劇場公開日 2020年9月4日

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「芝居じゃないセリフが強かった。」行き止まりの世界に生まれて トマソンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0芝居じゃないセリフが強かった。

2020年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭、スケボーの臨場感を疑似体験できるだけでも感謝。やっぱりこう言うスポーツ(あ、彼らはスケボーに所謂スポーツという意識はないね。生活の一部、疑似家族とシェアする大切な営みなのだから)は会場に設えられた装置ではなく、ストリートで、こそが醍醐味だ。当たり前か。
早々に、「世の中はスケボーの幸福感を知る人と一生知らずにいる人に二分されるのだな」と素朴に思う。結果的には全編、分断された世界(の行き止まりの方)を描くことがテーマだったな、と納得。家族の愛を受け止めて育った人と暴力の中で育った人、順調な学歴・職歴を重ねる人と底辺から抜け出せない人、もちろん白人と黒人、家に居続ける人と出て行く人、、、、、、。
高校中退組の彼らの言葉は重い。ドキュメンタリーにはかなわない。脚本家が書いたセリフを役作りに徹した役者の口から出るセリフよりもはるかに刺さるのだ。自分の生い立ち、自分の自堕落さに対して彼らはとても自覚的であり、自分を客観視できる人間だ。あんなにすごいスケボーの技をマスターする子達なのだし、絶対に机上の秀才と同じかそれ以上の身体能力(もちろん頭脳を含む)の持ち主なのだ。
主人公の一人である監督の今後の作品が楽しみだ。

トマソン