「上から読んでも下から読んでも」TENET テネット たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
上から読んでも下から読んでも
コロナ禍での上映が相応しい映画。メインビジュアルでワシントンがマスクをしているし、仕上げの段階(少なくともプロモーション)でコロナパンデミックを相当意識していると思われ…途中息苦しくて思わず自分がマスクしてて良かったと思ってしまうシーンもあり。圧倒的な力技のSFスパイアクション超大作なのだが、ハリウッドのルールを逸脱しておりとてつもなく難解なのだ。前半の007的スパイ映画セクションは無駄のないカット割りでスタイリッシュにテンポよく進むが、問題は時間を遡ってしまう後半。事前に攻略本を精読してから観ないとまず理解できないであろう。恐らく理解しているのは監督のみ。150分は少し長いので15分短くして説明的シーンを5分増やせばもっともっと良くなると思われ…「ダンケルク」の1週間・1日・1時間の無茶苦茶スパン同時進行といい、相変わらずのノーラン天皇のわがままゴリ押し感満載で観客に対してすごく不親切なのである。「2度3度見て楽しもう」とおっしゃる方もいるようだが、1度で観終わって「面白かった」と席を立たせるのが本来の映画ではなかろうか?
<もう二言>
フットブレーキを手で押さえるシーンが納得できん。あれじゃ絶対止まらないでしょ?
現場でフィルムを逆回転させて撮影することにどれほどの意味があるのか?