劇場公開日 2021年10月15日

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「名優たちの穏やかなアンサンブルに引き込まれる」Our Friend アワー・フレンド 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0名優たちの穏やかなアンサンブルに引き込まれる

2021年10月25日
PCから投稿

愛する家族が闘病を余儀なくされる痛みと悲しみを伴った物語ではあるものの、本作は決してお涙頂戴的な展開に陥ることがない。それどころか非常にさりげない語り口で”生の輝き”を伝えてくれる。直近の出来事が描かれたかと思えば、次の場面では話がずっと過去へ飛ぶなど、いわば直線的な時間軸で進む物語ではないが、これがどういうわけか、記憶の中で次々と浮かんでは消えていく泡沫を見つめているみたいで胸を打つ。この特殊な構成が成立しているのも、すべては三人の芸達者たちが見事なアンサンブルを奏でているからだろう。通常だとこの内容で2時間は長いと感じるはずが、彼らの手にかかると各場面がどれも宝物のように輝きだす。彼らの自然体の演技には、かくも観る者を穏やかに引きこむ力があるのだ。誰もが出会いと別れを繰り返しながら歩み続ける人生。見終わってふと周囲を見廻し、自分を支える大切な人たちの存在に感謝の気持ちを捧げたくなった。

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牛津厚信