劇場公開日 2020年4月3日

  • 予告編を見る

「鑑定不可能」暗数殺人 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鑑定不可能

2020年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 プロファイリングしても鑑定不可能と決定された殺人鬼カン・テオ。逮捕されたのは恋人を殺害した罪だったが、裁判では検察側が証拠を捏造してしまい、面接にこぎつけた刑事キム・ヒョンミンが下着やテープの隠し場所を聞き出し、取引によって懲役20年がが15年にまで減らすことになった。

 麻薬捜査課からわざわざ殺人課へと転属し、カン・テオの自供した7つの殺人を徹底的に洗おうとするのだが、それらの殺人はみな暗数殺人という表に出ていない事件ばかり。しかし、日付や殺害方法などがこと細かく具体性を持っていたため、真実を告白しているのだと確信するヒョンミンだったが、泥沼化するように犯人に翻弄されていくのだった・・・

 自白だけじゃ弱くて起訴すらできない、物証として上がった白骨化した遺体もDNA鑑定の結果被害者じゃない、金を要求するところも卑劣なカン・テオ。いや、その前に「タクシー、女性」という被害者が2人いるんだから、遺体交換ってのもありじゃね?と、ヒョンミンの愚かさというより、誰も手伝ってくれないところにイライラさせられました。

 『殺人の追憶』(2003)にも似た刑事の執念、泥臭さがとても良い。殺人事件だけ見ても、人口比だと日本より多いのに、表に出ない事件が200件というのも驚き。まぁ、表に出ないんだから、暗数殺人はわからないが。とにかく事件が多すぎて暗数までには手が回らない状況さえうかがえる。犯人に金を渡すのはマジか?とか、捏造とか様々な問題も描かれているし、テオの頭の良さにも驚いた。刑務所内でしっかり法律勉強してたりとか・・・最も腹立たしかったのはタクシー運転手が余計なこと喋るんじゃねーよ!ってところでした。

kossy