「想像を遥かに超える映画体験がここにあり」TENET テネット Mr.Yさんの映画レビュー(感想・評価)
想像を遥かに超える映画体験がここにあり
グランドシネマサンシャインで鑑賞。IMAXレーザーで!最速上映鑑賞ですよ!
オペラハウスでテロ事件が勃発。特殊部隊として館内に突入した主人公の任務は『プルトニウム241』だった。しかし彼は仲間を救うために身代わりとなり捕らわれる。拷問を受け自決カプセルを飲む主人公だが、目を覚ますとある組織に保護されていた。そしてそこで未来からの敵が人類を滅ぼそうとしていることを知る。人類を救うために、時間を逆行する。キーワードは『TENET』。
ついに公開となったTENET!待ちに待った“天才”クリストファー・ノーランの最新作。冗談抜きで前作のダンケルクから3年間、この日を心待ちにしてました。コロナ渦で、ほぼ全ての大作が公開延期してる中、無事日本で公開してくれたこと、ノーランには感謝としかいいようがないですね。
さて、満を持して公開となった本作ですが、正直にいうと過去最高レベルで難解です。クリストファー・ノーランの作品は面白いって噂だけで、例えば普通の作品の面白さを求めて見ちゃうと火傷しそうなくらい難解ですね。インセプション見た時も、わけわからんかったのを強く印象に残ってますが、本作はあれを軽く超えました。
今回ノーランが挑戦したのは、『時間の逆行』。この時点でわけわからんですよね。祖父殺しのパラドックスのように、過去に行き、タイムトラベルやタイムリープの世界で物語が進む。ってのはよくある映画のパターンです。しかしノーランは、時間を順行する世界と時間を逆行する世界、これを平行で描くという凡人には絶対理解できないことをわかりやすく(人がなんとか理解できるレベル)映像化したんですわ。何書いてるかわからないって?そりゃそうですよ。見たボク自身、たぶん半分も理解できてないですから。
理解できないんじゃつまんないんじゃないの?って。普通の作品じゃそうでしょうね。でも違うんです。半分も理解できてない。でも映画の世界に引き込まれるんです。いや、ノーランのトリックに少しずつ気づいていく楽しさ、快感が半端ないというべきかな。
これもノーラン作品の特徴なんかわからないが、基本難解なので特に冒頭とか何やってるかさっぱりわからんのですよ。これはインセプションもそうだったし、メメントも、インターステラーも、ダークナイトも、ダンケルクも。でも徐々に気づいていく。本作をトリックに気づいていくっていう快感に近い作品はやはりメメントとインセプションかな。途中から話の構造、あるいは世界観のルールを理解していく様は凄かったですね。
中盤もだけど、終盤なんかは逆行と順行がどう入り混じってるのかもうパニックだし、これを初見で理解知ろなんて無理な話。解説をつけて欲しいレベル(笑)それでも、あっ、そういうこと?え、もう一度時間を意識して見たい!あのシーンってどういうこと?話がわかったようで、理解できなかったところをまた見たいと思わせるんですよね。これ絶対3回観に行っちゃうな(笑)
ただしこの満足感は、理解できてなくても理解しようとする人にしか味わえないでしょうね。上に書きましたが、理解しようとしない人には火傷レベルの案件で全く面白ないと思いますね。少し見逃すだけでチンプンカンプンというか。長いけどトイレ禁止ですw一瞬でも油断して見逃したら痛い目あう。でもホント、ボクがそうなように、ノーラン好きには釘付けになってしまう作品です。逆行する時間と順行する時間を平行で描くなんて、そんな発想なぜ出てくるんだろうか。スゲーの一言だわ。見終わった瞬間、思わず拍手して絶賛してしまったし、すぐもう一回見返したい思いで一杯になりました。連休絶対見返しに行こう。
本来5点満点で映画の感想は書いてますが、こんなの見せられたらたまったもんじゃないですね。10点でも足りないくらい。それくらい僕らが見てきた映画を遥かに超えた作品がここにあります!住んでる場所によって見れる見れないがあるのは仕方ないことかもしれませんが、グランドシネマサンシャインのIMAXレーザーで見れたという感動は格別ですわ。だってフルサイズのIMAX画面だもんな。
さぁ、ノーランは次、どんなマジックで我々を驚かせてくれるのか。前作から3年間心待ちにした本作ですが、今日からまた次作に向けて心待ちにする日々が始まります。きっと数年後、今日のような感動体験がまたそこにあるはず。
最後に、ホント映画界のために、公開に踏みきってくれたこと本当に感謝します。映画界のために動いてくれたノーランの素晴らしい言葉でTENETの感想を締めようと思います。皆さん、是非映画館で映画を見ましょう。映画はそのためにあるものです!
『映画館は闇に包まれてしまった。だが、決して映画がその価値を失うことはない。この危機を乗り越えた時、人々の集まりたいという想いや、ともに生き、愛し、笑い、泣きたいという願いは、かつてないほど強くなるだろう。映画館はそのすべてを、私たちにもたらしてくれる。だから、私たちには映画が必要なのだ』by Christopher Nolan