るろうに剣心 最終章 The Beginningのレビュー・感想・評価
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全てはここから始まった
一作目からずっと追いかけてきた大好きな「るろうに剣心」シリーズがとうとう最後を迎えるということで、IMAXで観に行ってきました!
ずっと謎となっていた「不殺の誓い」「巴を切った理由」「十字傷」この全てのピースが明かされました。
今回の剣心は「緋村剣心」ではなく、「緋村抜刀斎」。
特徴的な口調(ござる、おろ等々)は一切なく、血だらけになりながら瞳は光を失っていました。
幕末のヒリヒリした空気感が冒頭の血生臭いシーンで発揮されて普段のシリーズとは一線異なるものになるのだなと予感され、ゾクゾクしました。
そう感じた通り、まるで別の時代劇を見ているような感覚になりました。
高橋一生さんや安藤政信さん、村上虹郎くんの新しい登場人物たちの演技がきらりと光ってどのシーンも食い入るように見つめてしまいます。
何より、今までのシリーズ通して「不殺の誓い」をたて、戦いの最中血を浴びることのなかった剣心が血だらけになってためらうことなく刃を振るう姿が
恐ろしくも美しくて魅入ってしまいました…。
刀のぶつかり合う金属音もやけに耳に残って苦しかった。
そして、満を辞して登場した雪代巴!
有村架純さんの儚くも芯の強い巴は最後まで本当に美しくて圧巻でした。
もちろん佐藤健くんの演技にもとにかく泣かされました。
愛する人に、守りたいと思った人にはめられたかもしれないと戸惑い、涙しながら戦う剣心を演じる健くんに涙腺崩壊。
そして、巴を切ってしまった理由があまりにも切なすぎて苦しすぎて雪の中で十字傷が生まれ、巴を抱きしめるシーンは映画界屈指の美しさでした。
ポスターのメインビジュアルになっているあのシーンは絶対に本編で観てほしい。
二人に剣心と巴さんを演じてもらえて本当に良かったなぁ。
「行ってくるよ、巴」
そう言い残して、亡骸と共に幸せな思い出がいっぱい詰まったあの家を後にした剣心はどんな気持ちだったんでしょう。
派手なアクションシーンはなくともIMAXで観た方が、より映像の美しさを感じられるのではないでしょうか。
一作目の冒頭のシーンが、beginningを見た後ではきっと全然違うものに見える。
「新時代」を渇望し、剣心の気持ちが。
もちろんfinalも!
beginningの後に一作目に戻って一周したくなること間違いなし!!
コロナ禍で大変な中、この作品を最後まで演じ切って作り切ってくれて本当に感謝です!!
勿忘
1作目はDVDにて、2作目以降は全て劇場にて。好きな実写シリーズの作品です。そんな作品も足掛け10年、ついに終幕です。コロナにより興行収入はだいぶ割を食ってしまいましたが、それでも映画館に人を呼び戻す作品として超貢献してくれています。
今作はアクションは抑え目ですが、追憶編を軸にしているので、ストーリーで魅せる作品でした。とは言いつつも、要所要所にあるアクションは素晴らしいもので、シリーズ通しての狭い地形を生かしたアクションはお見事なものでした。他にも終盤に出てきた大木を利用したトラップと、それを避ける剣心の素早い動きは目を見張るものがありました。ただ全体的に爆発心中する輩が多かったのが難点でした。
剣心と巴との物語が、背景の美しさも相まってとても素晴らしいものになっていました。なぜ2人は夫婦になったのか、なぜ巴を殺してしまったのか、を事細かく描いており良かったです。ただ、縁役の子役の方が中々に下手っぴで、とても見ていられませんでした。自分は役者ではないので堂々としたことは言えませんが、なんでこの子を採用したのかが謎です。(約ネバ…)
不殺の誓いを立てた剣心の心意気、新時代と共に刀を捨てて、物語は「るろうに剣心」へと繋がります。るろうに剣心シリーズとして素晴らしい終幕でした。最後のロゴも、ワンオクの主題歌も最高でした。
ツッコミ所も多々ありましたが、それでも良い作品を観れました。お疲れ様でした。
鑑賞日 6/5
座席 15:20〜17:50
座席 N-4
製作期間の10年、作中時間の10年…
FinalとBiginingこの二本をスイッチするのはものすごく知力と体力がいる。この二本の間には、三本の野心剥き出しのサムライアクション映画がはさまれる。
コロナで人類が鬱々としている現在、この二本の大作を日本で公開できたのは、映画の神様に祝福されているからだろう。監督、製作陣、関係者の皆さんのはたらきももちろん大きくプラスに働いている。
漫画原作フィクションではあるものの、時期的に現在放映中の大河ドラマ「青天を-」の裏の歴史を垣間見せるつくりになっていることも面白い。明治時代が幕を開けるために、どれだけの血が流れたのかというお話。暗殺やテロや陰謀や戦争があり、人類がまだ宇宙へ行ってなく、地球規模でものごとを考えられなかった時代があった。
もし、昨年の公開であれば、「鬼滅の刃」と興行成績を争うことになったはずだが、鬼滅の刃フィーバーがとりあえず落ち着いている現在にこの「るろうに」の10年間を一気に投入できたのほ、るろうにファミリーにとって最大の幸運であったのかもしれない。それとも「鬼滅」という、よりフィクション性の高いアニメーションと競うべきだったのか?
いや、「鬼滅」フィーバーのあとの「るろうに」最終章の堂々公開であったがゆえに大きく燃え尽きられたのだと思う。
つねに逆境を味方につけるという大友啓史の生き方がここにきて結実したのだと思うと、感動する。
江戸時代末期。倒幕と新政府樹立とその後の数年。
桂小五郎をリーダーとする長州藩の運命ともにあった抜刀斎の人生。
それは、人を殺めて歴史を切り開くしかなかった幕末の動乱の時代から、第二次世界大戦と呼ばれる日中戦争、日米戦争をへて現代に至る近代日本史の始まりの始まりである。
漫画原作フィクションであるが故に、自由である。
斎藤一や、新撰組や、桂小五郎など実在の人物を見れることはスリリングだ。
あくまでも「映画・るろうに」における斎藤一であり、江口洋介演じる斎藤一なのだが、無名の青年→緋村抜刀斎→緋村剣心と変遷してゆくこの物語の主人公にとっての最大のライバルであり、かつ盟友とも言えるのかもしれない。江口洋介をシリーズの最初に起用できたこと、佐藤健のキャリアの初期に大友啓史の「剣心」になったこともこのシリーズの成功の鍵のひとつだと思う。(もちろんアクション監督谷垣氏の起用も。)
この時代にしか生まれえぬ傑作だと思う。
漫画原作フィクションというハンディを背負いながら、日本近代史を振り返らせるための強力な起爆装置になりうるかもしれない。
今作の出来は良い。それ故に過去作のダメさが際立つ。
前作『The Final』でかなり辛辣なレビューを書かせて頂いたので、最後まで見届けるという使命感も抱きつつ、るろうに剣心のラストを確認して来ました。
結論から先に言えば、この『The Beginning』自体はとても丁寧に作られていて、非常に面白かったです。
(あくまでも主観ではありますが)今までのるろうに剣心のシリーズの中では一番良かったです。
ですが皮肉にも、その丁寧さ、掘り下げの深さ、面白さが逆に他のシリーズの底の浅さを露呈させてしまっていて、シリーズ全てを通して見た場合に整合性を保てなくなってしまっています。
前回のレビューに引き続き、また長くなってしまうかも知れませんが、個人的な感想にお付き合い頂ければ嬉しいです。
まず今作の『The Beginning』は尺がとても長い。
その長い尺を使って原作では数話程度だったエピソードをたっぷり描いているから、重厚さは過去一になっている。
色々な要素を削ぎ落としまくって無理矢理仕立てた結果、出汁を入れ忘れた薄い味噌汁のような出来になってしまった『The Final』とはえらい違いだ。
原作では分かりにくかった部分にもシーンを追加してしっかりと描き、剣心や巴の心情の掘り下げにもかなり時間を割いているから、ラストの剣心の覚悟、鳥羽・伏見の戦いに至るカタルシスは相当なもの。
全体的な雰囲気も過去シリーズとは一線を画する重たく暗いものとなっていて、エンタテイメント作というよりかは普通の時代劇のようにも見える。
この一作のみで評価するとすれば、個人的にはかなりの高評価を付けたいところだ。
だが、今作は一応るろうに剣心シリーズの一部であり、『The Final』とは対になる二部作の後編という位置付けになる。
そういう視点で今作を見た場合、今作のせいで過去のシリーズ、特に『The Final』の酷さが更に浮き彫りになってしまっている。
『The Final』が具体的にどう酷いかはそちらのレビューで散々書いたからそっちを見て欲しいけれど、残念ながらそこで危惧した事が全部本当になってしまった。
まず、今作のヒロインである雪代巴(=有村架純)と、シリーズ通してのヒロインである神谷薫(=武井咲)の扱いの違いがあまりに酷すぎる。
これは第一作の頃から感じていた不満だけど、るろうに剣心の『The Final』に至るまでのシリーズの中で薫の心情、想い、覚悟の部分の描写の掘り下げが全く足りていないが故に、剣心と薫の絆の部分が全然伝わって来ない。
それに対し、今回の『The Beginning』一作だけとはいえ、じっくり時間をかけて剣心との絆を掘り下げまくった巴が見る者に与える感情移入度は相当なもので、果たして正ヒロインはどちらなのかが全く分からない。
巴は剣心にとって重要な人物ではあるものの、あくまでも過去の人間だから、本来最も重要なのは薫の存在であるはずだ。
原作においても、ずっと剣心を支えて、彼に生きる意味を与えて、最後まで不殺を貫き通させたのは他ならぬ薫の存在だった。
にも関わらず、今までのシリーズでその薫との絆の掘り下げを適当に済ませて来た上に、巴だけここまで掘り下げられてしまうと、『The Final』のラストがとても軽く見えてしまう。
これでは、剣心の心の中に本当に在り続けているのは巴の方で、薫の所にはたまたま居心地が良いから居るだけのように映ってしまう。
そしてこれは原作とは関係なしに、配給会社や監督の武井咲と有村架純の扱いの差のように感じてしまい、冷める。
『The Final』のレビューでも書いたが、薫のあのシーンを省いた事も、剣心と薫の関係に深みを出せていない原因になっている。
原作通りであれば、今作で描かれる巴と、あのシーンの薫、剣心は守ると決めた大切な女性を2度失っている(薫に関してはブラフであった訳だが)事になり、その地獄の苦しみから這い上がって導き出した『それでも不殺を貫き通す』という決心があったからこそ、その後に訪れる薫と生きて行くというラストが輝いたのだと思う。
だが映画版はと言うと、そのシーンは省かれ、剣心は何となく薫と一緒に居るようにしか見えない上に、今作で掘り下げに下げられた巴との深い結び付き。愛情。
これでは薫は完全なただの当て馬ではなかろうか。
今までのシリーズで薫の掘り下げが足りなかったのは仕方がないとして、今回の二部作では否が応にも薫と巴の二人が対比されてしまうのだから、見終わった後に剣心の中での二人の女性の存在のバランスが取れるようにしなければマズかったのではなかろうか。
これは、あくまでも俺が勝手に思っている事で、野球の試合を見ながら好き勝手言ってる酔っ払いの戯れ言くらいに思って欲しいのだけれど、もし俺が監督なら、今回のるろうに剣心最終章は三部作にして、一部で(原作の)薫のあのシーンまでを描き、二部は今回の剣心の過去編、そして三部は廃人になった剣心が這い上がって最終決戦に向かうまでを描く…という構成にする。
薫がああなり、剣心の壮絶な過去が明かされ、それを踏まえての雪代縁との最終決戦でなければるろうに剣心の物語は締め括れない。
あるいは、もし製作期間や予算の関係でどうしても二部作でという事であれば、一部のラストはやはり薫のあのシーンで終わり、二部の最初に40分〜1時間ほど今回の過去編を挟んでの剣心の復活〜最終決戦でも良かったのではなかろうか。
『The Beginning』は出来はとても良いものの、ここまでの尺を使ってこの部分だけを描く必要は特別無かったようにも思う。
原作でもそうであるように、本来巴との過去編は、あくまでも人斬り抜刀斎だった頃の剣心と、不殺を貫くようになった剣心との間を繋ぐエピソードでしかないはずなのだから。
剣心の“今”を描くるろうに剣心シリーズにおいて、最も大切にすべきなのは薫なのか巴なのか、製作陣にはその辺をもう少しちゃんと考えて欲しかった。
今作で良かったと思った部分で他に、原作にはない沖田総司との戦いというのがあって、それはかなり楽しく見られたのだが(村上虹郎の配役も良かった)、少し穿った見方をすると、今回の過去編を一つの独立した作品に仕上げる為の尺伸ばしとも受け取れてしまう。
敵役も、原作よりも小物感が緩和されていたし、剣心が間違って巴を殺めてしまうに至る状況も、原作よりも説得力があるものに若干修正されていた。
そりゃあこれだけ尺を用意して貰えていればね…とも思ってしまうが。
悪い点としては、極力エンタテイメント性を省いてリアル指向にした弊害として、出てくるキャラがあまり強そうに見えない。
今作のウリである沖田総司にしても、史実では天才剣士であるはずが、動き(殺陣)が割りと普通であるが故に、後に出て来る瀬田宗次郎や志々雄真実、雪代縁に比べて全然強そうじゃない。
宗次郎のあの動きや、志々雄の燃える剣を食らったら一撃でやられるのでは?と思えてしまう。
それと、ラストで桂小五郎が剣心にこれからは表に出るように打診し、裏家業は後任に任せると話したシーン。
原作ではそこで志々雄真実の名前が出て来る訳だけど、今作ではそこには言及しなかった事に特に理由が見当たらず、やや気になる。
ワンシーンで良いから、ここで包帯のない藤原竜也を登場させておけば、観客の満足度は更に跳ね上がっただろうにと思ってしまう。
あと、最後にこれだけは言わせて欲しい。
一番最初のロロノア・ゾロ、あれは何(笑)
言いたい放題長々と連ねてしまい、お見苦しかった事と思います。
申し訳ありませんでした。
どうにも原作至上主義な部分がある為、違う点、補いきれていない部分が気になって仕方がないのですが、原作を全く見ていない人はこんなものかと普通に楽しめているのかも知れません。
原作を読んでいる方で、他に何か思う事、感じる事があった方は、是非リプにてお教え頂けると嬉しいです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
終わっちゃった(泣)
もう終わりなんだなと思うと、寂しいです。
剣心が刀振りかざして血を飛び散らせながら人を斬るシーンは、心が痛みました。
でも、剣心の過去がわかり全てスッキリしました。
やっぱり有村架純は適役。
存在感がすごい。
巴の気持ち、剣心の気持ち考えたら切なくて涙が出てきた。
キャストも豪華で見ごたえあります。
舞台の造形美
まず個人的には本作は4DXではないほうがいいかなというところ、静がメインの映画であるし動のパートも派手というより緊迫といった感じなのでノイズになりがちだった。
唯一香りの演出は、巴の白梅香について本作中で台詞では触れないだけによかった、だがいかんせん噴出音が気になった。
以前からるろ剣の美術は美しいが、今作は今まで見た全ての映画の中でも屈指の美しさだったと思う。近景のリアルとフェイクの丁度間を取ったような設えはもとより遠景の色味も文句なしで全編どこを切り取っても絵になる!
原作ovaと読み込みまくった人間からすると、ストーリーや台詞はすでに頭に入っているので、逆にオリジナルの台詞部分にぐっときた。
ただいくつか気になる点が。闇の武との闘いでは、剣心が原作やovaよりずっと呆然自失としていて辰巳(北村さん)との戦闘時には目まで瞑りかつ辰巳は刀まで装備しているもんだから、辰巳が斬られるまであまりにもナメプしているように見える、という点が一番残念だった。
総じて、役者さんの演技、脚本、演出、音楽ともに良かったが、特に画面の美しさがえげつなかったので、それだけのためにもう一度観に行きたいくらい。
剣心と巴の過去を埋めるストーリー
シリーズ最終でこれとは、ちょっと物足りない。。
前作で、大方出てるストーリーに未公開部分を足したような感じ。特に真新しいこともないし、確かに今回で少し穴の空いた部分が埋まった気はするが。
まあ佐藤健と架純ちゃん目当ての人は満足するかもしれませんが、ストーリー的にはまあまあでした。
まぁまぁかな
1作目からずっと見てきました。
直前のFINALでほとんど見たシーンだったので、まぁそうだよね、とストーリー自体は予想通りで。
最後に、鳥羽・伏見の戦いに向かう前に巴が亡くなったので、1作目の「やっときたか。新しい時代が。。」のセリフに繋がるところは良かったですが、
FINALでもラストの縁との戦いのあと、左之助は包帯なのに剣心だけすっかり治っててちょっと違和感でしたが、
今回も巴がまだ亡くなった直後で寝かされているなら胸に矢が刺さったり背中を斬られたはずだけどめちゃめちゃ治ってる雰囲気で傷があるように見えず。。数ヶ月後に体の傷が癒えた頃、桂小五郎さんが訪ねてきたのかと思ったら、
まだ巴が寝かされているタイミングで、剣心の体の傷の治り具合に違和感が。。
全体的に淡々としている感じで、FINALは縁のカッコ良さで5回見ましたが、今回はもう見なくていいかな、と思いました。
ただFINALで少ししか出番の無かった北村一輝さんの出番は沢山あったので、そこはとても良かったです。
桂小五郎さんが、剣心のあとを継いだ人斬りのことを話してたけど、そこで志々雄だと名前も言って、前前作までの繋がりが分かるようにしてほしかったな、と少し残念でした。
あと今回の主題歌、せっかくONE OK ROCKなんですが、ワンオク好きで昔横浜スタジアムにライブを見に行ったくらい好きなんですが、今回の曲はイマイチメロディーが響かず(涙)。FINALのメロディーは思わず口ずさむ良作だっただけに曲も残念。。
やっぱり1作目に繋がる今作、映画のタイトルがBeginningで、1作目の主題歌もまさにBeginningというタイトルだから、
新しく書き下ろさなくても、また最後に1作目の主題歌を流してキレイに締めくくってほしかった、と思いました。剣心にはやっぱり最初のBeginningという曲が一番しっくりくるな、と思いました。
また新田真剣佑さんが演じる縁と、1作目の剣心が見たくなりました。
でも長い間の作品、佐藤健さん、お疲れさまでした!
憎しみから愛へ、不殺の誓い
10年で5作。
近年の実写邦画で、これほど長くヒットし続けた人気シリーズも無い。
遂に最終作。
それにしても今回の最終章はちとややこしかった。
前編が“Final”。
この後編が“Beginning”。
普通、逆では…?
しかも、『Final』でハッピーエンド的に完結してしまっている。
これ以上、何が描けるのだろう…?
…いや、描ける物語はまだあった。
緋村剣心。
ミステリアスな男。謎に包まれた素性。
その過去は一応シリーズの中でも触れられてきたが、あくまで断片的に。
しかし今回は一つの物語として。
伏線が繋がり、全ての謎が明かされた時、映画『るろ剣』は万感のフィナーレと始まり(Beginning)を迎える…。
明らかに今回は、シリーズの中でも異質。
まず、作風。
これまでは一貫してエンターテイメントだった。1作目は最も王道。『京都大火編』&『伝説の最期編』は最も大スケール、『Final』はコンパクトに纏めたオーソドックス。それらに対し本作は、暗く重い。
これまでは良くも悪くも少年漫画的展開。脅威的な強敵が現れ、一度ピンチに陥るも、最後は逆転する。一応今回も対する新撰組の他に、命を狙う隠密集団が登場するが、それらと戦うのがメインではない。
映画『るろ剣』と言えば、アクション! これまで超人的で邦画最高峰とも言えるアクションに興奮させられてきた。勿論今回もアクションはある。…が、今回のアクションにカタルシスさは無い。
“人斬り抜刀斎”と呼ばれ、逆刃刀ではなく真剣を使っていた頃の剣心。アクション・シーンは残酷。
剣心自身も優しさやユーモラスさの欠片も無く、「おろ?」も「ござる」も無く、一人称も“拙者”ではなく“俺”。
そんな彼を変えたのは…
かの『スター・ウォーズ EP3』のように、今回の『Beginning』はこれまでのシリーズや前作『Final』の回想エピソードから、大まかな話やそれどころかオチも分かり切っている。
新時代到来を信じ、長洲藩の元で人斬りとして暗躍していた剣心。
一人の若い見回り志士を斬り、己の所業に葛藤してきた時、出会う。
酒場で男共に絡まれていた所を助けた女性。巴。
孤独な男と孤独な女。何か悲しいものを抱えた両者。何処か似た者同士。
池田屋襲撃後、新撰組に勢い押され、長洲藩は身を隠す宿に居られなくなり、散り散りに。剣心と巴は人気の無い農村へ。
あくまで形だけの夫婦のような暮らしの筈であったが、静かで穏やかな暮らしが徐々に形だけではないものにしていく。
距離を縮めていく2人。
惹かれ合っていく2人。
剣を鞘に収めた幸せな時が流れていくが…
『Final』を見ていれば別にネタバレではないが、敢えて伏せ。
巴にはある衝撃の真実が…。
それを知って、剣心は…。
コロナを経て待望公開されながらも、思いの外賛否の声激しかった『Final』。
ひょっとしたら今回は、それよりももっと激しく分かれるかも。
今までのような超人アクションが見たい人には期待外れだろう。
と言うかそもそも今回は、アクションがメインではなく、ドラマがメインなのだ。
そのドラマも、少年漫画実写化作品の中で、なかなかお目に掛かれないほど重厚で見応えあり。
ドラマチックで、これは剣心と巴の哀しきラブストーリー。
全て分かっていても、ここまでじっくり描かれると、非常に胸打つ。
剣心役として、本作が最も難役であったであろう。最後でもあり、佐藤健が全身全霊で体現。
そして大トリを飾ってくれたのは、有村架純。巴に込めた美しさ(着物姿は色気すら漂う)、哀しさは絶品。武井咲は何だったんだ?…ってくらい。(失礼)
ちと不満は無い訳ではない。
2人のドラマがメインなので、お馴染み江口洋介やせっかく今回初登場の桂小五郎=高橋一生や沖田総司=村上虹郎を迎えたものの、これまでと比べるとアンサンブル色は薄く…。
特にガッカリだったのは、隠密集団の首領、北村一輝。噛ませ犬だった…。
そのクライマックスのアクション・シーン、『Final』で見て剣心が勝つのを知っていたのが、痛手。
それを如何にスリリングに見せるか。例えば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のクライマックスはいつ見てもハラハラドキドキさせられる。ちと技巧が足りなかったか。
しかし、この10年5作に及ぶ監督・大友啓史&アクション監督・谷垣健冶には最大級の賛辞を贈りたい。2人の功績は邦画アクション史に残り続ける。刻まれ続ける。
スタッフたちも勿論。ドラマチックな佐藤直紀の音楽。細部まで造り込まれた美術、衣装、ヘアメイク。これまではスピーディーだったが、今回はじっくり見せた編集。ダイナミックな映像。
クライマックスの農村の雪景色。画になる美しさであると共に、あのシーンになった時、私は悲しくもなった。
避けられない悲劇が…。
何が剣心を変え、“不殺の誓い”を立てさせたのか…?
愛した妻をこの手で斬ってしまったからでもあるだろう。
そんな妻が教えてくれた。
愛は憎しみに勝る。
巴は憎しみを持って、復讐の為に剣心の前に現れた。しかし共に過ごす内に剣心を心から愛するようになり、最期は身を犠牲にして…。
元々は許嫁を斬った相手。愛せる訳が無い。が、憎きこの男にも心があった。
変われる。時間をかけて。彼も。私も。
命をかけて教えてくれた妻に応えれねばならぬ。
もう二度と人は殺めない。
それでもきっと、戦わなければならない時がやって来るだろう。
再び、剣を握る時がやって来るだろう。
しかしその時は、殺めず、命をかけて守りきる。
不殺の誓い。
この逆刃刀に賭けて。
亡き妻への想い。
新たな大切な“家族”の為に。
レビューの中に、『Final』と『Beginning』の公開が逆の方が良かったという声が多々ある。
私はそうは思わない。
最終章前編はハッピーエンド的に締め括り。
最終章後編は全ての謎や伏線回収。同時に、また1作目が見たくなる憎い構成。
タイトル通り、終わりで始まり。
流浪人剣心の物語が、ここに。
きゅーっと切なくなりました
グランドフィナーレイベント生中継で見に行ってきました。
佐藤健くんが、北村一樹さんのことを、「こう見えてとても気がつく方なんです。ご飯を食べるシーンで、茶碗の欠けたものを使ってるんですが、そういうのも細かくスタッフさんが作られていて、その欠けたところをあえて映るように持っていたりしてるんです。ですよね?」と振ると、照れたように笑って「そんなところに気づく君がすごいよ」と。全くその通りで、自分の演技でも大変だと思うのに、他のキャストの細かいところもよく見られて気づけるってすごいなあと思いました。
そのシーン、ガン見していたんですが、一瞬すぎて見落としました…残念。
京都編はやはり地元だけあって嬉しい。祇園祭のお囃子が聞こえてきたら、そっちが気になって、セリフを少し聞き漏らしてしまいました。
ファイナルの時におっしゃっていたように、健くんかなり痩せて見えました。最初は心を無にして、とりあえず切る、という感じでしたが、巴に出会って、だんだん心が穏やかになり、心を許していっている様子がきゅーんとしました。新選組の追ってから逃げて、全力で守ろうとするところとか、たまりません。
一緒に農村で暮らして、幸せそうなところとか本当に美しいです。雪がまたいいですね。
切なくて儚くて、とても合っていました。
静と動があるのですが、どちらかというと静が多くて、健くんがいうようにたしかに別の映画を見ているみたいでした。ファイナルとbeginningと同時に撮影していたけど、場所も衣装も違うし、全く違う感じでスッと切り替えられたそうです。
そしてこれを見たら、最初から見たくなるのもわかるなあ…。
本当に素敵な映画をありがとうございました!
最後の5分
OVAをリアルタイムで観て、サントラまで購入し、現在でもin memories〜kotowari〜はヘビロテしてます。それをきっかけに幕末にハマり勿論原作も全巻所有している程度の人間の意見です。
実写追憶編、ずっと楽しみにしてました。
内容、概ね良かったと感じます。
ただ、数点思うところを書かせてください。
①剣心と巴の関係性の構築について
小萩屋のシーンですが、殆ど会話も無く、剣心をただ見つめるだけの巴の描写が多く、OVAで描かれた池田屋事件の巴の『あなたがいつまで人を殺め続けるのか見届けたい、この目で確かに』などのやりとりが無かった為、なぜ巴が剣心に惹かれたのか謎
②エンディングについて
巴を殺めた後、OVAでは巴の亡骸の前で只々うなだれている剣心の元に桂がやって来て、桂の『俺の誤り、飛天な剣は旧時代を壊す為で無く、新時代を守るために使うべきだった。。』
のコメントが無かったのが残念。
剣心ま普通に農作業や食事してるので、
あれ、剣心意外とヘッチャラなんじゃね?
って思っちゃいましたり残念。
そして、一番ダメなのは家を燃やしてからの描写。
OVAでは、京に戻り遊撃剣士となり新撰組と対峙し、雨の中眠る剣心を巴が優しく抱きしめるといった最高の演出がありましたが、桂が実写では丸々カットされ、過去に見た鳥羽伏見のシーンのみ。
これだけは本当にがっかりしました。
追憶編はエンディングで決まると思っていたので。
ただ、沖田との勝負、残酷描写は良かったです。
原作よりも
人斬り仕事のシーンが多くて、斬るごとに荒んでいく描写もよく伝わってきた。
その罪の大きさ、苦悩、人を斬らないと決めてからも闘い続ける理由がより伝わってくる。
巴との生活シーンは2人とも無口だし静かで、ゆっくりした感じが長く感じた。これちゃんと終わるの?ってくらいに。でも短くすると薄っぺらくなるんだろうな。
個人的には沖田総司との戦闘が好きかな。アクションがという意味ではなく、沖田vs抜刀斎というカードが実現したという意味で。
実は池田屋に剣心も向かってたという所では、あーそこに繋げちゃうんだーって感じだったけど沖田との戦闘を実現するのに決して無理のないシナリオだったと思う。まあ沖田が血を吐いて結末なんだろうなというのは分かりやすいけど嫌じゃない流れ。
池田屋から逃れた望月亀弥太(だったかな?違ったらゴメンなさい)は沖田に見つかりトドメを刺される寸前で剣心が現れ2人が戦闘、おそらくその間に長州藩邸前で自決するという流れなのかな?
原作にないシーンがより面白いと感じた。それは実写版として成功と言えるんじゃないだろうか。
追記:冒頭のシーンを見てどうしても某海賊キャラを連想してしまうが、原作でも剣心は鎖で縛られたまま同様の仕留め方をしている。パクリかのようなコメントが散見されるので一応。
『あなた』
これはちょっと芯にくる作品です。いやいや、良いものを観た。シリーズ最高傑作と謳ってますが間違いなくそうでしょう。登壇挨拶があり作品鑑賞前にそれもみたのですが演者の方々も仰ってましたがこれまでとは「まったく別の作品」、MCUで言うと「ローガン」のようなと例えられるでしょうか。あれも観たとき震えましたが今作も同じ匂いを感じました。
ともえさんと仏様のシーン、美しかったです。そしてそこにすべてある。最後のセリフの『あなた』の二重性とそのとんでもない広がり。呪いとも愛とも取れるともえさんの最後の行動。刻まれた傷が十字であり、ともえさんの想いやその後の剣心の活躍を考えるとまさに救世主を産んだマリア、キリスト教まで思考が拡がらざるを得ません。
アクションも迫力抜群。最後の闘い含めてほんとにキャラクターではない緋村剣心という人間がそこにおりました。
いやー、ほんとに良い作品を観た。うん、書いてたら星の評価を修整したくなりました。修整します。傑作。
最終章にして全ての始まり
まず最初に完結おめでとうございますと監督、キャスト、スタッフの方々へ伝えたい。
原作ファンである身としては実写映画一作目が決まった時には正直不安でしたが、想像を遥かに超えるクオリティに一気に魅了されました。
そしてシリーズ5作目にしてついに完結と言う事で、やはり期待を裏切らない仕上がりでした。
今作のメインである剣心と巴の関係や、剣心が人斬りを辞め不殺の誓い立てるようになるまでの経緯が丁寧に描かれていて、原作で重要なシーンも忠実に再現されていたなと感じました。
キャストが発表された際に巴役が有村架純さんというのは正直イメージと少し違うかなと思っていましたが、やはり女優さんとは凄いもので巴のミステリアスな雰囲気や徐々に剣心に心を許していく様を見事に演じていらっしゃり、鑑賞中は巴にしか見えませんでした。
そして何より10年前から剣心を演じている佐藤健さんの外見の変わらなさが凄い。
しかし、外見は変わらずとも一作毎に少しずつ変わっていく剣心の内面を違和感なく演じていらっしゃり、この役と真摯に向き合ってこられたのだなと感服いたしました。
また、前作までのるろうに剣心とは違い、人斬り抜刀斎時代の物語と言うこともあって純粋な時代劇物としても楽しめる内容なのではないかと。
書きたい事が多くて上手く纏まりませんが...笑
FinalとBeginning
それぞれが素晴らしい作品ですが、2作揃って真の最終章だと思いますのでお時間のある方は是非連続で鑑賞してもらいたいです。(どちらから見ても楽しめると思います)
そして一作目がまた見たくなると思います。
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