「奇をてらっただけ」TENET テネット parsifal3745さんの映画レビュー(感想・評価)
奇をてらっただけ
「TENET」って、ひょっとして回文?普通の時間の流れと逆行を意識したからの表題かな?インターステラーも、自分は受け付けなかったけれど、「TENET」は、それ以上に無理。他の人が作ったことがないとんでもない設定で作るのが好きなんだろうなって思う。また、説明が不足していて、観客が理解できないのをそのまま置き去りにして、後でそれを回収していくという描き方。それにしても限度がある。
世界が亡くなるかもしれないのに、工作員2人に世界の存亡が託されるのもしょぼい。世界を救わなければならないのに、主人公は誰だとか、あまり親しくもない妻子の命を救うのを優先しているかのようなのも興ざめ。自分軸の人間だけが救われればいいという危険な描き方はやめてほしい。(どのスパイ物にも言えることなのだが)
少し冷静に考えると、これってあり得ないよねって。オスロ空港で、順行しているニールと名もなき男が戦う場面があるけれど、人間の筋肉の構造上、順行している人間と逆行している人間が戦うのは力学上無理。順行している人間や車と逆行している人間や車、完全に過去も未来も覚えていないと、戦ったり除けたりするのも不可能。逆行するのは動きだけ?言葉も時間が逆向きに聞こえてくるはずでしょ?素人でも、それくらいのことを考えるのに、脚本家や監督、この作品によくゴーサインを出したなと。
見ている方は、煙に巻かれているだけで、頭も混乱するから、凄いっていう感情よりも、意味わかんないって感情だけが膨らんでいく。自分が理解できないのを凄いって思える人はいいかもしれないけれど、どう考えても自分には無理。奇をてらっただけの映画に思えた。
ノーラン監督の作品、自分には合わないのかもしれない。