「既視感は否めないが満足」TENET テネット Kicoさんの映画レビュー(感想・評価)
既視感は否めないが満足
タイトルの通り、時間逆行のモチーフはメメントで既出だし、インセプションを見たとき程の衝撃はなかった。
個人的には、初回視聴後にパンフレットを見たことでようやく理解できたことが多くて、「それって映画としてどうなのよ」と言いたいが、自分の理解力がないだけとも言えるので黙っておく。(書いてるけど)
おそらく主人公の出自や背景が不明瞭過ぎて感情移入しきれなかったのがモヤモヤの要因であろう。「名もなき男」って。。
ちょっと和訳がいけてないのでは。
ここは好みの問題だと思うが、私は映画にストーリーやメッセージ性を求めるので、ダンケルクしかり最近のノーランは超絶技巧を極めることに傾いている気がして、前ほどときめかない。
確かにニールの最後の仕事としてやったこと(直接描写はなかった)はあまりにも崇高で心打たれる。
しかし、なぜそこまでの自己犠牲をさらっとやってのけるのか、背景があまりにも足りなかった。ニールがキャッツの息子説は私も個人的に賛成だけれど、根拠がベトナムのチャームや髪の色、セイターのセリフなどどれも弱くて、「それっぽいけどそうでないかもね」位しか言えない。
それを観客一人ひとりに委ねると言えば聞こえはいいかもしれないが、私は監督が「腹をくくってない」と受け止める。
そして、最後に、セイターに装置を見つけさせた黒幕についてはサッパリわからん。
まさか主人公じゃないよね。あーモヤモヤ。
とはいえ、こうやって色々言ってる時点でこの映画にはまってしまっているのは否めない。
なんだかんだ言って好きなのよ。