劇場公開日 2020年9月4日

  • 予告編を見る

「俺が撮った、俺達の物語」行き止まりの世界に生まれて CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0俺が撮った、俺達の物語

2020年9月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

自身が10代の最初から、自分たちのスケボーを撮り続けてきた監督による、自分たちの映画。まさにドキュメンタリー。こういう映画が可能な時代なんだなあ、と感心。生まれた頃からの自分の動画があるのが当たり前だけでなく、自分が撮った自分たちの動画がある時代なんだ。

ただ、この映画は、その素材を生かした上で、自分たちの "最近" を、丁寧にインタビューというか、ライブ映像を撮り、ロックフォードという小さな貧乏な街と、そこに暮らす自分たちを、見事に描いてくれている。

いろいろある毎日の暮らし、基本的には面白くない暮らしの中で、いかにスケボーが彼らを支えているか、彼らにとってのスケボーの輝きは、めちゃくちゃ伝わってくる。それは、一番に監督の撮り方が上手いことに尽きる。そのスピード感、爽快さ、開放感は、スケボーをやっている者だからこそ撮れる映像じゃないかな。転んで痛そうなシーンですら、彼らの心が伝わってきたかのように「うまくいかなかったか、チクショ!」って気持ちになるよ。

黒人のキアー、白人のザック、東洋系のビン。メインに伝わってくるのは、3人の貧しく、暴力的な家庭環境の悲劇感ではなかった。そんな環境でも自分は抜け出そうともがく3人の姿が描かれ続けるので、とても気持ちのいい映画だと思う。

CB