「たしかに晴れ晴れする映画ではないが、こういった日本的な映画があってもいいかな 不幸のかたちはいろいろなんだし」生きちゃった カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
たしかに晴れ晴れする映画ではないが、こういった日本的な映画があってもいいかな 不幸のかたちはいろいろなんだし
主役は誰なんだろう。
もちろん、太賀(厚久)なんだろうけど。
お兄ちゃんが謎なんだよね。
おそらく障害のあるお兄ちゃんとおじいちゃんとの三人の思い出が厚久にはとても大事なんだと思う。親は必死過ぎて、子供たちに寄り添うことができなかったから、おじいちゃんはキーパーソンだったのではないか?
幼い時にいろいろあると、感情が麻痺して、泣けない人格が形成される。それをアレキシシミアというらしい。自分の人生にリアリティーがなくなり、相手任せになる。嘘をついている訳ではないけど、他人からすると自分の意思が欠如しているように見える。
そんな彼が幼なじみの奈津美に同情して、婚約者を捨ててしまった。人生は思い通りにはいかない。婚約者も自分に自信がないタイプだった。奈津美役の大島優子の感情の吐露のしかたや表情はものすごく好演だったと思う。厚久が奈津美と別れたと知った兄の行動は完全に異常なのだが、両親はむしろ刑務所に入った長男に安堵しているようだった。ラーメン屋で記念撮影したり、刑務所が見える公園で親子三人で記念撮影したり。
唯一、武田の厚久を支える存在がぶれない。奈津美と厚久、武田(若葉竜也)の3人の中学時代、グリコのパピコ(コーヒー味)のエピソードが独特の悲哀をかもしだしている。二人は以前からなんでも他人に譲ってしまう性格なのだ。それが、デュオでのデビューは諦めたが、中国語と英語を習い、一発起業しようと行動を起こす。そのなかで、思ったことを言えない気の弱さを日本人だからだと自分自身を納得させる厚久。たしかにそのとおりかもしれない。
謎のお兄ちゃんは太賀のもうひとつの人格で二人で一人前のような気がした。
映画の感想は人それぞれで、そんなふうに思った人もいるということで。
いつもありがとうございます。
レビューには上げていないのですが主人公の口に出して本心を言えない言わないところが…
全体像が分かりにくなっていた様な気がしました。
カール三世さんのレビューで何となく理解できた感じです。ありがとうございます。
ラストは本心を言うところを見たかったです。
おはようございます
晴れ晴れしない。だから人それぞれで考える事が出来ます。あの狭い劇場で観た人みんな違う感想になる様な作品。
カールⅢ世さんの具体的なレビューを拝見すると、もう一度観てみたくなります。
特に刑務所後の家族の変な空気感がスッキリしなかったのですが、こういう風に受け取れば納得する事が出来ました。