ぶあいそうな手紙のレビュー・感想・評価
全40件中、21~40件目を表示
なんか、いいね
ブラジル映画ってあまり観ないなあ。
老男性が、目が悪いので旧友(女性)から来た手紙を読めず、偶然知り合った若い女性に読んでもらう話。
"頑固なじじい" と "はすっぱ" なのだが、出会った時から、なんだかウマが合う2人。じいさん(エルネスト)は、女性(ビア)のやることを咎めないし、ビアは最初は金をくすねたりしてるのに、いつしか、それも返し、心を通わせてる感じになる。
少しずつわかるビアの過去をみると、"信じてもらう" という経験が、これまでの人生でまったくなかったであろう。それだけに、エルネストの "盗んだと知っていても、何も言わない" 態度は、「信頼された」と響いたのだろうな。ビアの語彙にはまだ「信頼」はなさそうだから、ビアが言葉にすることはなく、映画は淡々と続いていくのだが、お互いに「それを言葉にする語彙をもたない」だけで、映像で2人の絆が太くなっていく様子は、かなり気持ちよかった。
いい映画を観た。
「人は一人では生きていけない」。 このお話は、観る人全てにそう語りかけてくるようです。
ブラジルの映画ということで、まず気になり、
目の不自由な老人と若い娘の交流を描いた作品のようだったので
ますます気になって鑑賞。
年老いた者の現実 そして 若者の現実。
それをエピソードに散りばめながら
老人と若者の共生する世界の模索
そういったものを描きたいのかと
途中までそんな風に思って観ていたのですが …うーん。違うかなぁ
◇
主な登場人物は、4名 (…と言い切っていいのか …汗)
エルネスト。主人公。78才の爺さん。 目が不自由。ぼんやりとは見える
ハビエル。 心を許せる隣人爺さん。 同世代。耳が不自由。 奥さんと同居。
ビア。 23才。女性フリーター。 表のヒロイン
そして、ルシア。 主人公の昔の同級生。 裏のヒロイン。
旦那が亡くなったことを、手紙で主人公に知らせてくるルシア。
目の見えない主人公に代わり手紙を読み、返事を代筆するビア。
彼女らとの日常の中に描かれる心の交流が
いくつものエピソードとして描かれます。
さりげなく かつ 「共感」 の出来るものが
多かった気がします。
そして 最後の場面
主人公は、ルシア(裏ヒロイン)の元に身を寄せるのですが
これを
「60年越しの想いを実らせた 良かったね」
と受け取るか はたまた
「年寄りのところに身を寄せても すぐに老老介護…」
とリアルな心配をすべきなのか
…
うーん 悩ましいです
ですが主人公
途中で
「過去の記憶を共有できるものと一緒にいたい」
確か ↑ このような事を言っていました。
「残りの人生は思う通りに生きたい」
と
そういうことならば
分からなくもないかな と言う気もします。
残りの人生に幸あらん事を。
※ マジメな話
目の不自由な年寄りが 生活環境を変える
これって相当な覚悟が必要な事ではないかと。
◇余談
タイトル
原題は 「Aos olhos de Ernesto」
直訳すると 「エルネストの目には」 (ぐーぐる翻訳サマ)
だそうで…
うーん
どうすれば邦題が 「ぶあいそうな手紙」 になるものやら
高齢者あるある?
病院での検査の数値を競い合う男二人。
白血球値だのPSA値だの
相手より数値が良ければ嬉しいのか
それとも悪い数値を自慢(自虐?)しているのか
…
それはそうと
二人とも、良く自分の数値を把握しているなぁ と、感心。
ボケとは無縁のようで、ひと安心です。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
老人と若者の交流を描いた映画ではない
本作は主人公が住むアパートメントに、内覧客が訪れているシーンから始まり、主人公が新たな家に住み始めるシーンで終わる。
そうだったのか!
そう、本作は「老人と若者の心温まる交流を描いた映画」ではない。
この映画の主人公はウルグアイ出身の78歳の独居老人エルネスト。
彼はふとしたきっかけで23歳の若い娘ビアと出会う。
エルネストにある日、故郷ウルグアイから手紙が届く。それは夫を失った、かつて実らなかった恋の相手からだった。ところがエルネストは視力を失いつつあり、その手紙を読むことすら出来ない。
手紙の代読、そして代筆をビアが引き受けることから2人の交流が始まる。
確かに、ストーリーはエルネストとビアとのやりとりを主軸に進んでいく。
だが、交流の背景にあるのは、ずっと手紙だ。
姿を見せることもない、そのウルグアイに住む女性が、ストーリーを通じて、通奏低音のようにずっと存在し続けている。
エルネストとビアとの関係の深まりとともに、手紙の相手との関係も深まっていくのだ。
ラスト近く、エルネストの家の前に1台のタクシーが停まっている。スーツケースを抱えて降りてきたビアとエルネスト。
しかし、タクシーに乗り込んだのはエルネストのほう。
やられた!と思った瞬間だ。
なぜエルネストは見ず知らずのビアに頼んでまで、手紙を読みたかったのか。
そう、本作は故国に残してきた若き日の淡い恋の想い出が徐々に明らかになる、50年越しの遠い遠いラヴストーリーなのだ。
なんと、スイートでキュートな映画なのか!
観終わって、この緻密に練られた脚本に唸った。
演出も素晴らしい。
セリフなしで登場人物たちの行動で、彼らの感情や思考を示すシークエンス(主人公が彼女に「罠」を仕掛けるシーンなど)。
目の不自由な主人公の視界を表すピンボケのシークエンス。
家、カギ、お金、写真、本、詩、音楽、食事、そして手紙や新聞など小道具の使い方も無駄がなく、効果的。
映画という表現手段がとてもよく活かされていて、実に映画らしい映画だ。
エルネストも、ビアも孤独だ。
また、隣に住む友人ハビエルも、そして手紙の相手のウルグアイの女性も。
だが、彼らは孤独を必要以上に自己を憐れんだり、嘆いたりはしないのがいい。いや、むしろ生きている中でのユーモアを忘れていない。
そして登場人物たちは、みな優しい。
その優しさに打たれる。
少し噛み合わないところはあるかも知れないが、お互いがお互いのことを心配して、優しさを差し出しあうのがほんとうに素敵だ。
大袈裟なことじゃなくても、人は少しずつ誰かに何かを与えることが出来て、それが少しずつ誰かを救うんだ。
そんな暖かなメッセージが本作には溢れている。
傑作である。
哲学的な要素のある作品
老い、死、愛、結婚などを問いかける作品だったなと。
隣人愛、友愛、親子愛、恋愛、博愛
愛をテーマにした作品だと感じた。
最後の展開は予想しなかったなぁ。
ブラジル映画ってすごく新鮮。言語も普段そんなに聞くことがないのでこれもまた新鮮。
インテリアなども結構おしゃれで意外。
76歳の老人と23歳の若い女の子が恋愛に発展することはありえないけど、稀に後妻業とかでいるからそっちに行かないでーと心の中で叫びながら観てました。純粋な友愛で良かった。
なんだかホロリと泣けて心が温かくなる良作です。
優しくなるなー。
ブラジルって怖いイメージがあるけど優しい気持ちになる映画でした。老後ってどうなるんかなー、なんて自分に照らし合わせながら見てしまいました。今なら老人だます詐欺って見られて息子もがなりたてるとこだろうけど暖かく自立を認めるところが泣けてくる。良作でした。
優しい~
とても好き !
お話も画(え)も、そして音楽も !!
エルネストのウィットに富んだセリフやダンスシーンのキュートさ、
手紙の文章のセンスの良さもステキ !!!
ルシアの手紙に
「映画館には携帯がない」的なこと書いてあったけど、妙に共感。
だから、わたしも映画館が好き!
歳を重ねて孤独の影が近づいてきても、
決して一人ぼっちにはならないのは、
エルネストが真面目に楽しんで生きてきたからだよね。
そんな人徳者の彼、少々頑固にはなっているけれども、
流石の年の功でビアより何枚も上手で、
視力は衰えても他人を見極める眼は曇っていない。
きちんと生きてきたら周りには優しい人が集まる。
ラスト、ビアにも息子にも、親愛なるルシアにも、
そして自分にも、きちんとハッピーエンドをもたらす、
いろんな愛の深さに感動。
誰かに真っすぐな手紙を書きたくなります。
【不愛想な一人暮らしの老年期を迎えた弱視の男に”良い風”が吹いてきた・・。”手書きの手紙”は人の心と心を緩やかに結び付けてくれる・・。】
ー弱視のエルネストは、妻を早くに亡くし一人で暮らす78歳の男やもめ。息子ラミロから同居しようと言われ、自宅の内覧を渋々引き受けるが、家を売る気は無い。
週に数度、ハウスクリーナーの女性が来てくれるが、台所は散らかり放題。
だが、書斎には多くの本と数枚のレコードが置かれ、彼の知性を物語る。
ある日、彼はひょんなことから、ビアという奔放で明るい女性と知り合いになり、一緒に犬の散歩に行ったり、食事をしたり、少しづつ距離を縮めていく。-
■今作で印象的且つ沁みた点
1.且つての友人オラシオの死を知らせる友人の妻ルシアからの手紙をビアに頼んで読んで貰うシーン。そして、タイプライターで返信をしようとするエルネストを制して、ビアが言った言葉。
”堅苦しいよ・・。私が、手紙を書くよ・・。”と言って渋るエルネストの口述筆記をするシーン。手紙の書き出しにも”イロイロとアドバイス”をするビア。
ーエルネストのお金をくすねちゃったりするが、教養のある心優しき女性だと分かる。-
2.そして、ルシアからの手紙に書かれていた言葉の数々。喜ぶ、エルネスト。
ーもしかして・・。-
3.ビアにもイロイロと事情があるようで、ある日、目に痣を付くって、理由を聞くと”自転車で転んだ・・”
4.エルネストとビアが交流を深める数々のシーンでは
・夜、若者たちと詩を路上で詠うシーン
・その後、ビアを追ってきた無骨な男をエルネストが玩具のピストルで追い払うシーン
・滅多に会えない孫にビアのアイディアで、エルネストの動画を撮影するシーン
-言葉遣いを”固い”と又もビアに直されるエルネストだが、恥ずかしくも、嬉しそうである。ー
・ビアからルシアとの関係を鋭く突っ込まれ、照れ臭そうに昔の関係を告白するシーン
が、特に良い。
5.隣人、ハビエルの存在も良い。口は悪いが、お互いを気遣う関係性が垣間見える数々のシーン。
ー新聞が取られていないと心配するところなど・・-
が、ハビエルの妻がある日倒れ、ハビエルが子供のところに行くシーン。二人で固く抱擁を交わすシーン。
ーハビエルが寂しそうに呟く・・。”老いては子に従えだ・・”-
6.ナカナカ上手くコミュニケーションが取れない息子にビアに書いて貰った手紙に書かれていた事。それを一人で読むラミロの少し背を丸めた姿。
-ラミロ、あれは涙ぐむだろう・・。手紙って良いよなあ・・。-
<そして、”良い風”に追い立てられるように、エルネストは”ある人”に会いに旅に出る・・。
ビアに手紙の書き方の指導を受けるうちに、自分の人生に”新しい風”を自ら吹き込んだエルネストの姿にも涙するあのラストシーン。
手書きの手紙って、魔法の力を持つのだろうなあ・・。
人生は、これからだね、エルネスト・・。>
やや残念
老い。世界共通の社会問題だと強く感じた。国や人種が違っても。
叙情的で良かったが、いくつか残念ポイントはある。
ビアにあまり魅力を感じなかった。
エルネストがなぜビアに頼もうと思ったか、理由がよくわからない。
人間性を試してみてまでなぜ?
ウルグアイから移り住んで50年近くの人生についてあまり語られることがなかった気がする。掘り下げて欲しかった。
室内のシーンが多くて、ポルト・アレグレの街並みなどがあまり見られなかったのも残念。
隣人ハビエルとの関係は見ていて微笑ましかったな。
しかし、ビアはどこから来たんだろう?
ファベーラではなさそうだが、家庭環境についてわからなかったし、悪事がバレても全く悪びれないところがちょっと。
23歳にしてはやることが幼いような。
このご時世周りが心配するのも無理はない。
ビアの彼氏に殺されなかったのもある意味ラッキー。ブラジルだし。
ウルグアイ出身なのになぜブエノス・アイレスが頻繁に出てくるのだろう。
平凡
手紙の代筆及び代読を通して、通りすがりの娘との交流を描いた作品だが、キャラはそれぞれ活きている。しかし、内容が平凡過ぎて退屈。これといったエピソードもなければ、手紙の内容も凡庸。脚本のまずさが目立った作品でした。
素敵なブラジル映画
親子ではなく、親と孫くらいの男女のハートウォーミングな内容。
最後の方のシーンでビアがベッドで寝たふりをしていたのは、エルネストとの肉体関係を待っていたのかどうかが理解出来なかった(そのあとで、家族にはなれないと言っていたから)。
なんともかわいらしいラテンアメリカの魅力溢れる映画
マイベストムービーに加わる映画に出会ってしまった。
なんと可愛らしい愛すべき映画でしょう。
ラテンアメリカの市井の人々、ノスタルジックな室内の佇まい、嘘つきで手が速くて、でも感受性が高くて憎めない女の子、ウルグアイ節炸裂のおじいさん、放置される貧富の差、それでも溢れ出る若者たちのエネルギー。そしてシーンや言葉や音楽は美しい。
主人公2人の年の差は半世紀以上あるけれど、あくまで対等な関係が微笑ましい。
南米に住んでいたことがあるので、エピソードや冗談の一つ一つに笑ってしまう。
慈愛溢れるブラジルの女性監督にブラボー!
そしてコロナウィルス感染拡大で公開が延期になる中、日本で先行公開されたことの幸運に感謝。
誰にも老いは等しくやってくるのだ
自分も老後を真剣に考えなければならない歳になった。眼の悪い老人と耳の遠い老人が隣人同士で、助け合って生きていくには限界だという設定は、笑い事ではない。
主人公は、壁などに手をおいて伝い歩きしなければならないほど視力が低下している。若かりし頃に思いを寄せた女性からの手紙を、ルーペを使っても読むことができない。
あるきっかけで知り合った、少し怪しい娘。彼女との交流で、主人公は新たな老後の生き方に踏み出すことができる。
全体的にゆったりと物語は進むが、それなりに事件も起きる。
隣人が概ね狂言回しの役割なのたが、彼の身にも退っ引きならない事態はやってくる。
ユーモラスなファンタジーでありながら、厳しい現実も見せる。
人は誰でも年を取るのだけれど、資本主義の行き先は核家族化を招き、孤独な老人は増えていく。
ハッピーエンドではあるが、身に積まされる部分のある映画だ。
銀行(?)で年金を受けとる際に、お札を額面ごとに違う色の封筒に入れてくれる。これは主人公独自の分類方法なのか、ブラジルでは普通のことなのか。
主人公の住まいは集合住宅だが、息子が売ろうとしているので区分所有なのだろう。だが、主人公が家賃の支払い猶予を頼みに行く場面があったような…勘違いか。
あまり見慣れないブラジルの映画なので文化や常識に不可思議な部分はあって、それを見る点でも面白かった。
曇天のポルトアレグレで花開く独居老人の恋物語
舞台はブラジル南部の都市ポルトアレグレ。ウルグアイからこの街にやってきて46年になる78歳のエルネストは妻に先立たれた独居老人。時折訪ねてくる息子ラミロにアパートを処分してサンパウロに移らないかと薦められているが住み慣れたアパートを手放す気になれない。ある日エルネストはアルゼンチン出身の隣人ハビエルからウルグアイから1通の手紙が届いていることを知らされる。差出人は昔の友人ルシアで、彼女の夫オラシオが亡くなったことを知らせる手紙だったエルネストは視力がすっかり衰えてしまい手紙を読むことが出来ない。家政婦のクリスチーナに代読を頼んでも手書きのスペイン語は読めないと断られる。そんな折あるきっかけで知り合った上の階に住んでいるビアに手紙を読んでもらってやっと内容を知ったエルネストは返事を書こうにも手元が覚束ない。ルシアの手紙に興味津々のビアに手紙の代筆を頼んだことでビアを介して文通が始まるが・・・。
終始曇天のポルトアレグレを舞台にした地味な人生讃歌。ルシアとエルネストの関係がビアの好奇心から少しずつ明らかになる展開と、頑固な独居老人エルネストが天真爛漫なビアに振り回されながら心の扉を少しずつ開いていく過程が交錯したところに慎ましやかに花開く結末に胸がジンとします。スペイン語とポルトガル語が飛び交うバイリンガルなお話ですがいわゆるラテンなケレン味はほとんど感じられず、その代わりに随所で引用される詩や小説の断片からラテン文学の香りが立ち上っていて、特にウルグアイの詩人マリオ・ベネデッティの叙情詩『なぜ我々は歌うのか』の朗読シーンはある意味本作のハイライトシーン。同じ詩に音楽監督のレオ・ヘンキンがメロディをつけた曲が流れるシーンの優雅さも印象的です。
こういう老境に差し掛かった人間が臨むささやかな冒険に巡り会う機会が多くなりましたが、そんな物語にイチイチハンカチを滲ませる自分もたいがいの年齢になったなとしみじみ思う今日この頃です。
エルネストの寂寥がひたひたと波を打つ
優しい老人の物語である。主人公エルネスト78歳。誰もがこんな風に老いることができればと願うような知性に溢れる老人だ。隣人ハビエルと老人同士のユーモアのある洒脱な会話を交わす一方、つつましい暮らしでさえ脅かすブラジル政府の福祉切り捨て政策もチクリと皮肉る。
街で暮らす若者たちは定職がなく生活が安定しない。老人たちと同様に若者たちにも不安が広がっている。そんな中で貧しい老人エルネストと貧しい若い女性ビアが出会い、互いの人間性を探り合いながらもささやかな幸せの時間を楽しむ。エルネストには多くの経験と思い出があり、人生のいくばくかの真実は承知している。ビアは五感がよく働き、様々な知識や教訓を吸収できるし、最新の電子機器に関してはエルネストよりずっと詳しい。
邦題の「ぶあいそうな手紙」も悪くないのだが、エルネストが口述しはじめた紋切り型の手紙ではなく、真情を率直に伝えたほうがいいというビアの提案を受け入れたことと、ビアが目の見えないエルネストに代わって手紙を書くことから、当方なら邦題を「ビアの代筆」としたい。
本作品は老境を迎えたエルネストの生き方を描いているとともに、エルネストの優しさと人柄に触れることで、正直に真っ直ぐに生きることを選択したビアの成長物語でもある。若者の瞬発力は体力だけではなく精神面にもあって、何が正解なのかを一瞬で理解する能力がある。そしてこれまで抱えてきた過去や人間関係をあっさり捨てる能力もある。そしてエルネストにはどうやらそれを予見していたフシがある。目は悪いがなかなかどうして侮れない老人なのだ。
人生は別れの連続だ。「さよならだけが人生だ」という漢詩もある。エルネストは抜け目がなくてずる賢いビアとの邂逅を楽しんだのだ。日常の損得だけで生きる家政婦にはそれが理解できなかった。終盤のエルネストの選択にはちょっと驚いたが、ビアの瞬発力を真似たのかもしれない。タクシーからいったん降りて、46年間暮らした街を港から眺めるシーンは、年老いたエルネストの寂寥がひたひたと波を打つようだった。いい作品だったと思う。
人と人との繋がりの美しさ
あまり見慣れないブラジル作品だったがとても見応えのある作品であり貴重な時間を過ごす事ができた。
盲目の老人エルネストとひょんな出会いから一緒に暮らすことになった23歳のビア。老人と若者といった対照的な者同士が生活する事でエルネストは知恵や知識を、ビアはエルネストの身体的サポートをする事でお互いに必要としてるものを埋め合い生活を共にする。
当初はこの老人と若者といった対照的な存在になにかフォーカスを当てて展開していくのかなと思っていたがそうではなく、あくまでそれも人と人との繋がりの一例に過ぎず、エルネストには息子や隣人の親友そして元恋人などいろんな人との繋がりの描写を各々大切に描かれいる。
それぞれ形は違えど大事にそして互いを思い合う関係性の描写が非常に美しく感じた。
後半にビアが孤独である事を打ち明け、孤独が故に悪い相手との繋がりも求めてしまう事を打ち明ける。
エルネストは孤独を感じた事がないと答えその点に関しては語ることはなかったが、人との繋がりの美しさを身をもってビアに伝える事をした。
そして最後はエルネストはビアと過ごす事で人との繋がりの美しさ、素晴らしさを再認識しプライドを捨て元恋人と余生を送る事を望み話は終わる。
この作品を観てると人と人との繋がりの美しさ、素晴らしさを終始実感させられる。そして同時に人との繋がりを求める事は人間誰しもが持ってて当たり前の欲求であり、それを正しい形で満たす事が人生を豊かにそして幸せにする事なんだととても感じさせてくれる美しい作品であった。
ここで大切なのは正しい形という事だ。ビアの様に孤独に打ち負け飲み込まれてしまうと判断を誤り、孤独以上に自分を不幸な状況に追い込まれてしまう。
そしてエルネストがビアに行った様に良好な繋がりを得るには相手を信じる事から始まるわけだ。
この辺の人と人との繋がりのバランスを凄く丁寧に魅力的に描かれておりとてもいい時間を過ごすことができた。
親愛なる…
ブラジル南部の町で一人暮らしをする78歳の文学好き爺さんと、23歳のちょっとやんちゃな女性が交流する話。
病気の為か視力が衰え、ものの輪郭ぐらいしか認識出来ず、拡大鏡を使っても文字を読めない主人公が、古い友人から手紙を受け取り、ご近所さんの姪っ子に読んで貰い展開していくストーリー。
晩ご飯が犬の昼ご飯になってしまったことへの対応とかをみると、悪い子ではないのかなとも感じつつ、爺さんが見えないのを良いことに、結構やらかす女の子に危なっかしさを感じる序盤。
それすらも見抜いている爺さんの大物感と、手紙のやり取りで温かさや信頼なんかも感じるけれど、やっぱりぶっ飛んでるしw
こういうテイストのブラジル映画は多分初めて鑑賞したと思うけれど、良く出来ていてヨーロッパ系の作品の様な感じがする。
基本ちょっとまったりゆったり穏やかに進行していき、寂しさや哀しさを孕みつつ、優しさに溢れた作品でなかなか面白かった。
高齢者は若者を若者は高齢者を必要としている
本作品、最初は、何処にでもいそうな頑固な年寄の日常を描いた作品かなと思っていましたが、単に頑固な年寄を描いた作品ではなく、なんとなく、年寄には、若い子が必要だし、逆に若い子には年寄が必要だね的な感じで内容が進んで行きます。
勿論、単館で上映されるような雰囲気むんむんで、お話も地味に進んで行きますが、不思議と共演の若い女性が話に絡んで来ると雰囲気も明るくなるしお話もいい感じで進んできます。
よくあるパターンと言えばパターンですが、しかし、ブラジルも良い映画を作りますね。
最後は何ともほろっとさせられました。
何とも味のある内容で良い映画でした。
@cinema_cafe
@cinemacafe.net_official)
タイトルなし
ブラジル南部ポルトアレグレの街
ちょっと頑固な78歳のエルネスト
旧友からの手紙の代読と代筆を
23歳のビアに頼む
.
ビアとの出会いから
変わっていくエルネスト
孤独であったビアも
エルネストに心を開く
.
本・レコード・手紙
紡ぐ詩的な言葉の数々
エルネストが重ねてきた人生
老いるということは諦めることではない
.
異なる文化・異なる世代との交流
家族への
友人への
関わりをもつ人々へ
愛や優しさのある素敵なお話でした
.
.
隣人ハビエルとチェス中の会話♟️
思わず笑ってしまいます🤭
.
カエターノ・ヴェローゾ
「ドレス1枚と愛ひとつ / Un Vestido Y Un Amor 」
素敵だったので聴いてみる🎧️
全40件中、21~40件目を表示