「面妖な007もの」TENET テネット odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
面妖な007もの
ターミネーターやバック・トゥ・ザ・フューチャーなど時間操作をテーマにした娯楽大作はもはや出尽くした感があるので新しいアイデアをひねり出さなくては気のすまないノーラン監督には気の毒に思えます。そこで思いついたのがアナログ的な逆回し、TENET(信条)は謎の組織名、逆から読んでもおなじ逆さ言葉・・・。
エントロピーが何とかと言っていましたが所詮SF、視覚的には逆回しだしマシンも回転扉もどきと極めてシンプル、ノーラン監督定番の人の心の闇問題も今回は控えめだし、別人のような作風の変化に驚いた。
プロットは過去を消滅させる未来人の陰謀を元CIA工作員の主人公をスカウトしたTENETのメンバーたちが必死で阻止する活劇だが、過去を壊滅させたら未来は再生できるのか素朴な疑問、劇中でもパラドックスとかパラレルワールドとかはぐらかしていましたね。
未来人が出てくる訳では無く手先となったロシアの武器商人が敵役、その妻が味方するあたりも往年の007と似たようなティスト、訳の分からないセリフで煙に巻くのはいつものことなのでさして気にならなかったが2時間半の長尺は流石にかったるい。
まあ、派手な爆破シーンやカーチェイスなど予算タップリな視覚効果なのでそこは見どころでしょう。