだ・・”が重く響く作品。ー

■今作品に重みがあるのは、
 1.新任弁護士カスパーが弁護を担当することになったコリーニ(フランコ・ネロ:渋すぎるし、凄すぎる・・。哀しみを湛えたあの眼がセリフなしでコリーニの哀しみを表現している。)に殺された”被害者”ハンス・マイヤーが且つて、自分を育ててくれた”祖父のような”存在の大企業の社長であり、彼の幼年時の想い出が効果的に劇中に挟み込まれていることで、現在の且つて恋人だったヨハンナ・マイヤーを含めた登場人物に厚みが出る事であろう。

 2.そして、その心優しきハンス・マイヤーが第二次世界大戦中に行った所業をカスパーや且つて自らの元を去った父、ピザ屋の店員の”知性ある女性”達の協力の末、明らかにしていく過程。
 二転三転する法廷劇・・。

■白眉のシーン
 ・1968年にドイツで制定された「ドレーアー法」(一部では機能したが、相対的に見れば稀代の悪法。ナチに関わった多くの知識層を救った事で有名。)の制定過程を、コリーニ事件の検察側に立つ、この悪法制定に携わったカスパーの且つての恩師リヒャルト・マッテンガー教授に詰問する場面であろう。
ー若き、法曹界で働くカスパーの苦悩と、自らのリーガルマインドとの葛藤・・。-

<学生時代に叩き込まれた”公平性を保て””疑わしきは被告の利益に・・””三権分立を死守せよ!” ”公権力に屈するな”という数々のを教えを思い出しつつ・・
 日本においても、近年、与党の強行採決により、幾つもの悪法が可決されているが、我が国の未来は大丈夫なんだろうな? 現宰相殿・・。>

<2021年5月4日 追記
 このレビューを挙げた際の宰相は変わり、現在の宰相は国会答弁でも自ら苦悩する様をつい、口走ってしまったり、先宰相より、人間性が優れている感があった。(個人的意見)
 只、最近はイロイロな海千山千の輩から指導されているようで、人間性が薄れている答弁が気にかかる。
 トップの政治家は、民の苦しみや悩みを自らのモノとして認識しつつ、国のあるべき姿を見据え、口先だけでなく行動すべきであり、現在のやや迷走し始めた言動は気にかかる。
 是非、就任時に口にされた言葉を周囲に惑わされることなく、実践して頂きたい。
 更に言えば、日本の宰相は野党の要求に対し、全てを自らの言葉で対応しすぎている。ドイツを見習えとは言わないが、担当大臣にまずは任せるべきである。
 野党も、何でも宰相に答弁を強いる姿勢は改めるべきであると、たまに国会の遣り取りを出張途中で聴いていると思うのである。>

NOBU