「時には自我を捨て、愛する人の為に必死に」ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
時には自我を捨て、愛する人の為に必死に
フランス映画祭2020横浜にて鑑賞。
想像してたよりも序盤中盤にかけてはコメディ色強めで、後半は胸をキュンとさせるラブストーリーとバランスのいい楽しい作品であった。
主人公のラファエルは高校時代に互いに一目惚れしたオリヴィアと結ばれ結婚し今は売れっ子作家として生きる。
仕事の多忙から昔のようにオリヴィアと接する事ができなくなりまた売れっ子になったが故に態度も大きくなり昔のような謙虚さも失っていった。
そんな姿を悲しく思ったオリヴィアはラファエルとぶつかり別れる流れになりかけたところで、ラファエルは別世界の時間軸のラファエルへと人格が飛んでいってしまう。
その世界のラファエルは中学校教師をしており本来のラファエルの世界と比べたらだいぶ地味な生活を送っている。
一方その世界でのオリヴィアは売れっ子ピアニストとして生きており別に恋人もいた。
元の世界に戻るにはオリヴィアとまた恋をする事で戻れるとラファエルは考え、どうにかオリヴィアと恋人関係になろうと必死になる。
この必死になる姿こそがこの作品の軸となり、また別次元に飛んだとぶっ飛んだ話を信じ協力して共に行動する親友のフェリックスの存在がとてもコメディに描かれ楽しませてくれる。いわゆる別次元に飛んだあるあるネタをたくさん繰り広げてくれる。
この作品の結末はオリヴィアとまた恋愛関係になる事で元の世界に戻るのかと思いきや大いに裏切られた。
ラファエルは飛ばされたこの別世界でオリヴィアの事を当初は心の底から愛してなかったように見える。
あくまで元の世界に戻りたい事に必死で恋愛関係になろうとしていたようにみえた。その為なかなかうまくいかない。
最後の最後でラファエル自身がオリヴィアへの本当の愛を思い出し、元の世界に戻る事への大切さよりオリヴィアとの想い出の大切に気づく。そして最後は2人が真実の愛のキスをしてこの作品は終わる。作中内ではラファエルは元の世界に戻る事ができたかは明確になされずに作品は終わるわけだ。
この終わり方が非常に素敵である。色んな捉え方はあると思うが僕個人としては、おそらく戻り、戻った先にはオリヴィアの大切さをしっかり持って今後も大切に関係を築いて行けたのではないかと想像したりもする。
というのも元の世界に戻る事に必死の時点ではまだ心底オリヴィアの存在の大切さに気づいておらず、そこで戻ったところでもまた時が経てば同じような衝突にぶつかってたのではないか。
誰しもが何度か恋愛はすると思うが、結ばれて時が経つと最初の頃の気持ちはどうしても薄れてしまい、そして忘れてしまうのも自然である。
ではどうしたらその頃の気持ちを思い出せるのか。
時には自我を捨てて、愛する人の為に必死になる時間があってもいいのかもしれない。
序盤はコメディ色が強めだったが後半からはとてもキュンキュンされる展開が多くとても楽しむ事ができた。