「ナチスの蛮行によって夫婦の信頼が試される」マヤの秘密 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
ナチスの蛮行によって夫婦の信頼が試される
クリックして本文を読む
ナチスものの映画のバリエーションのひとつであり、またロマン・ポランスキーの『死と乙女』と似通ったストーリーだが、心理スリラーとして興味をそそられる。ノオミ・ラパス演じる主人公が、第二次大戦中に自分を犯し妹を殺したナチスと思われる男を見つけて、拉致監禁。男の方が、そんなことは知らないと必死に人違いを訴える。これだけだと、男は犯人か否か、というミステリーに集約しがちだが、この映画は「被害者と加害者の記憶の迷路」を解きほぐすだけでなく、主人公の夫の目線から「大切な人を信じたいという気持ちを貫けるか」という第二の命題を掘り下げている。真相はあなたが考えてください的な曖昧さはまったくないにも関わらず、どこに気持ちを持っていっていいのかわからず、人間関係について改めて考えさせられるラストの余韻を大いに気に入っています。
コメントする