「良くも悪くも「地味」」オフィシャル・シークレット キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
良くも悪くも「地味」
実際に起きた事件で、当事者もまだ現役。
当然、あからさまな演出モリモリの「ヒーロー譚」にはできなかったんだろう。
その分、全体を通して派手さはなく、会話を通して物語が進んでいく感じ。
もちろんテーマは普遍的な問題。
見知らぬ他国の何十万という人々の命を守ろうとすることで、自分や愛する家族の自由が奪われる可能性がある時、人はどちらを優先するのか。
もちろん、強大な一国のエゴによって人々の命が軽視されて良いはずもない。
日本でも上級公務員が、時の権力者と結託して、お互いの保身の為に法と秩序を悪用した・しようとした(と思われる)事件があったばかり。
「私は政府に仕えているんじゃない。国民に仕えているんだ。」
私達は、たくさんの公務員の皆さんに自分の安全や財産や権利、自由を委ねている。
そう言ってくれる公務員の方が一人でも多い国であって欲しい。
作品としては良くも悪くも静かに物語が展開する。
でも、この展開が描いた「個人の自由と権利を取り戻す戦い」の結末が、決して「勝利」でもなければ「世界の秩序」にも直接的には繋がっていないという皮肉は、強く印象に残る。
その演出に加え、役者陣の演技の素晴らしさによるところも大きい。
個人的にはエンタメとしてもう少し見せ場が欲しかった。
でも、心に小さなトゲを残していく、そんな作品。
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