「不殺の誓いの重み、壮大すぎる歴史のドラマ」るろうに剣心 最終章 The Beginning 有さんの映画レビュー(感想・評価)
不殺の誓いの重み、壮大すぎる歴史のドラマ
このシリーズは漫画が原作であるにもかかわらずリアリティが凄まじいですが、今回はそれが飛び抜けている気がしました。歴史の重みを感じ、平和な世の背景にはこのようなせつなく悲しい物語が存在するのだなと思いました。
キャストはこれでもかというくらい演技派が勢ぞろいです。登場人物の放つ言葉や振る舞い一つ一つに生きざまが感じられ、まるで大河ドラマのような重厚な物語を仕上げていました。個人的には北村一輝さん演じる辰巳が魅力的でしたね。幕府政治を陰で支えるものとしての説得力があり、少し怖くも思いました。
ストーリーは過去四作品に比べるとかなり重く切ないです。しかし同時に幕末という時代の悲しくも美しい情景を堪能できました。そのわけには美術面でもかなり優れていることにあるでしょう。映像の色彩や光の当たり方が洗練されておりとても美しいです。日本の美を感じます。特に、夜に月明りに照らされている様子が美しいと思いました。また、血なまぐさい戦いの映像の中にもどこか艶っぽさや妙な色気があります。
この幕末が剣心にとって絶望的な時間であったからこそ、彼の新時代に託す思い、人々を守りたいという願いに深みを与えているのだと思います。この映画を見た後には第一作目から、もしくは the finalを再び観たくなると思います。剣心と共に、明治という新時代のストーリーをもう一度観たいですね。今すぐにでも。