劇場公開日 2020年7月18日

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「誰にも老いは等しくやってくるのだ」ぶあいそうな手紙 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0誰にも老いは等しくやってくるのだ

2020年8月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

自分も老後を真剣に考えなければならない歳になった。眼の悪い老人と耳の遠い老人が隣人同士で、助け合って生きていくには限界だという設定は、笑い事ではない。

主人公は、壁などに手をおいて伝い歩きしなければならないほど視力が低下している。若かりし頃に思いを寄せた女性からの手紙を、ルーペを使っても読むことができない。
あるきっかけで知り合った、少し怪しい娘。彼女との交流で、主人公は新たな老後の生き方に踏み出すことができる。
全体的にゆったりと物語は進むが、それなりに事件も起きる。
隣人が概ね狂言回しの役割なのたが、彼の身にも退っ引きならない事態はやってくる。
ユーモラスなファンタジーでありながら、厳しい現実も見せる。
人は誰でも年を取るのだけれど、資本主義の行き先は核家族化を招き、孤独な老人は増えていく。
ハッピーエンドではあるが、身に積まされる部分のある映画だ。

銀行(?)で年金を受けとる際に、お札を額面ごとに違う色の封筒に入れてくれる。これは主人公独自の分類方法なのか、ブラジルでは普通のことなのか。
主人公の住まいは集合住宅だが、息子が売ろうとしているので区分所有なのだろう。だが、主人公が家賃の支払い猶予を頼みに行く場面があったような…勘違いか。
あまり見慣れないブラジルの映画なので文化や常識に不可思議な部分はあって、それを見る点でも面白かった。

kazz