「一回で理解出来ました(笑)」TENET テネット 佐伯敏雄さんの映画レビュー(感想・評価)
一回で理解出来ました(笑)
一回では理解出来なかったという至極真っ当なレビューに対して、
「一回で理解出来ました。あなたの理解力に問題があるんじゃないですか」
というさも
「私はお前と違って頭の良い人間だ」
という勝ってもないのに勝ち誇ったような稚拙なコメントが散見されるが、恥ずかしいからやめたらどう?
頭の良い人はそのようなコメントは書かないのが分からない時点でお察しである。
さて作品に関してレビューするならば、サッパリである。
もう気持ちの良いくらいサッパリ分からない映画であった。
人によってはクリストファーノーランの自慰行為とすら取れる作品である。
映画を"ちゃんと"観れる人間と思われたい人が何度も足を運び、またはサブスクで夜な夜な何度も観て8%ずつ理解度を深めるような作品である。
または理解出来ない事に憤りを感じ、例えるならば逆上がりが出来ない事でキレて日が暮れるまで鉄棒にぶら下がっている小学生のように、この作品に一定期間ぶら下がって理解出来るように練習する作品である。
そして人類の数パーセントは一回で
「なるほどなぁ。良い映画であった」
となっているのだろうけども、残りの人類は
「なんだこれぇ…わっかんねぇ…」
であるはずである。
因みに私は鉄棒小学生タイプだった。
ずっと「なんだこれ訳分かんねぇなぁおい」とイライラしながら見ていたのだけども、ラストあたりのシーンでの主人公の表情を見た時に、深く理解したいと感じた。
ストーリーやエントロピーやらなんやらを理解したい訳ではない。
主人公の気持ちを理解したいと感じた。
それから数回観てみては撃沈している。
でも理解したい人間を撮れるって実はとても素晴らしい事なのかもしれない。
そういった面で理解が少し進んだおかげもあって、この映画には価値があるかもと感じる。
難しい映画を好きになれる人。
理解したいと探究心が強い人。
分からないことに我慢できる人。
何度も同じ映画を観れる人。
こんな要素が数個当てはまる人はこの映画を観て楽しむことが出来る可能性が高いと思われる。
そうじゃない人からしたら人生の時間を無駄に過ごしただけの駄作と感じてしまうであろう。
人がどう感じるかは自由だし全ての感想は否定されるべきではないけれども、お勧めできるか動画で考えると、お勧めしずらい映画だなっていうのが全てである。