「十字傷の新解釈版⁉︎山鉾巡行は…」るろうに剣心 最終章 The Beginning カルタさんの映画レビュー(感想・評価)
十字傷の新解釈版⁉︎山鉾巡行は…
原作ファンで、実写4作も大変楽しく観てきました。そしてこの追憶編が楽しみで楽しみで…
昨年の延期は辛かったです。
漫画のブチギレ抜刀斎が巴を助けにいくのは絵もセリフもすんごいカッコいいんだけど…⁉︎
いざ、実写で観る抜刀斎は…かつて、刃衛のセリフであった「うふ そっちこそ知らないのさ 人斬り抜刀斎の話に聞いてるだけで鳥肌が立つ程の強さをな」が身に染みる怖さでしたね‼︎
10年後、再会する人みんなに抜刀斎に戻れと言われ続けるのも仕方ないわ…
ごめんよ剣心。抜刀斎はひどい人斬りだけど絵的にはスーパーかっこよすぎやねん。
他、時代劇としての映像美、音づくり、アニメになかったシーンも流石でした
。
私がこの作品で新しい解釈ができるな、と思ったところをひとつ。
通称追憶編となってる今作につけられた新しいタイトル、The Begging にはるろうの始まりの意味もありますよね。
剣心と巴の会話で、山鉾のお稚児さんのくだりがありました。
注連縄を切る=巡行のスタートを告げるもの。
剣心は、子供であっても時代を回すキッカケを作る的なことを言っていましたが…
ラストの2人で一本傷を切ることで十字傷となるシーン。
注連縄を切るお稚児さんとかけているのではないでしょうか。
怨嗟をたち切るという優しい解釈もできますが…
私は人斬りの罪にとらわれて人にあらずという域にいる剣心を、生身の人間の世界につなげた瞬間なのだと思いました。
人の心を失わないで欲しいという、巴の強い思いが込められているから、消えない傷…だったらいいな。
そうした意味で、剣心のはじまりの物語。
巡行はあとに通るお神輿のルートを清めるために行われるといいます。
剣心の辿る「るろう」にただ彷徨い歩くだけで無い意味をはっきり持たせてくれるとしたら…
この映画の落ち着いたトーンに、ただの哀しみだけでなく、過酷だけれど業を背負うことの重みを感じることができます。
今年の祇園祭での山鉾巡行もコロナで中止となる中、この映画が公開しているというのも、なんとも言えない気持ちです。