劇場公開日 2020年4月3日

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「『殺人の追憶』から続けて観ると、韓国の社会的な変化を警察の捜査方法から知ることができる、興味深い作品。」暗数殺人 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0『殺人の追憶』から続けて観ると、韓国の社会的な変化を警察の捜査方法から知ることができる、興味深い作品。

2020年8月23日
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鑑賞方法:映画館

恥ずかしながら今作で初めて、キム・ユンソクさんの主演作を鑑賞した観客による感想です。

本作の主人公であるヒョンミン刑事は、例えばポン・ジュノ監督作品『殺人の追憶』(2003)に登場するような、証言を得るためなら暴力も辞さない刑事とは全く異なって、どのような挑発にも乗らず淡々と調査を進めていくような人物です。

そのためか本作は刺激の強い場面も演出も抑制的ですが、物語には常に不穏な緊張感がつきまとっています。その緊迫感はヒョンミン刑事の捜査が殺人犯の証言に頼るほかない、という極めて不安定な状況であることであったり、証言と引き換えに見返りを渡すなど、犯人兼証人への利益供与や取引を疑われても仕方のない行動を繰り返していること、などももちろん原因していますが、何と言ってもチュ・ジフンさん扮するカン・テオの得体の知れなさが大きいです。

テオは何を目的に自分の犯罪を告白したのか。虚言なのか、何かの罠か、単にからかっているだけなのか?そしてなぜヒョンミン刑事は同僚から疑いの目を向けられようとテオに侮辱されようとも、暴力による自白という安易な手段に訴えずに捜査を続けるのか?その目的が明らかになる結末は深い余韻を残します。

なお、パンフレットの岡本敦史さんによる解説は、作品の解説だけでなく、実際の事件についての情報など、本作の背景を理解する上で非常に豊富な情報を盛り込んでいて、非常に素晴らしいです!

yui
yuiさんのコメント
2021年4月29日

kazzさん
コメントありがとうございます!たまたま韓国の警察を扱った映画を続けて観たので、比較してみることができました。
韓国警察ではドロップキックが定番なんですかねw

yui
kazzさんのコメント
2021年4月25日

なるほど、刑事の姿勢を比較する観賞方法もあるんですね。
パンフレットの記事、読んでみたかったです。

kazz