「我が国はどうか?」デンマークの息子 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
我が国はどうか?
2025年のデンマークにて。移民によるテロが発生し、移民排外主義の極右政党の誕生と、それに対する移民の若者の闘いを描いた作品。
非常に興味深いテーマで期待していた作品。
まさに今現在の世界で起こっている問題を描いた作品であるが…
結論から言うと、最初と最後は非常に良かったものの、間の中だるみがちょっと長過ぎたかな、といった印象。必要なシーンではあるんですけどね。
序盤、まだまだ子供の19歳に英雄になれなんて無茶苦茶言うなぁと思ったりしたものの、悍ましい落書きをされる団地や、より過酷な移民たちの現実を目の当たりにし、ザカリアに移民排外主義への反感を煽る流れに期待値が高まる。
やはりやめないかと言ったのは、同じ立場の若者とその家族に情が沸き始めてしまったからか?
彼も複雑な立場、色々な葛藤があったのでしょう。。
長い前振りが終わり、本編(⁉)スタート。
しかしここからがちょっと…。無駄なことはないと思うが、とにかくローテンションでやや眠気が…。
それでも最後は中盤のテンションが吹き飛ぶほどの展開へ。
シンプルとも言えるが、なかなか胸をえぐられるクライマックスだった。
上述の通り、映画としての評価も難しい作品だが、とにかく本作のテーマ、「移民問題」は根が深く非常に難しい問題。
本作でも描かれる、移民たちと極右の衝突について。
…いや、そんなだから排斥されるんだよ~ツッコミを入れそうになるも…寧ろこれこそがリアルに起きている惨状の動機なのか。
テロに対する報復。報復がまたテロを生む…。
鶏と卵の問題に似ている?いや、全く違うか。
正直なことを言ってしまえば、本作では悪役よりに描かれている極右党首のノーデルについて…。
彼はさすがに極端すぎるかもしれないが、その考え方に全く共感できないのかと言ったら…。
少なくとも、ワタクシ個人的には、売国よりは愛国を支持します。
陸地続きになっている国は大変ですね。
(尤も、島国の利点を活かせていない国もあるんでしょうけど)
世界的に見れば、福祉等充実している我が国日本。
うまくやってほしいのですが…これからどうなっていくのでしょうか。
話を戻して、移民と極右のどちらも、正義とも絶対悪とも描かれていない本作。
それだけに、今このテーマに興味をもつ私としては超傑作になるポテンシャルがあったと言えるが…
最初と最後だけ際立っていたのが逆に惜しく感じられてしまう作品だった。