劇場公開日 2020年9月4日

  • 予告編を見る

「これ以上落ちる事はない。」行き止まりの世界に生まれて 奥嶋ひろまささんの映画レビュー(感想・評価)

3.5これ以上落ちる事はない。

2021年6月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

縦軸がしっかりしていて、
とても良いドキュメンタリーだった。

行き止まりと言う言葉には、
これ以上進めないと言う意味じゃなくて、
これ以上落ちる事はないと言うポジティブな意味が
込められてると思いました。

始まりはスケボー少年の成り上がって行く、
或いは落ちて行くさまを描いたドキュメンタリーかと
思っていたけど、
イリノイ州ロックフォードと言う街が抱えている問題と
3人の登場人物の人生、
そして、縦軸には過去の家庭内暴力からどうやって向き合う
かと言うのがしっかり描かれてて
監督の手腕を感じました。

家庭内暴力を受けた監督が、家庭内暴力を受けてたキアーに
自分を重ねていた。と打ち明けるシーンは鳥肌モノ。

ザックのインタビューからは、
もしかしたら監督に暴力を振るった父親の気持ちを
知りたかったのかもしれないと思いました。

周りがクソなんじゃなくて自分で選んだ人生だった。
なんて言葉は、遠いアメリカの話じゃなくて
自分の事を言われてるようで、
グッと来る、ずっと持って歩きたくなる愛読書のような
映画でした。

奥嶋ひろまさ